初めて観た“競技かるた”が「ちはやふる」の世界そのまんますぎて衝撃だった。
先々週の日曜日、京都の嵐山で開催された競技かるたの大会「第3回ちはやふる小倉山杯」を観に行った。
競技かるた界を牽引するクイーンや名人のトップ選手が集結する大会で、漫画「ちはやふる」の作者、末次由紀さんが協賛している。
もともと「ちはやふる」が好きだった。いつか生で観てみたいと思っていたけれど、なんとなくハードルを感じていた。
が、今回の「ちはやふる小倉山杯」は、そんな「ちはやふる」ファンにも向けた大会のようだったので思い切ってみた。
静かでバチバチの戦い
会場は「嵯峨嵐山文華館」。
もともと百人一首は嵐山で誕生したと伝えられていて、「嵯峨嵐山文華館」では百人一首の歴史などを展示している。
大会は全部で3回戦まであり、私は2回戦から観戦した。
入り口で配られたパンフレットには、「ちょっとした物音でも選手の集中力を妨げる」とある。音だけでなく、読手が読みだしたら視界の邪魔にならないようにわずかな動作も止める。「ちはやふる」で描かれていたように、音や集中力の重要性が伝わってくる。
ドキドキしながら会場に入る。
綺麗な座布団に座り、静寂に包まれた空間で試合が始まる。
読手さんが、まるで教材CDを聴いているかのような美しい声で札を読み上げる。
読手さん「朝ぼらk……」
シュパンッッッッ!!!!!
僕「(!?)」
読手さん「しのぶれd……」
シュパパーンッッッッ!!!!
僕「(!?!?!?!?!?!?)」
読手さん「田子のうr……」
サッ!!!ッターン!
僕「(????????????????!!!!!!!!!)」
衝撃だった。
コンタクトが乾いて剥がれ落ちそうになるぐらい、目をかっぴらいて凝視していた。けれど、まじでどちらが取ったか見えない。
気づいた頃には畳の衝撃音が静かに鳴り響く。
まるで悟空とブロリーが瞬間移動をしながら戦っているといったら大げさだけれど、とにかくもう見えない速さで何かが行われているような気持ち。
札の取り方は様々で、居合斬りのように鋭く見えることもあれば、そよ風が吹くようにいつの間にかさ〜っと札が消えているように見えることもある。取った時の音が聞こえない。
静かな「ドラゴンボール」というか、高貴なバトル漫画というか。どちらが取ったかは解説用のモニターを観ないと判断できなかったけれど、静かでバチバチな戦いは、「ちはやふる」で読んでいた世界そのものだった。
こ、これが「ちはやふる」に出てきたやつなのか!?
反応の速さにも、ミーハーながら「ちはやふるだ!」と感じさせられた。
たとえば「朝ぼらけ〜」は、「朝ぼらけ有明〜」と「朝ぼらけ宇治〜」と2枚の札がある。つまり、朝ぼらけ(あ)か(う)か、6音目まで聴かないといけない。
が、一般人の私からすると、もはや「朝ぼらk…」と「け」を言いかけたぐらいで腕が動いているように見えた。
競技かるたでは、読手さんの発する微妙な音や息の吐き方を感じて札を取るらしい。こういった感覚を「感じがいい」と表現するらしいのだが、
「も、もしや、こ、これがちはやふるに出てきた『音になる前の音』というやつか!?!?!?」と、心の中でものすごく興奮した。
ちはやふるの世界を少しだけ
どういった意図や戦略で札を並べたり、送っているとかはまったく分からない。
しかし、札の数が少なくなるにつれて、怒涛の巻き返しがあったり、序盤は落ち着いているように見えたけどだんだん荒々しく見えてきたり、「ちはやふる」で描かれているような、ジリジリとした駆け引きや心理戦が起きていることはなんとなく伝わってくる。
今回私が感じた競技かるたの楽しさは、知識が乏しいのでほんのほんのほんの少しに過ぎないと思うけれど、それでも今まで体感したことのない世界でとても面白かった。
当たり前なんだけど、「ちはやふる」の世界って本当にあったんだなぁと思った。
春の嵐山を少しだけ満喫しつつ、初めての競技かるたも観戦できて良き1日だった。
↑YouTubeの中継動画だとかなり分かりやすい解説とスローモーションが付いているので、めちゃくちゃ理解度が上がってよかった。
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