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【奮戦記】紙で挑むワントゥワンマーケティング

こんにちは、kenjiです。今回はワントゥワンマーケティングについて、新築分譲マンション販売のマーケターの視点で考察します。


●マスから脱却

まずはおさらいです。これまで、具体的にはインターネットがインフラ化する前のターゲティングはかなり大雑把でした。例えば、以前言われていた「M1」や「F1」という括りを見れば明らかです。M1では20歳〜35歳の男性を指しますが、ターゲティング像がかなり粗いですね。学生、新卒、中堅、役職者、と肩書きだけでもいくつかに分類できます。


さらに、人々が日々受け取るメッセージは一方通行でした。テレビ、新聞、ラジオ、雑誌と言われる4マスメディアを通してサービスや商品が発信されるため、どうしても最大公約数的なメッセージとなります。そのメッセージの読み取り方は受け手に委ねられますが、受け手が触れる情報も差異が少ないため、大枠を捉えた認知形成がされます。


しかし、インターネットがインフラとなった現代、人々の受け取る情報は千差万別になり、さらに受け手だった人々が発信手法を得たために、一方通行の情報では大枠の認知形成ができなくなりましたよね。


人々の情報取得および発信の多様化によって、つまり、これまで受け手だった対象からの突き上げで、今やマスメディアは影響力を低下させています。情報の民主化とも言われますね。


●広告の変化

では、そんな現代における広告手法の最先端は、デジタル(インターネット)広告およびツールです。今や広告会の王者テレビに匹敵する広がりを見せています。


デジタルの利点は「即時性」と「ターゲティング」、そして「定量性」と言われます。


●紙で挑むマーケティング

ここで、新築分譲マンション販売の現場を見てみます。過去記事にも挙げたように、まだまだ広告でな紙が主役です。具体的には折込チラシやポスティングです。

とはいえ、こちらも過去記事で挙げましたが、紙には紙なりの利点もあるので一概にダメ、というわけではありません。

なにより、新築分譲マンションという商品自体、かなり尖ったコンセプトマンションを除くと、大きく「ファミリー向け」「シングル・DINKS向け」という属性ターゲティングと、「利便推し」「環境推し」の指向性ターゲティングで、ほぼ訴求できてしまいます。


さらに、新築分譲マンションという商品において、その価値はほぼ立地が占めます。立地に魅力があれば、マーケットインのマーケティングプランを立てなくても、わがままなまでのプロダクトアウトな展開が逆に効きます。


よって、あまり即時性や、いわゆる定量データに基づくペルソナ的ターゲティングは、現場感だとそこまで使わなくてもいいです。


では、どんなときにマーケティングプランが必要なのか??


●立地がイマイチ、価格が高すぎな場合

緻密なマーケティングプランが必要です。特に、立地に関して言えば、どんな立地であれ、基本周辺住民がメインターゲットなります。しかし、価格とのバランスもあり、昨今では周辺住民の想像を超える価格のマンションが増えています。


ということは、広域にターゲットを広げる必要があります。


では、その際、広告ツールやクリエイティブ、トンマナ、メッセージなどさ周辺住民向けと同じでいいのか?


答えは、否です。


これまでは、ターゲットが周辺住民だろうと、広域だろうと、同じ括りで広告展開していました。つまり、広告投下エリア以外は、同じマスマーケティングです。


しかし、昨今では一等地のマンションはそれほどなく、かつ、これまでのマーケティングから導かれる広告ではどちらか一方へのメッセージが弱まるか、中途半端になるか、もしくはこれまたプロダクトアウトで受け手に解釈を委ねるか、になり、思った効果を得られなくなりました。つまり、デジタルほど粒度は細かくないですが、少なくともエリアによるワントゥワンマーケティングが必要になります。


具体的には、例えば日本町という地で初供給のマンションがあるとして、周辺住民は日本町という地名だけで多くの情報をイメージしますが、広域の人はどこのことかピンときませんね。つまり、「日本町初!」というキャッチは周辺住民には響きますが、広域の人には響きません。


しかし、デジタルのように定量データに基づいてタイムリーに、例えば訴求内容を変えたり、などはできません。紙は印刷という工程があるため、月曜日に決まったことが実物になるのは金曜日です。さらに、当月の施策を決めるのは早くて1ヶ月前、なんてこともよくあります。


さらに、折込をするためのチラシの製作費も、デジタルのバナー広告やテキスト広告、WEB動画に比べてかなり高い。


そのため、施策を打つ前のマーケティングに基づくターゲティングが今まで以上に重要になっていますし、効果検証も、来場者のアンケートが主流のため、マユツバもの。


なるほど、新築分譲マンション販売のマーケターは、なかなか難しい環境で日々戦っているんです。







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