高田 圭 Kei Takada

コスモス短歌会会員 1967年生まれ 東洋大学工学部電気工学科卒

高田 圭 Kei Takada

コスモス短歌会会員 1967年生まれ 東洋大学工学部電気工学科卒

記事一覧

彩歌 2022年夏号(短歌友の会)

坂井修一欄 情報は仮想フォルダに詰め込まれタブレットにて進む商談(佳作) 思考より手段尊きものなるや動画ソフトの向こうにも動画(太字添削あり) 「手順書は一見し…

短歌人 2021年9月号 掲載歌

鏝先に溶けゆく半田きらきらと部品の足に馴染みゆきたり 裏庭に三人子の呼ぶ声がして君は返事を三たびしてをり 今土に還らむとする老猫を君は医院に運びゆきたり 天の川…

彩歌(2021年夏号:坂井修一欄)掲載歌

今号の十人に三首載せていただきました。 「五十年に一度ですよ」バンカーの勉強会の講師のメガネ 上がりゆくゲーム関連銘柄よ出生率はなほ下がりゆく 回復を意味すると…

短歌人(2021年8月号)掲載歌

黒飴が咳き込む喉を潤してその日ひと日を安泰とする 雨の日も外で煙草を吸う君を煙の届かぬ距離で見ている コンビニのポストに投函するついで缶コーヒーを買えば鳴く犬 …

短歌人(2021年7月号)掲載歌

「バカ天」と言ってたくせに勲章と賞状だけは飾る父ちゃん 「まだニュースやらん」と怒る父ちゃんは午後7時には湯船に浸かる 父ちゃんは腹筋が弱くなってきて寝っ転がる…

短歌友の会「彩歌」(2021年春号)掲載歌(坂井修一欄)

コンビニでお湯を注いだカップ麺しかくい物をまあるく出来た 金髪に染める心理をググってもググる心理をグーグルが読む(佳作) 連結器をはずしてみればそれっきり君と僕…

短歌人(2021年6月号)掲載歌

アレクサに君が命じた球根と水栽用のポットが届く 水栽のプラスチックのポットへと根を伸ばしてゆくヒヤシンス 起き抜けに香るコーヒー「ハイドン」と言えば満ち来るトラ…

短歌人(2021年5月号)掲載歌

生活がかかってないと仕事ってこうも楽しいものだったのね また今年新語・流行語みたいな通信講座のカタログが来る お父さん夕刊きたよ、お父さん、お父さんまた聞こえて…

短歌人(2021年4月)掲載歌

根拠なきことを「疑惑」と思いたし海を隔てた君を想いて オンライン・バトルゲームは天災に邪魔されぬまま日付をまたぐ 文芸にコロナバブルの沸き立ちてその「健全」がお…

短歌人(2021年3月号)掲載歌

(例月作品) ゆっくりと進む通勤バスの中スーツの女子がしなだれて寝る いわし雲のところどころに穴があきそこから空が落ちてくるかも 石川さゆりのあごにはもはやなく…

短歌人(2021年2月号)掲載歌

返還を翌年に待つHong Kongがフィルムスキャナに浮かび出でおり 今はなき邦銀の名の書かれいる路面電車が目の前をゆく 竹製の足場によりて囲まれし高層ビルは完成間近 H…

短歌人(2021年1月号)掲載歌

ただ単に既成事実とするための三層構造マスク買いたり 美しく何の証拠も残さすに暮れてゆきたり美しい国 総合的・俯瞰的にてもういちど読む山川の『日本史』初版 そうい…

新聞・雑誌掲載短歌(2021年)

クラスター 人も凶器になるものか酒場へ行った人のさびしさ 短歌研究詠草(1月)高野公彦 選 佳作 特別にだれに止められるでもなく心がGoToしないわたくし 読売歌壇…

短歌人(2020年12月号)掲載歌

履き慣れたナイキは水で滑るから雨の降る日はアディダスにする 独特のドラムロールで始まったスターウォーズをDVDで ナブーには地震が多分ないでしょう地核を抜けてゆ…

