Industry-Up Week Autumn 2021 SDGsに取り組むことで新産業創造の機会が見えてくる
Industry-Up Week Autumn 2021 インタープレナー公式レポーターの竹松です。
SUNDREDの10日間にもわたる大規模カンファレンス Industry-Up Week第1日目が終了しました。イベントの詳細はこちら。1日目が終了しましたが、参加申し込みまだまだ受け付けておりますので、ぜひご参加ください。
在宅勤務の傍ら耳を傾けてみるだけでも新たな発見があるかもしれません!
1日目は、Industry-Up Day
二つのキーのキーノートセッションと、ランチセッション、5つの産業のセッションがありました。
このnoteではキーノート 2 「SDGsに取り組むことで新産業創造の機会が見えてくる」をレポートします。
私個人は大学(学部時代)で環境学を学んでいたこともあり、SDGsについては、正直複雑な心情を持っていましたが、このセッションの対話から、より理解を深め、考え方を新たにすることができました。
あらためてSDGs(2030年アジェンダ)を理解する
「人類全体」にとっての初めての共通合意、持続可能な開発目標「SDGs」はなぜ合意されたのか。
まず、冒頭、「SDGsによって、もっと重要なものを見過ごし、ごまかしているのではないかという批判があるが、それは本当。」という趣旨の発言に衝撃を受けました。
新たな感染症。激甚化する自然災害。世界で多発する山火事、異常高温、洪水は食糧の自給システムの崩壊を招いています。これからの時代、人類には複合的な危機が襲い掛かることがわかっています。人類はそれを乗り越えていかなければなりません。「サスティナブル」といいつつも、その本質は、「サバイバル」なのです。
そのサバイバルには、まず前提として、地球が持続可能でなければならりません。私たちは、今、2030年以降、人類が生存していけるか、滅ぶかどうかの分岐点にいるのです。
続いて、「環境問題の本質は、エネルギー問題であり、経済問題である。」というお話がありました。
産業革命以降の200年間で、人類は、5億人から78億人に増加し、平均寿命は30歳から72歳に伸びるという急激な変化を経験しました。その裏側で進行したのが、公害であり、環境問題です。貧富の差も拡大しました。
環境問題は、1990年のリオサミットから注目され、1990年代後半には貧困問題、ジェンダー問題もクローズアップされるようになりました。
こうして、2001年にまとめられた2015年までの国際目標、MDGs(ミレニアム開発目標)はある程度の成果を収めています。
しかし、MDGsに取り組まれていた時代、社会の課題解決は経済性で語られるものではない。あくまで外部経済なので、政府が解決するべきものという意識が強かったとのこと。
(実体験の話をしますと、環境学専攻の私は、2000年代末に就職活動を経験しましたが、非常に苦労しました。「いいこと学ばれてますね、やってますね、(でもウチでは役に立たないねそれ。)」と、面接官に愛想笑いされて、お祈りメールが来ること、幾度となく。)
人類全体の「サスティナブル」に向き合うには、政府の政策だけでは限界があり、産業がこの「サスティナブル」つまり「サバイバル」を実現していく土壌を整えることが重要になります。
かつては、単純な図式で世界の問題が語られていました。
「人間社会の平和が保たれればよい。」
⇒ 戦争がなくなればよい。
「人間が環境をきれいすることを心がければよい。」
⇒ 気候変動を食い止めよう。
しかし、今や、世界の問題が、戦争や気候変動に限ったものではなく、果たすべき役割があることは、誰しも薄々感じているのではないでしょうか。
例えば、「果たすべき役割」を国単位でとらえると、「災害大国」である日本は、災害という危機を乗り越える知見を広めることを、世界から期待されています。
「共感」がSDGsの達成と、「その先」への鍵となるか?
近年、金融という側面からSDGsが推進されています。ESG投資と呼ばれるもので、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の観点から事業の将来性や持続性などを分析・評価し、投資先を選ぶものです。
こうした金融商品は、出資と寄付の性質を併せもっており、ブレンデッドファイナンスという側面もあります。
また、地域金融機関との連携によって、社会課題に取り組んでいる企業の資金需要にこたえようとする動きも活発になってきました。
そして、今や、ESG関連の金融商品を、個人でも、ファンドから直接、あるいはネット証券会社などで購入することができます。
SDGs達成に寄与する事業にリスクマネーを呼び込めれば、社会の課題解決を通じながら、マネタイズできる仕組みが一層広がり、NPOや中小企業などもその担い手になることでしょう。
裏を返せば、SDGsを「自分事」にしようと思えば、ちょっとした努力で手が届くようになったのです。
私が、中小企業診断士として活動する中で、先輩診断士の方々との対話で、SDGsが話題になることも増えてきています。最近は、「SDGsなんて高尚な話題は、ウチに関係ない。」という会社経営者はめっきり少なくなったようです。SDGsへの理解の広まりの表れだと思います。
ただ、「多くの中小企業や金融機関が、SDGsを語ることを憚っている。」という実情があるようです。
それは、周囲から「おタク、何調子に乗っているんだ。」と攻撃されるのを恐れていたり、あるいは、「うちのような小さな会社が取り組んで何かが変わるのだろうか。」と遠慮しているからのかもしれません。
けれども、大切なのは、自分のビジネスをSDGsだと思えるか、言えるか。
やりようがあるのではないかと考え、行動できるか。
批判する文化を受け止めつつ、できるだけ多くの方々から、共感を得ていくには、コミュニティづくりとナラティブの発信、さらには具体的なアクションが、ますます欠かせなくなっています。
SDGs達成と「その先」へのトランジションとZ世代
SDGs達成には共感が重要になってきます。共感はどうやって生まれるのでしょうか?
このセッションの対話を通じて、「共感の源泉はインパクト。社会の課題解決がどれぐらいあるのか、誠実があるのか。」ということがよりはっきりしたと感じました。
ソーシャルネイティブとも呼ばれる「Z世代」
Z世代の行動の根底には、共感があるとされています。
SDGsに貢献するには、必ずしも自分たちが持っている資源にとらわれる必要はない。ほかの誰かや、社会のアセットにかかわったアプローチでもいいのではないか。そう考えるZ世代は、SDGsのトレンドに最も敏感で、行動している世代であり、共感でつながっています。
上の世代から見れば、その行動に、ちょっと違和感を覚えることもあるかもしれませんが、彼ら、彼女ら考えていることを認める、巻き込んでいくのが重要でしょう。
なぜならば、Z世代は生まれた時からインターネットがあり、テキストや画像、動画で共感を表現したり、デザインしたりするのは、当たり前のことなのです。
それは、街の中小企業の経営者や、そこで働く人が、どちらかといえば苦手としていることでもあります。
「社会も褒められながら育つ。」
最後に、印象的だったのが、「社会も褒められながら育つ。」という言葉。
心無い「批判」が、社会の発展を阻害することもあるでしょう。
「批判」とはいわないまでも、「指導」という言葉が、これからの時代の企業経営に、ふさわしいかは冷静に考える必要がありそうですし、「支援」「診断」という言葉に代わる新たな概念が、求められているのかもしれません。
チャレンジするコミュニティを支援するエコシステムを、「クエストチーム」とともに、共感ベースで一緒に創っていく。
街のコンサルタント、あるいは地域通信会社の社員として、さらには1人のインタープレナー、「地球人」として。
誰もが、互いにほめあいながら、できることから、少々、駆け足でサバイバルな旅をスタートするタイミングが来ているのではないでしょうか。
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