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Kバレエ「眠れる森の美女」感想

去年の話ですが、
K BALLET TOKYOの新制作「眠れる森の美女」を観ました。

「オーロラ姫を死に導いたのは王子だった」
という衝撃的なキャッチフレーズと、岩井優花さんと栗山廉さんのポスターや、日髙世菜さんと山本雅也さんのダンスマガジンのヴィジュアルがすごく素敵で、絶対観たい!と思っていた舞台です。

今ちょうどシネマで一部の映画館で上映されていて、先日私も観たのでそちらの感想も書きたいですが、生で観た時の感想も残しておきたいのでこちらから先に書いていきます。

このKバレエ新制作の「眠れる森の美女」はチケットも全公演完売で、天皇皇后両陛下も観に来られたという大注目の舞台でしたよね。

SNSの感想を見ても評判が良くて、とても楽しみにして観に行きました。


私が観に行った日のキャストはこちらです↓
オーロラ姫 飯島望未
デジレ王子 石橋奨也
カラボス 日髙世菜
リラの精 岩井優花

赤ずきん 世利万葉
ブルーバード 山田博貴
フロリナ王女 長尾美音
猫 塚田真夕、金瑛揮
宝石 小林美奈、堀内將平、戸田梨紗子


どのキャストの回を観るか迷いましたが飯島望未さんがオーロラの回だと、日髙世菜さんと岩井優花さんという他の回のオーロラ役のダンサーも観られるので望未さんの回にしました。


ここからあらすじと感想を書いていきますが、ネタバレを含みますので、構わないという方だけ読み進めてくださいね!

プロローグ

フロレスタン王の王国にオーロラ姫が誕生したお祝いに、4つの国の王様、王妃様、そしてオーロラ姫の婚約者候補になるそれぞれの国の王子様が招待されます。
その4つの国とフロレスタン王国にはそれぞれに守護妖精がいて、フロレスタン王国の守護妖精がリラの精です。

このお祝いにカラボスだけ招待されていなく、カラボスが怒って現れるというのは通常と同じですが、カラボスの登場シーンでカミナリが鳴り響き
カミナリの光の中カラボスの姿がチカチカと見えるというのがカラボスの不気味さを表していて良かったです。

フロレスタン王の命令でカラボスを妖精達が杖に封印するのですが、世菜カラボスに対して優花リラと妖精達全員で対抗するんです。
でも本当に世菜カラボスはそうしないと敵わないと思うくらい強そうでした。

プロローグの妖精達の踊りはかなりカットされていて、リラの精はVaを1曲踊りますが他の王国の妖精達は4人一緒に勇気の精のVaの音楽で踊っていて、通常の眠りだとプロローグのパ・ド・シスは見どころの1つなので、1人ずつのVaがないのは少し残念でしたね。
でもこのプロローグのリラの精のVaが超絶難しくて、優花さんが完璧に踊りこなしていてブラボーでした!

プロローグでは他にちび王子達の踊りが可愛かったです☺︎

1幕

続く1幕は森の中、Kバレエオリジナルの場面です。
ワルツの音楽で花やカエルが踊るなか16歳になるオーロラ姫が登場します。

そしてこの場面で猫とブルーバード、フロリナ王女が登場します。
ブルーバードとオーロラ姫が踊るところは
ディズニーの「眠れる森の美女」を思い出しました。

ブルーバードのグラン・パ・ド・ドゥのコーダで
オーロラ姫や猫も含めた総踊りになりとても楽しい場面!と思うと、黒いずきんをかぶった赤ずきんちゃんがオオカミを連れて現れて一気に不穏な雰囲気になります。

オオカミに襲われるオーロラ姫を、デジレ王子が助けに現れます。

そしてオーロラ姫とデジレ王子は恋に落ちます。
森の中で出会い、お互いの正体を知らないまま恋に落ちる2人は、先述のブルーバードの場面に続きディズニー映画のようですよね。


