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「退職代行」について考えてみた

最近、ツイッター(X)やヤフーニュースなどで、退職代行の文字を読みます。実は私も、身近で退職代行が使われたケースがありました。当時は退職代行が今ほど身近にいなていなかったこともあり、社内が戸惑って騒然となったことを覚えています。
今日は退職代行について考えてみたいと思います。


退職代行の利用理由

まずは退職代行の利用理由について整理したいと思います。
私は主に、三つあると思います。

①ブラック企業からの救済手段

おそらくこれが主な理由として謳われていることです。実際にこういう会社もあることでしょう。また、退職代行を利用したことを伝えた際に企業が怒り出すケースは少なからず、こういったケースもあることでしょう。

ただ、すべてがこのケースではないでしょう。退職代行の利用者はもしかしたら、すべて企業側のせいにするかもしれませんが、純粋に利用者個人の問題もあるでしょう。この点は退職代行に関する印象が世間で二分される理由とも言えます。

②利用者が言いづらいことを直接言えないパーソナリティである

実は①と同じくらい、あるいは、①よりも②による利用者のほうが相対的には多いのではないかと私は思っています。
私の会社で使用された際も、まだ、退職代行が世間一般で認知されていなかったこともあり、皆が戸惑いました。
特に弁護士経由であり、精神的に多大なストレスと書いてあったのです。
とはいえ、残業はほぼ0でしたし、OJT中で先輩がこまめにフォローしていました。加わえて病欠からの退職代行利用。

なんとなく、私も心理状況は理解できます。
たとえば、習い事や部活、大学のゼミなど、しばらく休むと復帰明けってなんか気まずいですよね。実際に復帰して見ればすぐ馴染めるんですけど、その前に悪い想像ばかり働いて、なんだか、戻りづらくなる。
登校拒否なんかも、いじめなども当然あると思いますが、こういう、「なんとなく、行きたくない」が長期化したケースも多いと言えます。

③効率性の重視

退職に伴うあれこれの効率性を上げるための重視として、退職代行を使う。
けれど、現在この理由での使用はメジャーではないでしょう。なぜかと言うと、むしろ、非効率になるからです。
例えば、効率的に仕事をしようとして、標準プロセスを逸脱した結果、重大な事故が起きた場合、そのリカバリーに追われて、結果的に非効率になります。これと同じようなことが退職代行の使用にも当てはまるはずです。

ある程度キャリアがある人は、人脈を使って転職をするケースもあるでしょうし、同じような業種や業界を渡っていくのなら、世界は意外と狭いものです。だからこそ、良くない辞め方をしているのなら、それは尾を引きます。
結局、人として信頼されないと仕事って成り立たないところがあります。
仕事って、最終的に「人間力×総合力」あるいは「人間力×専門性」みたいなところがあると思います。(もちろん、パイオニア的な存在は例外ですけれど、大多数の人はパイオニアではないと思います)

議論は二項対立に陥りやすい

これは人間の悪い癖です。
①の目的で退職代行が利用されることはときに命を守ることに繋がります。
②の目的で退職代行が利用されることは却ってその人自身のキャリアを害することになるでしょう
。人間は易きに流れがちです。
困ったら退職代行を使ってやめよう。それを繰り返しいつのまにか、何社もやめて二十代を終えているが、言うほど何も身についていない。
あまりに見切りをつけるのが早い人はこういう負のサイクルに入りがちです。天国なんてものはなくて、ある程度、自分でその環境をつくりだしていかなければならないのですが、他責思考が強すぎると、この部分に目が行き届かなくなります。
他責思考が擁護されるのは、うつ病など、自責思考が強すぎて自身を害してしまっているような人であり、本来は、両者がバランスよく使用されることが望ましいはずなのです)

ですから、救済手段として、退職代行が生まれたのは間違いなく良い点もあります。それで救われる命もあるでしょうから。
とはいえ、手放しで礼賛されるべきでもありません、ということです。
要するに人生は塩梅(バランス)です。中庸(バランス)は、アリストテレスも孔子も説いているところですね。

個人的な展望(願望込み)

個人的には転職エージェントが退職まで面倒を見る、そういう、仕組みが生まれたらよいのではないかと考えています。
これが効率性の答え(アンサー)とも言えます。

当然、短期間で転職となれば、転職エージェントは、その説明をする必要があるためリスクを負いますが、これにより、転職エージェントはトータルなキャリアをサポートすることができるようになり、より、サービス利用者のトータルキャリアを支援できるようになるはずです。

たとえば、最低勤続年数みたいなものも交わしていいと思うんですね。
三年なら長すぎだけど、一年くらいなら許されるでしょう。当然、ハラスメントなどの規約違反があれば例外です。

であれば、もっと自由にキャリア構築ができるはずです。
もう会社が人生の面倒を見てくれる、会社が何があっても守ってくれるという幻想は冷めてきているのではないかと思いますし、あるいは、残念ながらこういうマインドの方こそパフォーマンスが低く、こういう層の方が平等を訴えるからこそ、公平さが失われているとも言えます。
(もちろん、社会としてのセーフティネットや所得の再配分機能を否定するわけではなく、会社内のフリーライダーに対する小言のようなものです笑)

ですから、信頼できるエージェントを見つけて、パートナーを組んで、キャリアを作っていく。そこにメンターやコーチがいれば猶更良いと言えます。情報収集や単純作業はAIが代替してくれる。
そんな未来も意外と悪くないかも?と思う今日この頃です。

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