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【MovieMemo】”動く現代アート”TENET(テネット)

ようやっと少しだけうだるような暑さから抜け出しつつある。
今年の夏は随分と違った”夏”だった。

海へ行って、かき氷を食べる。
プールへ行って、夜風に当たりながら人とのきの”涼”を感じる。

いつもの夏はひっそりと過ぎていった。いや、夏自身にしてみても自分自身の本領発揮!といく前に次の季節である”秋”に押し出されるようにしてそれはそれは不甲斐ないシーズンだったのかもしれない。

コロナという例年とは違う変数が入っていきたことによって、時の流れの感じ方が随分と違うように感じる。時の流れは常に一定の法則で”それ自身が流れている”と感じているだけで、人々と会う時間、外出という気分転換の時間、あれほどに嫌だった通勤の電車のなかで過ごす時間ですらもそれなりの意味を持ってそこに存在していたのかと。

今日【TENET(テネット)】を観た。
きっとだからこんなことを感じている。

クリストファー・ノーランの最新作。視覚から入ってくる情報量が凄まじく、物語としての作品性というのは一旦”おいておいた”方が良い。

映画である以上見ているうちにストーリーの中で”正解を探そう(理解しよう)”としてしまうだろう。

だけどもあえて言うならば、それをしない方が良い。
ただ目の前にあるものを”鑑賞する”くらいのフラットな気持ちで座りたい。

これはもはや”動く現代アート”。

すなわち、見る人によって解釈や趣は変わるため”正解を探そう”として鑑賞すると心が迷子になる。本来の現代アートであれば美術館でじっとその作者の意図を紐解くのは正しいアプローチだけれども。

まずはその心構えを見る前にしておいた方が良い。

主役であるジョン・デイビッド・ワシントンが演じる”名も無き男”。
彼自身もその”時という概念”と格闘する様子は、自分自身がまさにその”名も無き男”という視点からその空間自体の解釈や理解と戦っているような感覚にもなり得るだろう。

映画という側面で言っても、スパイ映画ということもありその迫力やアクションの精度は映画としてのエンターテイメントとしては十分担保できているのでこの辺りのバランスはさすがクリストファー・ノーラン。

それはそれでこの映画を見る価値はある。

ただしっかりと作品として理解をするためにはパンフレット購入がおすすめ。作品の中でのストーリーに沿って時間の流れを解説してくれているのでガイドブックとして必需品。もちろん、しっかり読み込むのは作品を観た後というのは注意しておきたいところ。

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