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記事のシェア率が上がる"格言風文章術"


世の中には素晴らしい書き手のこだわりが詰まった、素晴らしい記事がたくさんある。しかし残念なことに、ほとんどの素晴らしい記事たちは読むべき人たちに届いていない。

ブログを書いたことがある人なら、誰だって経験したことがあるんじゃないでしょうか。

渾身の力作を投稿したあとの清々しいほどの無風を。

あれ、本当に投稿できたかな、バグでみんなの画面に表示されてないのかな…なんてありもしない疑いをかけてしまう。あの虚しさを少しでも減らすため、科学的な実験をベースにした対策を考えました。

これを実践すれば、記事がシェアされる数は増えるはず。

文字数を減らすと文の印象がよくなる!?

まずは例を見てください。

例①
人間はその人の思考の産物にすぎない。人は思っている通りになる。
例②
考えていることは無意識に行動へ反映されるから、ある意味では人間はその人の思考がつくりあげているとも言える。つまり思っていることそのものに人は寄っていく。


どちらの例もほとんど同じことを言っていますが、受ける印象は違うのでは。

僕の感覚ではスッキリと格言っぽくまとまっている①のほうが、含蓄のある言葉のように思えるのですが、いかがでしょう。(実は①はインドの宗教家であるマハトマ・ガンジーの格言、②は適当に作った言い換えです)

もしみなさんが僕と同じ印象を抱いたとしたら、ここで不思議な現象が起きていることになります。①は②と比較して半分以下の文字数なのに、なぜかよりよい言葉だと感じている。

言い換えると、少ない文字数からより多くの情報を受け取っている。不思議ですね。

実は格言風の文章からいい印象を受ける現象は、認知心理学の実験(※)でも確認されています。

※「Birds of a feather flock conjointly (?): rhyme as reason in aphorisms.」

どうやら人間の脳は、わかりやすい(認知が容易な)ものに対してポジティブな印象を抱くようなんですよね。今回のケースでは、文字数が少なくなることによって認知しやすくなり、より「奥深い」と感じられるようになっています。

これは使える。

つまり文章を書く際には”格言風”に仕上げるだけで含蓄のある文章になる、ということ。もちろんすべての文を”格言風”にする必要はなく、「ここぞ」というポイントで使うといいでしょう。


“格言風文章術”の3つのポイント

ただし単に文字を減らすだけだと、この効果はあまり強く出ません。なので”格言風文章術”の3つのポイントを共有しますね。

"格言風文章術"のポイント① 極力、文字数を減らす
→これは"格言風"にする根幹ですね。伝えたい情報に優先順位をつけて、本当に触れなきゃいけない箇所だけを表現しましょう。

その上で言い換えを駆使して極限まで短縮していきます。どうしても文字数が削れないときは、文字を削るのではなく、説明しようとしている範囲を削る意識を持つといいかもしれません。

修正前の例:
考えていることは無意識に行動へ反映されるから、ある意味では人間はその人の思考がつくりあげているとも言える。

修正後の例:
人間はその人の思考の産物にすぎない。


"格言風文章術”のポイント② 意外性を盛り込む
→ただのシンプルな文だと、インパクトがあまり出ません。一般的に言われていることをちょっといい感じに言ったところで、「まあそうだよね」と右から左へ流されてしまいます。

そこで必要なのは意外性。文に含んでいる要素の組み合わせを意外なものにしたり、一般的に言われていることの真逆のことを言ったりといった方法があります。この意外性については、書籍のベストセラーのタイトルから学べます。

〈意外性のあるタイトル例〉
『伝え方が9割』
『医者が考案した「長生きみそ汁」』
『ざんねんないきもの事典』
『九十歳。何がめでたい』
『みそ汁はおかずです』

※参照:年間ベストセラー | 日本出版販売株式会社


"格言風文章術”のポイント③ 本能を刺激する要素を入れる
→当然ながら、より強い欲求を刺激する要素が入っていたほうが深く刺さります。たとえば男性がTikTokでかわいい女の子の水着姿に目を奪われてしまうとか、インスタで辞書のように厚いステーキを焼いてる様子をじっと見てしまうとか。経験ありますよね。

