人生は短くて長い。北斎のことばから感じたこと

川崎浮世絵ギャラリーの大北斎展へいってきました。

7月の目標としてやりたかったことの一つ、
「美術館へ行く」を達成。
これを目標にしてよかったなあ、
と余韻に浸っております。

美術館へ行ったのはものすごく久しぶりです。
長男が生まれて間も無く一度行ったきりなので、3年半くらいぶりでしょうか。
子連れで行けない場所の代表格ですよね。

今日は育休最後&次男の慣らし保育中の
ボーナスタイムと言うことで行ってまいりました。

いやー、とっても贅沢な時間を過ごしました。

大きなギャラリーではないのですが、
北斎の生涯、北斎の見た世界を
たっぷり感じることのできた素晴らしい展示でした。

こうして記事を書きながら言うのもなんですが
美術館を見た後の感想は
あえて言語化する必要はないんじゃないかな〜、
と、思ったりします。

画家の目で、心で、世界を見て、
時間も空間も超えた世界を旅する。
そんな体験ができればそれで十分。
言語化してアウトプットして何かを得る
とかそういった類のものではないと思ってます。

何か言葉にできない感じ。
その感じたことが、センスとなり経験となって
それ以降の日々に滲んでいくはず。

(と、偉そうに語りましたが、
言語化力が足りないだけなのかもしれません。。。笑)

いずれにせよ、アートに触れる贅沢な時間は心を豊かにしてくれますね。
大満足です。

今日は何を書くのかというと、
北斎の言葉から感じたことを。

北斎の「富嶽百景」初編のあとがき、皆さんご存知でしょうか?
有名なので聞いたことあるなーと言う方も多いかもしれませんね。
私はこの言葉を深く考えたことがなかったのですが、

北斎の作品の数々とともに展示してあったこの言葉を改めて読み、
衝撃を受けました。

己 六才より物の形状を写の癖ありて
半百の此より数々画図を顕すといえども
七十年前画く所は実に取るに足るものなし
七十三才にして稍(やや)禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり
故に八十六才にしては益々進み
九十才にして猶(なお)其(その)奥意を極め
一百歳にして正に神妙ならんか
百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん
願わくは長寿の君子 予言の妄ならざるを見たまふべし

「私は6歳より物の形状を写し取る癖があり、50歳の頃から数々の図画を表した。とは言え、70歳までに描いたものは本当に取るに足らぬものばかりである。(そのような私であるが、)73歳になってさまざまな生き物や草木の生まれと造りをいくらかは知ることができた。ゆえに、86歳になればますます腕は上達し、90歳ともなると奥義を極め、100歳に至っては正に神妙の域に達するであろうか。(そして、)100歳を超えて描く一点は一つの命を得たかのように生きたものとなろう。長寿の神には、このような私の言葉が世迷い言などではないことをご覧いただきたく願いたいものだ。」

(Wikipediaより)


「人生とは、なんて時間が短く、道のりが長いんだろう!」

私は、こんな北斎の声が聞こえた気がしました。

ギャラリーにあった絵はほとんどが
70歳代以降に描かれた作品でした。

人々の暮らしと、それを見守る自然が
細やかに、豪快に、描かれていました。
それは200年以上の時を超えて
人の心を十分に動かす作品。
江戸の人たちが確かにそこに生きていたことを感じさせてくれるものでした。

でも、本人曰く
「73歳になってさまざまな生き物や草木の生まれと造りを
 いくらかは知ることができた。」

ですって!

何かを極めるのに、人生はなんて短いんだろう、
という北斎の気持ちを感じます。

私は、6歳から取り組んでいるような技術はありません。

でも、私にも何かあるかな?と考えた時に
「どう生きるか?」にはずっと取り組んでるような気がしました。

死んだらどうなるんだろう?
生きるってなんだろう?
これはずっと考えている気がします。
(ずっと、と言っても、頭の端で考えてきただけですが。)

良いことをしたら幸せになれる、
悪いことをしたら不幸になる。
と教わって育ちました。
でも「良いこと」ってどうやってするんだろう?
幸せってなに?
かっこよく生きたい。誰かに褒められたい。
死ぬのは怖いな。人生の意味は?

こんな取りとめないことを、特に子どもの頃はよく考えていた気がします。
ただ「ずっと考えていた」と言っても、ずっとぼんやりで
最近になってやっと真剣に向き合い始めた、
と言う感じなのですが、、

絵に人生を捧げた北斎でさえ
73歳でいくらか知ることができた、と言うこと。

80歳くらいまで生きられたら私も人生というものについて
いくらかでも知ることができるのかな・・・

北斎の言葉を聞いてそんなことを考えました。

反面、成果を出すのに50年近くかかる、
こう考えると長い道のりですよね。

人の心を動かそうと思ったら、
まして、200年以上後を生きる人の心まで動かすほどのものを残すには
それだけの時間がかかる、ということですよね。

私が今からそのような作品を世に出そうとしているわけでは無いですが
これから仕事で、家庭で、社会で、
自分が生きた証を何か残したいとしたら・・・
人生をなめたらいかんな、と思わされますね。


長くて短い人生ですね。
北斎のように(というのは大変おこがましいですが)
人生に対して貪欲に向き合いたいなと思いました。

それにしても、彼は
名前や住む場所を数え切れないほど変えていたりと、
かなり波乱万丈の人生だったようです。
そして
「この1000年で最も偉大な功績を残した100人に選ばれた唯一の日本人」
だそうで。
鎖国していた江戸時代の一人の日本人が
全世界に大きな影響を与えるなんて、驚きですよね。
北斎についてもっと知りたくなりました。
彼についての本読んでみようかな。


以上です。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!

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