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マーライオンには期待するな!

僕の高校の修学旅行はシンガポールだった。多くのクラスメイトは初海外だったし、初めて飛行機に乗る人もいた。

同じクラスの女子が飛行機の離陸の時に拍手をし、すごーい!と言って拍手が伝染し良い映画を見たあとの劇場みたいになったのはのはとても印象的な出来事だ。
僕は飛行機にも乗ったこともあったし、海外も初めてでもなかったので、そこまで心が踊っていなかった。

でもシンガポールの空港に降りるとそれは違った。日本とは違う異世界をすぐに感じ取ってテンションが上がった。
そういえば、海外に行ったことがあると思ってはいたが小学一年のほぼ覚えてない時だし、わかっている風で、ただすかしてたんだなと今では思う。

空港から出てシンガポールの一歩目をせーの!の掛け声でみんなで踏み出すぐらいクラスの雰囲気は高まっていた。
夜にクソ不味い味のない中華レストランにいったが、それもなぜか楽しめたほどだ。


次の日の最初のイベントはマーライオンを見る。だった。

シンガポールの象徴、シンガポールといえばマーライオンである。

しかし逆に世界三大ガッカリであることも知っていた。

見れば感動しない。ガッカリする。という情報が僕にもみんなにも入っていた。それが常識だった。


しかし現実は違った。

僕はマーライオンにひどく感動した。

デカっ!
水めっちゃ出てる!
しろっ!

そんな単純な理由であったが相当しょぼくてハードルが下がりまくりであったシンガポールのそれに感激したのだ。

ハードルというのは自分の心で作ってしまうものだが、

あまり期待せずネガティブな感情でコントロールすることも大事なんだと僕は感じた。

すごいすごいと言われるものに出会い感じて、その通りの反応ができない捻くれ者の僕にはとてもいい経験であった。

世界三大ガッカリなのであるという情報がハードルを下げ、修学旅行のテンションもあったがマーライオンはとても偉大である。というのが僕には刻み込まれた。


逆に自分でハードルを上げて絶望してしまうこともある。
漫画家や声優の作品を見聞きして、こんな素敵な作品を生み出す人はどんな人なんだろうと思い調べた時だ。

あれ?こんな感じの人なんだぁ…

自分の中で勝手にハードルを上げて期待してしまった時に起きる現象である。


話は戻り、シンガポール修学旅行は大いに盛り上がった。
今まで好きだった人に2日目で告白し3日でめちゃくちゃ気まずくなるものや、現地の高校生に街を案内してもらうイベントではあまりコミュニケーションがうまくいかず英語が喋れるのに恥ずかしがって喋らない女子に腹を立てたりした。僕はTシャツを買ったのだが店員が必死に買うことを止められたのだが何を言っているのか分からずそれを買った。日本に帰って開けてみるとピチピチで胸元がざっくりあいてるレディースだったので姉にあげた。


修学旅行前にテンションが上がりすぎてる男がクラスメイトに一人いた。

シンガポールどーするぅぅ??

旅行の1ヶ月前からこの男の口癖がこれだった。
どーするも何も…
僕のクラスではこれが少し流行語となりみんな鼻で笑いながら使っていた。

旅行後に感想を聞くと

シンガポールそうでもなかったな。

と言いやがった。
男は好きな子にクローバーのネックレスをあげて、遊覧船の中でクラスで食べるブュッフェでもその子と二人きりで楽しそうに食べていたのに!だ!

お前のハードルはどれだけ高かったのだよ!

まぁでもそうゆうことだ。自分の中のハードルを高くしすぎるとなかなか越えられない。

外的要因に左右されすぎず逆に今日もつまらないんだろうなぁと思うことで思わぬ感動があるのかもしれない。

しかしあの離陸に感動する純粋さはとても憧れる。

あまりあらすじは見ないことにしよう。
期待しないことにしよう。
自分の驚きを大事にしよう。

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