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夏の終わり、彼のアパートに泊まった

二十歳のころ月に2、3度、田舎の友人と会った。私は新大塚、彼は北大塚にいた。大塚駅前で落ち合い、近くの喫茶店でコーヒーを飲んだ。いつも2人でざっと2時間は粘っていた。

夏の終わり、彼のアパートに泊まった。3畳一間の部屋で机といす以外何もない。窓を開けたら、10㍍ほど離れた場所に線路が見えた。山手線の騒音と振動。思わず家賃いくらと聞く。

「よく住んでいるね。うるさくないの」「慣れたらそうでもないよ」。数年後、2人とも大塚を離れ疎遠となる。それから30年、中学の同窓会で偶然会う。噂では大金持ちという話だ。

彼は「預貯金1億円で家は3軒持っている」と豪語。その後、年賀状の写真は3年間違う玄関前のものを使った。「家は3回建てないと理想の家にならない」を実践した。ご立派です。

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