見出し画像

「なりたい自分」への積み上げ方

「なりたい自分」を聞かれた時、一つではなくたくさんあるような気もするし、むしろないような気もする。今回はそんな「なりたい自分」をDoingとBeingに分けて考えて、どう積み上げていくか考えてみたいと思います。

Doingは「する」なので、「起業家になる(起業する)」とか「家族を持って父になる(子育てをして家庭を養う)」のようにその自分になれたかが客観的にわかるもの。

Beingは「ある」なので「思いやりがある人になる」のような、主に内面的なありたい姿を示し、主観的にしか評価できないもの。

と考えてみます。

Doingとしての「なりたい自分」

私は短期・中期・長期、ライフとワークの二軸で切って考えています。

こんなイメージ。かっこ内は年齢

例えば、私のワークの部分はこんなイメージです。自分でまとめているスライドには、もう少し具体的に仕事の内容やいまやるべきことを記載しています。その上で、一日単位の具体的にやるべき行動は習慣化アプリ、週間単位の具体的な行動はスプレッドシートで進捗管理をしています。

ライフは家族などに加えて趣味や学びについて。ライフとワークの間の部分は、たまたまお金をもらえているけど、お金をもらわなくてもやりたい活動を書いています。

短中長期とわけて、「なりたい自分」とそれぞれに対して「今」できることを考えてみると、日々の過ごし方が変わってくる。

短期がなくて、中期・長期があっても良いし、中期・長期がなくて短期があっても良いと思います。ただ、中長期に向けて「今から」コツコツ積み上げると着実に力がついてくるし、ある意味それが実験になり、本当にやりたいことなのか確かめるテストにもなります。

実際に、私自身は5年後を見据えてこんな感じでコツコツ積み重ねた結果、グローバルに仕事をする、学校教員になる、学習塾を創業する、大学院に進学する、組織人材開発の仕事につく、といったことを順繰りに実現できました。テスト的にコツコツ取り組んだ結果、「辞めた選択肢」もたくさんあります。

あと、そもそも「なりたい自分」は必要なのか?という問いに自分なりに答えるものでもありますが、ポジティブ心理学などの分野では、「ポジティブな未来志向」は幸福につながると言われています。これは経験則的にも納得いきますね。

多くの先行研究から,自己,環境および未来に対してポジティブな認知を行っている者は,そうでない者よりも幸福であると報告する傾向が高いことが指摘されている

太字は筆者
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/55/1/55_178/_pdf

その上で、「なりたい自分」がしっくりこなくなれば柔軟に変えて行けば良い。あくまで、未来にワクワクしながら日々を積み重ねるための「暫定的ななりたい自分」で良いと思うのです。「こうならねばならない」と決めつけてしまうと苦しくなってしまうので、あまり肩肘張らずに柔軟な発想で楽しく積み重ねるのが良いですね。

また、個人的にはワークだけでなく、ライフも含めて人生全体で考えることがおすすめ。人生の豊かさは仕事だけではないため、ワークやライフの相互作用で、それぞれの「なりたい自分」もライフステージによって変化して当然だと思います。

多くの人の死を見届けた医師の方が書かれた「死ぬときに後悔すること25(著者 大津 秀一)」を学生のときに読んで、これがすべてとは言わないまでもいまでも心に留めています。

第一章 健康・医療編
1 健康を大切にしなかったこと
2 たばこを止めなかったこと
3 生前の意思を示さなかったこと
4 治療の意味を見失ってしまったこと

第二章 心理編
5 自分のやりたいことをやらなかったこと
6 夢をかなえられなかったこと
7 悪事に手を染めたこと
8 感情に振り回された一生を過ごしたこと
9 他人に優しくしなかったこと
10 自分が一番と信じて疑わなかったこと

第三章 社会・生活編
11 遺産をどうするかを決めなかったこと
12 自分の葬儀を考えなかったこと
13 故郷に帰らなかったこと
14 美味しいものを食べておかなかったこと
15 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
16 行きたい場所に旅行しなかったこと

第四章 人間編
17 会いたい人に会っておかなかったこと
18 記憶に残る恋愛をしなかったこと
19 結婚をしなかったこと
20 子供を育てなかったこと
21 子供を結婚させなかったこと

第五章 宗教・哲学編
22 自分の生きた証を残さなかったこと
23 生と死の問題を乗り越えられなかったこと
24 神仏の教えを知らなかったこと

第六章 最終編
25 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと

死ぬときに後悔すること25(著者 大津 秀一)の目次より

Beingとしての「なりたい自分」

何者かになりたかった20代も過ぎ去ると、Beingの方が重要だと思うようになってきました。

「日々大事にしたいこと」は意識して、「いますぐにありたい自分」、「時間をかけて成熟させたいこと」は未熟な自分を乗り越えて「ありたい(近づきたい)自分」です。

専門的な用語も多いので一つひとつは割愛しますが、時間をかけて成熟させたいことの①愛 ②「持つ」より「ある」について書くと(エーリッヒ・フロムの「愛するということ」と「生きるということ」に影響を受けてます)、愛と知性、存在することそのもので、自分自身を満たして自律し、だれかを勇気づけ幸せにできる人になりたい。

これらは週次で見直し、日々の振り返りに活かすようにしています。
具体的には日々の振り返りで、
・具体的な出来事と自分の反応
・なぜその反応をできたのか?(してしまったのか?)
・次のアクション(同様のことが起きたときにどう反応するか)
を内省
しています。

「なりたい自分」を手放す

ここまで考えてきた上で「なりたい自分」になれなくても良い。そう思う気楽さも日々を豊かに生きる上で大事なことのように思います。

人生は結果よりもプロセスが大事、というのが私の考えです。「なりたい自分」を目指して前向きに生きるプロセスの中で、気づき・成長・幸せがある。私はプロセスを味わうことの方が遥かに豊かな気がしています。

強いて言うなら、「なりたい自分に向けて前向きに生きている。だけど、ならねばならぬに取り憑かれずに、人生を楽しみ続ける自分」が私の「なりたい自分」なのかもしれません。
結局、毎日を楽しむことですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?