オーロラ姫がデジレ王子に薔薇を渡して帰って行った後、赤ずきんと出会ったデジレ王子は赤ずきんちゃんに連れられて森の奥に入きカラボスの封印を解いてしまいます。

新制作の赤ずきんちゃん、見るからに悪そうなんですがなんとカラボスの手下なんですね。

カラボスを復活させてしまったデジレ王子は、カラボスの魔法で操られてしまいます。


場面が変わってオーロラ姫の16歳の誕生日
4つの国の王様王妃様と王子達も集まってお祝いをします。

そこに少し遅れてカラボスに操られているデジレ王子も現れます。

そして主役オーロラ姫の登場。
ここは通常の「眠り」と同じように登場して物語が進んでいきます。

他の国の王子はパステルカラーの衣装を着ているなかデジレ王子はカラボスに操られているため
黒い衣装を着ていて1人だけ明らかに異質。
オーロラ姫はそのことを知らないのでデジレ王子を見て嬉しそうにしていましたが、様子のおかしいデジレ王子に戸惑う様子があったりと美しいけど不穏な雰囲気もあるローズアダジオでした。

その後、通常ならカラボスがオーロラ姫に糸紡ぎの針が隠された花束を渡しますが、Kバレエ版ではデジレ王子がオーロラ姫にバラの花を渡します。
そしてそのバラの香りを嗅いだオーロラ姫は倒れてしまいます。

ここでチラシにも使われているあのポーズが出てきて、おぉっと思いました。

倒れる前にオーロラ姫は通常の「眠り」と同じ振付でマネージをしたりするのですが、デジレ王子も催眠が解けていきながらオーロラ姫の対角線上で踊る構成がおもしろかったです。

オーロラ姫が倒れ、カラボスが姿を現し、リラの精がオーロラ姫は眠っているだけだと言う流れは通常と同じです。
でもここでKバレエ版ではオーロラ姫をガラスの棺に入れます。
綺麗ですが、棺の中にスモークが立ち込めるので
中にいるオーロラ姫は大丈夫なのかと気になりましたw

2幕

2幕はまた森の中です。
正気に戻り悔やんでいるデジレ王子のもとにリラの精が現れ、夢の中でオーロラ姫と再会させてくれます。
そしてデジレ王子にカラボスを倒すための剣を渡します。
カラボスを倒し、デジレ王子がオーロラ姫にキスをするとオーロラ姫は目覚めます。

2幕は短縮されているものの、流れはほぼ通常と同じような感じでした。
でもKバレエ版ではオーロラ姫とデジレ王子は同じ時代を生きているので
オーロラ姫はそもそも100年も眠りません。

3幕

そして3幕、オーロラ姫とデジレ王子の結婚式です。
1幕で登場した猫もブルーバードも出てくるのですが、すでに1幕で踊っているのでどうなるのかなと思ったら、3幕は宝石と赤ずきんちゃんの踊りだけありました。

赤ずきんちゃんは3幕では赤いずきんをかぶって登場して、リラの精に「どうしてここにいるの?」と聞かれ、「カラボスに操られていたけど目が覚めたの」というように答えていました。
寝返ったわけじゃなく本当に操られていたのか?とつい疑ってしまいましたが、ずきんが黒から赤に変わって(戻って?)いるのでそうなのでしょう。

赤ずきんちゃんが余興をしたいと申し出て、赤ずきんちゃんとオオカミの踊りが披露されます。

そしてオーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥがあり、マズルカが踊られてフィナーレ、という流れは通常と同じですね。

感想

プロローグ、1幕、2幕、3幕と書きましたが、Kバレエ版はプロローグ〜1幕と2幕〜3幕が続けて上演されるので、全2幕編成です。

通常の「眠り」と同じような場面も多いですが
物語は大きく変わっていて、すごく盛りだくさんな物語に感じますがカットされている音楽も多いのでスピーディーに進んでいきます。
付け足されている場面もあるのに、上演時間が通常版より短いというスピーディーさ!