齊藤舞子さんの1st アルバム『風の音』を短歌にしてみました。

庭先の子犬の鼻をかすめつつ里山こえてゆく赤とんぼ/『赤とんぼ』 しゃぼん玉息吹きこめば七色の光を留めて失うかたち/『しゃぼん玉』 君つつむ都の霧は深くして朧月夜…

短歌人(2020年11月号掲載歌)

ごみ箱のゴミをかたづけ忘れても翌朝来ればかたづいている 祝日に出勤をした佳世さんのLINEにときどき着信がある 佳世さんを手伝いたいと思いつつ理屈ばかりで手が動かな…

彩歌 2022年夏号(短歌友の会)

坂井修一欄

情報は仮想フォルダに詰め込まれタブレットにて進む商談(佳作)

思考より手段尊きものなるや動画ソフトの向こうにも動画(太字添削あり)

「手順書は一見してわかるように」どんどんかわる非正規社員

五年間牢名主のごと働いて尊ばれつつ疎まれている

短歌人 2021年9月号 掲載歌

鏝先に溶けゆく半田きらきらと部品の足に馴染みゆきたり

裏庭に三人子の呼ぶ声がして君は返事を三たびしてをり

今土に還らむとする老猫を君は医院に運びゆきたり

天の川ゆ雫の一つ下り来て君の瞼にとまりて落ちぬ

次郎とふ名のつけられし画像あり君のスマホのフォルダーの中

彩歌(2021年夏号:坂井修一欄)掲載歌

今号の十人に三首載せていただきました。

「五十年に一度ですよ」バンカーの勉強会の講師のメガネ

上がりゆくゲーム関連銘柄よ出生率はなほ下がりゆく

回復を意味するといふKの文字KはKごと沈みゆくかも

なお、三首目を「選者のことば」でご紹介いただきました。
坂井先生の「面白いです。」の朱書きが、大変励みになります。

短歌人(2021年8月号)掲載歌

黒飴が咳き込む喉を潤してその日ひと日を安泰とする

雨の日も外で煙草を吸う君を煙の届かぬ距離で見ている

コンビニのポストに投函するついで缶コーヒーを買えば鳴く犬

お疲れか眠りこけてる君の前にトトロを置いてそっとしておく

二匹目のトトロを置けば目を覚まし君は両手でもしゃもしゃとする

短歌人(2021年7月号)掲載歌

「バカ天」と言ってたくせに勲章と賞状だけは飾る父ちゃん

「まだニュースやらん」と怒る父ちゃんは午後7時には湯船に浸かる

父ちゃんは腹筋が弱くなってきて寝っ転がるとぶつける頭

母子家庭の父ちゃんは父親の愛を知らないので兄も知らない

父ちゃんが私のことをわからなくなっても寂しくなくてごめんね

(作品月評5月号 会員2 三島麻亜子 選)(再掲)
また今年新語・流行語みたいな通信講座のカタログが

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短歌友の会「彩歌」(2021年春号)掲載歌(坂井修一欄)

コンビニでお湯を注いだカップ麺しかくい物をまあるく出来た

金髪に染める心理をググってもググる心理をグーグルが読む(佳作)

