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徒然に思ふこと (2) :欧州の右派が打つべき次の一手!

今回のEUと英国の選挙は予想通り右派の圧勝でしたね🎵
4月21日付「6月のEU議会選挙は保守に期待!:欧州保守派事情(3)」

EU選挙と右派躍進の背景と意味

今回は(1)「ロシアとの戦争へとひた走るEU理事会とNATOへの反発」、と(2)「更に深刻化する移民を引き起こすEU理事会への反発」が欧州の国民の怒りに火をつけた結果が如実に選挙結果に反映しています。

7月1日付でEU議会の議長国となったハンガリーのオルバン首相は当番期間の6ヶ月をフルに使うために初日からアクセルが全開で頼もしいです。当番期間の最優先議題を「平和の達成」と位置付けたことは過去のEU議長国がおとなし過ぎて誰も言い出さなかったのに対して、その勇気と行動力を讃えたいです。2日目の7月2日にウクライナ・ゼレンスキー大統領代行(法律上はとっくに大統領ではない)、5日には仲介役としてロシアを訪問してプーチン大統領と会談。この調子で、米国のトランプ氏を訪問してもらいたいですね(笑)
このオルバン首相の周到かつ電光石火の早業に、EU委員長のフォンデア・ライエン女史はパニックとヒステリーの二重奏状態です(爆笑)

さて、オルバン首相の武勇伝はさておき、今回は移民の問題についてです。

日本の海外難民への支援は年金生活者を上回る

日本に海外から難民が来た場合には、1日あたり2400円の生活費が支給されるので大人1人当たり月額7万2000円です。4人家族で子供二人の場合の世帯は月額19万2000円で、夫婦のように大人2人世帯は12万円です。
一方で、日本の老人が貰える年金は、国民年金(老齢基礎年金)で6万6250円です。難民よりも低いのですよ。さらに、老人は年金から介護保険料を払い続けなくてはならないので手取りはもっと減ります。この年金は定額部分だけなので、平均的な収入で40年間就業した場合に受け取る年金として厚生年金(老夫婦2人世帯)で月額22万4482円です。10万円くらいは難民の生活費より高いですが、40年間働いてきた結果の差として考えても1年あたりにすれば1年間で2500円の生活費の差を40年間コツコツ積み上げて難民よりも少しだけ高い生活費を手にしていることになります。
そう考えるとバカらしいと思えませんか?

日本の難民への生活費支給額は国際的に著しく高いというわけではなく、むしろ低いかもという前提で考えると、欧州の各国で難民や移民が大挙して押し寄せることがいかに重大な問題なのかを実感できると思います

さらに不満だらけの欧州市民

働かない難民や移民には生活費を支給しなければなりません。その生活費を支払えば国家財政が逼迫し、高齢者への年金や医療などの社会保障に影響が出ます。それでは、難民や移民を再教育して働き手に変えたらどうか?そうすると欧州の人々の職を奪うことになります。ユーロ圏の失業率は6.5%程度。これでも良くないのに、さらに若者の失業率は14.9%もあります。実感からすると5人の若者の1人は失業者という意見もあります。スペインやポルトガル、イタリア、フランス、エストニア、スロバキア、フィンランドが若年失業者が高い国です。EUは貿易の自由・資本移動の自由・労働市場の自由を目指した同盟なので、どこか入国しやすい国でEUの居住権を手に入れてしまえば、あとはどの国に移動しようとも自由です。これを移民たちに逆手にとられています。さらには、最近北欧では移民たちによるレイプ被害の急増などの治安悪化にも深刻な影響を及ぼしています。

あるドイツ軍の元将軍がインタビューで以下のように答えていました。
「ウクライナ難民はドイツに来て働かずに生活費をもらっている。一時的な避難の期間が過ぎても帰ろうとしない。また、帰っても戦場には行かないと言っている。そんなウクライナ国民のために、ドイツ兵が戦地に行ってドイツに子や孫を残して命をかけて戦いたいと思いますか?馬鹿げている。ブリュッセル(EUの意味)がどんなに美辞麗句のレトリックを使っても、ドイツ軍はその片棒をかつぐべきではない。」

それくらい移民問題が深刻なのですが、「マルクス共産主義フランフルト学派急進左派系・世界同時革命志向・伝統文化破壊主義的・世界植民地支配・世界統一政府志向主義者」(簡単に言えばグローバリスト)のフォンデア・ライエン女史率いるEU理事会首脳部は何の対策も打たず「EUは自由と民主主義と人道主義を優先する」と、まるでヒラリー・クリントンかあ?というようなことを言っているだけです。バカじゃないの?と思いますが、さらにこれらのEU理事会首脳部はEUの国民が直接投票して選んではいないのです。各国の代表は選挙で選ばれますが、小選挙区制ではかなり民意から歪んでくるので、これは日本の自民党を見ていても分かることです。
これに対する怒りが、「反EU主義」であり「反グローバリズム」であって、この怒りの受け皿となって躍進しているのが今回の選挙の右派や酷い時には極右と蔑称されている人たちなのです。

