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教材編集者になる直前の半年間の話

1996年10月という実に中途半端な時期に,私は教材編集者としてのキャリアをスタートさせ,2023年10月で27年になります。今回は教材編集者になる直前の約半年間について書いていきます。以前投稿した「遅れてきたバブルを経験したときの話」の間に起こったことです。


最初に就職した会社で経理課へ異動

初回にも書いた通り,最初に就職したのは大阪の学習塾の運営会社で,社員講師をしていました。高校生を教えていましたが,異動で小中学生を教えることになりました。ただ,私がダメ社員だったこともあって,異動先の上司とは折り合いが悪かったです。この上司は私を外すように取締役に掛け合い,1996年4月に私は急きょ財経部経理課に異動することになりました。要するに干されたのでした。

当時,私が在籍した会社は株式上場を目指していて,財経部はとにかく人手が欲しかったらしいです。しかし,もちろん私は経理に関してド素人ですし,そもそも経理の仕事をするためにこの会社に就職したのではないので,異動をきっかけに転職を決意したのでした。この段階では,教材編集という仕事があること自体を知りませんでした。

転職活動を行って内定を得る

当時はインターネットの転職サイトはなく,新聞の求人欄で転職先を探しました。すると,全国的にも有名な教育系企業が中途採用の求人を出していたので,応募しました。

すると,書類選考を通り,当時はオンライン面接などないので東海道新幹線に乗って一次選考を受けに行き,次に進んでまた新幹線に乗って二次選考を受けに行き,内定を得ることができました。もう一度呼ばれて新幹線に乗って会社を訪問すると,総務の人から勤務地は東京で給料はこれくらい,といった条件提示を受けたのでした。

退職届を出す前夜にかかってきた電話

会社でお世話になった方々に内々で退職の挨拶をすませて,翌日に会社へ退職届を提出しようと考えていた夜,突然電話が鳴りました。転職する予定の会社の総務の人からで,「会社の状況が変わったため,採用できなくなりました」とのこと。

いまなら,こんな内定の取り消し方をすると,場合によってはSNSにさらされて炎上しかねないですが,当時はSNSどころかインターネット自体が普及しておらず,大きな騒ぎにはならないと考えたのでしょう。私はやっと経理から抜け出せると思っていましたから,目の前が真っ暗になりました。

保険会社からの問い合わせ?

内定取消後,当時住んでいた実家のとなりのおばちゃんと会ったとき,
「ちょっと前にあんたのことを聞いてくる電話がかかってきたから,ええように言うといたよ」
と言われたのでした。また,経理課の非常勤の女性社員からは,
「少し前に保険会社の人から電話がかかってきて,あなたについていろいろ聞かれましたよ」
と言われたのでした。女性社員が聞かれた内容を聞くと,私が中途採用の役員面接で話したことでした。

どうやら中途採用に応募した会社は,保険会社を名乗って私の身辺調査を行っていたようでした。身辺調査が原因で内定が取消になったかどうかはわからないですが,とても気味が悪かったので,内定取消になってむしろ良かったのかも?と考えるようになったのでした。

教材編集者の求人を見かけて応募

内定は取り消されたものの,経理の仕事を続ける気はなく,引き続き新聞の求人欄で転職先を探しました。あるとき,大手通信教育出版社の中途採用の求人を見かけました。当時,社名変更や株式上場を行い,業績が右肩上がりで勢いのある会社でした。

少しすると,この通信教育出版社の子会社の編集プロダクションも中途採用の求人を出していました。このとき考えたのは「親会社のほうがずっと人気があるはずだから,競争率の低そうな子会社の求人だけに応募しよう」でした。親会社か子会社かよりも,経理課から脱出することが最優先でした。

空席が目立った採用試験

子会社での一次選考の当日,山陽新幹線で岡山に行って社屋でペーパーテストを受けると,空席が目立ちました。どうやら同じ日に親会社の採用試験もあったようで,両方の求人に応募していた人の多くは親会社のほうへ行ったみたいでした。

こんなラッキーもあって一次選考→二次選考と進んで内定を得て,1996年10月に岡山で教材編集者としてのキャリアをスタートさせました。

なお,子会社へ入社して半年くらいたったころ,私と近い時期に親会社へ入社した中途採用の社員たちと仕事をする機会がありました。経歴だけを比べると私はとてもかなわず,もし親会社の採用試験を受けていたら経理の仕事を続けていたのではないでしょうか。

当時を振り返ると…

当時を振り返ると,もし経理課に異動になっていなかったら,もし内定を取り消されていなかったら,もし子会社と親会社の採用試験が同じ日ではなかったら,教材編集者になっていなかったと思います。私は現在も教材編集の仕事を続けられていますし,導かれるように教材編集者になった気さえします。

また,当時は干されていたと思っていたものの,経理課にいたおかげで,初歩的な経理の知識を身につけることができました。独立後,税理士さんと話をするときに役立っています。

教材編集者になる前に勤務していた会社は,前述のように株式上場を目指していましたが,業績の悪化などを理由に私の退職直前に上場を断念しました。もともと社員の定着率が低めの会社でしたが,私の転職後にはさらに退職者が相次いだらしいです。

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