あれと同じことが文章にも使えます。 “格言風”にする際は、「これって本能を刺激するかな?」とネガティブチェックするとよさそうです。

〈本能を刺激する代表的な要素〉
・性
・食
・損得
・承認
・暴力
・死 など


この①〜③を見事に反映している言葉のひとつが、ZOZOの前澤社長のもの。

「(お金は)使えば使うほど増えるよ」
→お金をたくさん使った体験が成長の糧になる。自分の限界までお金を使うことが明日の自分への投資になる、というような意味

※参照:限界まで使え。“世界の前澤”が語る「お金を増やす方法」はシンプルだった

このほかにも、広まっている言葉にはこれらの要素が盛り込まれていると思うので、分析して、自分の文章に活かしていきましょう!


“格言風”の文はSNSとの相性抜群

“格言風”に仕上げることのメリットは、文の印象をよくすることにとどまりません。

“格言風”に仕上げることでシェアされやすくなる。拡散率の向上が副次的な効果として発生します。

Twitterをよく見ている人ならピンときますよね。みんなの投稿を眺めていると、リンクとともに記事の一部を引用している投稿が多く見られます。いわば「引用過多時代」と言っても過言ではないくらい。

この引用過多時代において、文の引用しやすさはめちゃくちゃ重要。その点、”格言風”になっていると一部のコピペで簡単にシェアでき、拡散率はだいぶ高くなるはず。

一方でいくら内容がよくても「ここを引用したい」と思える部分がバシッと作られていないと、シェアはされづらいし、されたとしてもリンクとタイトルのみになり投稿経由での読者が獲得しづらい(クリックしてもらえない)。

"格言風"をうまく活用している例は『多動力』

“格言風”に仕上げることで印象がよくなり、物理的にシェアしやすくなる。この2つのメリットをうまく活かしているのが、幻冬舎のベストセラー編集者・箕輪さん。

彼が出して大ヒットになった、堀江貴文著『多動力』こそ”格言風文章術”を最大限活かしている代表例です。

たとえばこれを見てください。

引用元:本人にモノ申す。ホリエモンの『多動力』って売れてるけど極論じゃない?

『多動力』では、見開きの片方のページに格言を載せ、続くページで解説する。この構成を繰り返しています。

まず格言が圧倒的に目に入りやすいですよね。さらにKindleで読んでいた場合は、格言ページのスクリーンショットを撮るだけで要点が引用できます。

自分で言い換えをする必要がないどころか、引用したい箇所を選択してコピペする手間すらない。そのおかげもあってか、Twitterでたくさん引用されているのを見ました。考え抜かれていてすごいですね…


では最後にこの記事を象徴する言葉を送ります。

「less is more(少ないほうがより多くを得られる)」

 ースティーブ・ジョブズ

〈まとめ〉
・文を"格言風"に仕上げると、印象がよくなる
・"格言風文章術"のポイントは「文字数」「意外性」「本能刺激」の3つ
・"格言風"の文は物理的にシェアされやすい

ツイッターでもこういう話をしています。文章をよりよくする方法であったり、好きな作品をもっと楽しむ方法などをシェアしてるので、ぜひフォローお願いします!

最近は「解像度を高めよう」ってテーマを探究してます。

これはSNSでの発信内容をよりおもしろくする手法であり、仕事で成果を出す手法でもあり、お金がなくても人生が豊かになる手法でもあるという超汎用性が高い手法。

これからしばらくは認知心理学をベースに、解像度の上げ方について連載で深堀りしていきます。この記事で解説したのは3つめのステップ、アウトプット編。いかに少ない文字数で「解像度が高い!」と思ってもらうかって話でした。


このテーマについてちゃんとまとめられたら、書籍化できないかなーと思ってます。密かに応援してください!


今回の記事のような内容に興味がある方は、『ファスト&スロー』をおすすめしておきます。大ボリュームで読むの大変ですが、一生役立つ人間の原理が詰まってます。

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