オーロラ姫は通常お誕生日の場面から登場しますがKバレエ版ではその前の森の場面で初登場します。
そしてデジレ王子とのパ・ド・ドゥを踊り、その後ローズアダジオから3幕のグラン・パ・ド・ドゥまで踊るので、通常の「眠り」以上にハードですよね。
そんなハードなオーロラ姫ですが、望未オーロラはディズニープリンセスのような可憐なオーロラ姫でした♡

デジレ王子にいたっても通常は2幕からしか出演しませんが、1幕でオーロラ姫と出会い恋に落ちて、カラボスに操られ、その状態でローズアダジオを踊り、催眠が解けるという、通常の「眠り」よりも演技力が必要なキャラクターになっています。
石橋さん、オーロラ姫と出会い恋をした時と、催眠状態の冷たい雰囲気の時の違いも伝わってきてさすがでした。

今回の舞台でいいなと思ったのが、赤ずきんちゃんを踊った世利万葉さんと、カラボスの日髙世菜さん、リラの精の岩井優花さんでした。

赤ずきんちゃんの世利万葉さんは、3幕の余興として踊られた赤ずきんちゃんの踊りがとても表現豊かで、「あっちに食べ物があるよ」とオオカミに嘘をつく時は嘘をついてるなと観ている方にも伝わってくるし、オオカミの隙をついて逃げようとしたけど花かごを忘れて取りに戻る時も「あぁ!しまった!」と声が聞こえそうな表情をしていて、振付は通常のものと同じなのにとても演劇的な赤ずきんちゃんで素敵でした。

リラの精の岩井優花さんは、Kバレエのインスタライブで蝶々夫人のリハーサル映像を観てから気になっていたダンサーで、踊りの流れがとても綺麗だなと思っていました。
今回もプロローグのVaが本当に素晴らしかったです。
他の回ではオーロラ姫の他にフロリナ王女も踊られていたそうで、大活躍ですね。
次は主演で観てみたいです。

そしてカラボスの日髙世菜さん、圧倒的と言えるくらいの存在感でした!
カラボスの登場場面は暗い場面が多いですが、暗い中でも存在感があり、これがプリンシパルか!と思いました。
他の回ではオーロラ姫も踊っているなんて、世菜さんの振り幅すごすぎませんか!
今上映中のシネマでは世菜さんがオーロラ姫を踊っているので、そちらの感想もまた書きたいです。

今回新制作ということで衣装や装置も一新されましたが、さすがKバレエ!と思うようなお洒落で素敵な衣装装置でした。

装置は円形の柱のような装置がプロローグから3幕までずっと使われていて、プロローグや3幕では宮殿の柱になり、1幕や2幕では森の中の廃墟のようになり、うまく作られているなぁと思いました。

デジレ王子がカラボスの杖を見つける森の奥深くに行く場面では木の枝の影が装置に写り不気味さが出ていたのも良かったです。

ただ3幕のマズルカのようにダンサーが大勢で踊る場面では、狭そうな印象も受けました。


衣装は19世紀末のヴィクトリア朝後期のデザインを基にしているということで、通常の「眠り」ではルイ14世の時代に設定されることが多いので、それに比べるとKバレエ版は現代的です。

私は1幕のオーロラ姫のお花がついたチュチュの衣装が上品だけど可愛らしくて好きでした。
ダンスマガジンの表紙で日髙世菜さんが着ているのを見た時から素敵!と思っていました。

Kバレエはどんな作品でも衣装や装置にもオリジナルな要素があって、Kバレエの世界観が作られていて素敵ですよね。

今回の新制作「眠れる森の美女」ですが、熊川さんが今までの「眠り」が好きではなく、熊川さん自身が納得のいく「眠れる森の美女」を作ったということで、かなりオリジナル要素が強くドラマティックな「眠り」になっているなと思いました。

Kバレエというだけで期待値が高いうえに、古典から新作品まで数々のオリジナルの作品を作ってきた熊川さんの新制作で、今回の新制作「眠り」は前評判も良かったので私自身かなり期待して観に行きました。
でもその期待を裏切ることなく満足させてくれた熊川さんやダンサー、制作の方々は本当にすごいですよね。

通常の「眠り」も大好きな私ですが、そんな私もとても楽しめました♪

明後日までシネマで一部映画館で上映されているので、近くで上映しているという方はぜひ観に行ってみてほしいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
新制作「眠れる森の美女」観たよという方は
ぜひ感想を聞かせていただけると嬉しいです♡

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