連結器をはずしてみればそれっきり君と僕とはそれでいいのだ

短歌人(2021年6月号)掲載歌

アレクサに君が命じた球根と水栽用のポットが届く

水栽のプラスチックのポットへと根を伸ばしてゆくヒヤシンス

起き抜けに香るコーヒー「ハイドン」と言えば満ち来るトランペットの音

何色が咲くのと問えば何色がいいのと君は問い返しくる

トーストをかじる乾いた音がして日の出は少しずつ早くなる

題詠歌 斎藤典子 選 「天」
恋愛を知ってしまったAIの発する熱に咲くヒヤシンス

短歌人(2021年5月号)掲載歌

生活がかかってないと仕事ってこうも楽しいものだったのね

また今年新語・流行語みたいな通信講座のカタログが来る

お父さん夕刊きたよ、お父さん、お父さんまた聞こえてないな

三年を塩漬けされた豪ドルの年金保険の解約をした

簡単に金が買えちゃうシステムとお金があればもうギャンブラー

短歌人(2021年4月)掲載歌

根拠なきことを「疑惑」と思いたし海を隔てた君を想いて

オンライン・バトルゲームは天災に邪魔されぬまま日付をまたぐ

文芸にコロナバブルの沸き立ちてその「健全」がお金をまわす

わたくしのプラットフォーム コンビニのコピー機の吐くA4二枚

究極のミクロなテロル 業を負い自死を選びし者の累累

短歌人(2021年3月号)掲載歌

(例月作品)
ゆっくりと進む通勤バスの中スーツの女子がしなだれて寝る

いわし雲のところどころに穴があきそこから空が落ちてくるかも

石川さゆりのあごにはもはやなくなって南野陽子にまだあるほくろ

駅前にヤマハ吹奏楽団の『宇宙戦艦ヤマト』が響く

返還の前に旅した香港のマンゴープリンのように夕暮れ

(題詠『顔』)
ご機嫌が悪いと顔に書いてくるそういう君は悪くないかも
(神代勝敏 選「地」)

短歌人(2021年2月号)掲載歌

短歌人(2021年2月号)掲載歌

返還を翌年に待つHong Kongがフィルムスキャナに浮かび出でおり

今はなき邦銀の名の書かれいる路面電車が目の前をゆく

竹製の足場によりて囲まれし高層ビルは完成間近

Hong Kongの異国情緒の情緒から醸し出される紅茶の香り

濃厚なマンゴープリン さてこれはどちらの東インド会社か

短歌人(2021年1月号)掲載歌

ただ単に既成事実とするための三層構造マスク買いたり

美しく何の証拠も残さすに暮れてゆきたり美しい国

総合的・俯瞰的にてもういちど読む山川の『日本史』初版

そういえば小学校の図書室に角栄さんの伝記があった

矢継ぎ早に不要不急の政策をメディアによって拡散させる

新聞・雑誌掲載短歌(2021年)

クラスター 人も凶器になるものか酒場へ行った人のさびしさ
短歌研究詠草(1月)高野公彦 選 佳作

特別にだれに止められるでもなく心がGoToしないわたくし
読売歌壇(2021年1月11日)栗木京子 選 (2020年12月9日登録分)

製品の多国籍化の進みおり組み立てるのは日本人なれど
短歌研究詠草(2月)高野公彦 選 佳作

ひとしきりもみしだかれたトトロには君の疲れた体温がある
うたう★クラ

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短歌人(2020年12月号)掲載歌

履き慣れたナイキは水で滑るから雨の降る日はアディダスにする

独特のドラムロールで始まったスターウォーズをDVDで

ナブーには地震が多分ないでしょう地核を抜けてゆく水中船

ヨーダにも見えぬその子の将来を観客はみな知っていました

デタラメにボタンを押したアナキンの前に母艦の原子炉がある

12月の題詠(架空の人物を詠む)藤原龍一郎 選 佳作

ワトスン君、探偵稼業もよいけれどアフガンはまだ戦禍

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齊藤舞子さんの1st アルバム『風の音』を短歌にしてみました。

庭先の子犬の鼻をかすめつつ里山こえてゆく赤とんぼ/『赤とんぼ』

しゃぼん玉息吹きこめば七色の光を留めて失うかたち/『しゃぼん玉』

君つつむ都の霧は深くして朧月夜のいずこにか見ん/『朧月夜』

てぃんさぐぬ花に染めいし爪先の子はかけゆけりからりころりと/『てぃんさぐぬ花』

五月雨をさけて休める蛍火の嗚呼あの夏はあの夏は来ぬ/『夏は来ぬ』

遊びいる子ら帰さんとメロディーの風に乗りくる『夕焼け小

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短歌人(2020年11月号掲載歌)

ごみ箱のゴミをかたづけ忘れても翌朝来ればかたづいている

祝日に出勤をした佳世さんのLINEにときどき着信がある

佳世さんを手伝いたいと思いつつ理屈ばかりで手が動かない

いくらでも僕の代わりはいるだろう部品検査を黙々とやる

「女性にも働きやすい」職場にて3時半から人はまばらに