中東や北アフリカから避難してきた初期の避難民から始まって、さらに計画的に行動に移した移民が十年以上も欧州に殺到しています。
日本では難民申請者は1万2400人程度で生活費の保護を受けているのは204人。英国では10倍の11万8000人難民申請し、10万4000人が生活保護を受けています。ドイツでは24万人と20倍の難民申請があり、生活保護者は88万人です。ドイツは日本の人口の約半分なので、実際には40倍近いイメージになります。

もともとは約20年前の時点で、トルコ(230万人)、北アフリカからは310万人で、内訳はモロッコ(170万人)、アルバニア(80万人)、アルジェリア(60万人)の難民が発生しました。2011年のチュニジアでの民衆クーデター「ジャスミン革命」から始まった一連のアラブの春ではエジプト、リビア、イエメンの独裁政権が倒れ、そしてシリアに広がりシリア内戦をもたらしました。その結果、欧州へはシリアからの難民も加わることにもなります。2014年のマイダン革命でウクライナに米国傀儡政権が誕生し、2022年には東部近くで虐殺されていたロシア系住民を保護しようとプーチンが特別軍事作戦を起こしましたが、英国のジョンソン首相が支援をウクライナに焚き付けたため、ウクライナ戦争に発展しました。これによって、ウクライナからの避難民も欧州域内に押し寄せる結果となりました。

移民問題を引き起こしたのは米国のネオコン政権

北アフリカから中東にかけて広がったアラブの春も、ウクライナのマイダン革命やそれに続く東欧の一連のカラー革命も、誰も余計な手を出さなければ難民は発生しませんでした。しかし、「自惚れた米国支配層がいつも介入する」のです。いや、「自惚れた米国支配層がそれらを巧妙に仕組み、『自由と民主と正義』というお決まりの錦の御旗でシナリオどおり介入する」というほうが正確です。それが米国の外務省である国務省の仕事だからです。

友好的な外交とは程遠い仕事であって、世界中を見張って介入できるチャンスはないかと虎視眈々と狙っているのが米国の国務省です。介入できる隙があれば、その下工作を法務省傘下の諜報機関のCIAを使って行い広報委員会が世論を誘導する準備を始めペンタゴンが基地やアクセスルートを設営し下院議会が予算を検討し始めます軍需産業であるロッキードやレイセオンは計画生産の準備を始め、情報装備や兵站の準備を始めます兵站は武器や弾薬の移送だけではなく、兵士が現地で休養できる後方基地の設営や病院、レストランやケータリングの運営サービスに至るまで、想像以上に広い底辺のピラミッドがネオコンという軍需産業なのです。

この「米国という気の狂った国」がなぜこうなってしまったのかは以前にも「マルクス共産主義や啓蒙思想の欠点」に関連して投稿しているので参考にしてください。

欧州市民よ!怒れ!

米国の儲けのために各地で紛争が準備され、各地で軍事介入と破壊行為が行われ、そして難民が発生すれば欧州の国々が引き受ける。欧州の政治家たちは今までよく我慢してきたなと思います。

EUの前身である欧州経済共同体(EEC)が発足した1957年から1980年代までは、構成国の間で協調政策が取られた「緩い統合」の時期でした。この時期、EECは移民政策について何の権限も持っていませんでした。1990年代に入ると欧州各国は庇護申請者など難民の増加の波に直面して、構成国間で共同作業を開始することになりました。その際の協定が、マーストリヒト条約(1993年発効)、シェンゲン協定(1995年発効)、ダブリン協定(1997年発効)です。移民問題は「EU 共通の利害」として認識され、EU 共通の移民政策への取組みが開始されることになりました。フィンランドのサウナで有名な都市タンペレで行われたタンペレ合意(1999年)では「包括的な概念で人道的及び経済的理由から引き起こされる移民受入れの調整を行う」とされ、「できる限り公平な権利と義務が認められるように扱われなければならない」とされました。その後、2004年の「欧州連合における自由、安全及び公正を強化するためのハーグ計画」に引き継がれます。

一見して、「崇高で人類愛に基づいた素晴らしい政策」にも見えますよね。
しかし、ここに重大な落とし穴があります。
EU共通の政策としている以上は、EUが決定した移民の受入れ政策どおりに加盟国は従わなければなりません。しかし、各国はその財政の中で負担しなくてはならず、さらに移民により若年層失業率が上がっても、それは各国の自助努力の責任でありEUに文句を言えません。
つまり、「EU理事会が好き勝手に理想的なええかっこっしいの政策を行なった結果、各国がその後始末をしなければならない」
のです。

九兵衛が考える「EU各国に打ってもらいたい妙手」

私は、「欧州右派が優勢となった国が連名で、米国バイデン民主党と国務省・法務省を訴える」という行動に出てもらいたいと考えています。それは「移民増加の責任は米国の介入主義が原因なのでその負担分の損害賠償を請求する」というものです。まあ、「はっきり言って前代未聞」です。

しかし、「EU加盟国が個別にあるいは連名で、どこかの国を訴えるのにEU理事会の許可は不要なはず」です。しかも、「どんなに口汚く罵って戦争寸前になろうともNATO加盟国同士で戦争することはできません」。
つまり、逆手にとればいくらでも元凶の米国を袋叩きにできるのです。
さらには、指導監督責任の能力不足からフォンデア・ライエン女史を引責辞任に追い込むこともできるかもしれません。(オルバン首相は気づいているかな?この妙手)

そんなことを徒然に考えてみました(笑)。







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