大きな映画館

小さな映画館が好きです。

それぞれのシアターが選んだこだわりの作品や、企画を見ると、その映画を作り上げた監督や製作陣や俳優だけでなく、この映画を日本で上演するために一生懸命になった人たちの思いも感じられます。

大規模な宣伝を打っていない作品も多いため、その映画館でしか出会えなかった作品を見られる喜びもあります。

その一方で、大きな映画館も好きです。

東京に行くと必ず行くのが六本木ヒルズにあるTOHOシネマズのスクリーン7。座席数は521席に、車いす席2席。(車いす席、少ないな…)何度も行っていますが、行くたびに想像より大きい気がして、毎回オッと思います。音響もドルビーアトモスとやらを導入していて、音が“動く”んです。

まず、スクリーン7に入る瞬間が好きです。

暗い入り口を進むと、突然広がる大空間。底が見えない海に浮かんでいるような感覚に陥ります。どこまで広がっているか分からない空間に放り込まれたような、少し怖いようなワクワク感。500人を超える人間が同じ方向に向かって座り、巨大なスクリーンに映し出される物語に入り込む。笑ったり、泣いたり、時には目を背けたりする。500人が息を呑み、鼻をすすり、ため息をつく。何だかすごい非日常体験です。

大きな映画館の楽しみは、映画を見終わったあとの女子トイレにもあります。大きな映画館はトイレの数も膨大にありますが、それでも上映後の女子トイレには、たいてい行列が出来ています。

列に並ぶと、いろんな人の感想が聞こえてきます。小さな映画館に来るお客さんは、好みが似ていることが多いですが、大きな映画館に来るお客さんは嗜好も思考もバラエティに富んでいて、感想もさまざま。映画に対する新しい視点をもらえたりします。

男子トイレは、上映後もこんなに賑やかじゃないんだろうな。

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