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結果的に単価が高い仕事を選んでいた話

教材の執筆・編集・校正で,ものすごく単価の安い仕事の話をときどき聞きます。ただ,弊社の取引先に関して言えば,とんでもなく安い単価の仕事を打診されることはまずありません。今回はその理由について考えてみました。

小中教材の仕事をしていない

以前書いた理由で,私(中村)は小中学生向け教材の仕事をしていません。たまに打診があっても,「お役に立てなくて申し訳ないです」とお断りしています。とりあえず高校生向け教材を中心に,大学生向けリメディアル(学び直し)教材,公務員試験対策教材などの仕事で生活ができています。

知っている範囲で言うと,小中教材は高校教材などに比べて単価が安いようです。小中教材は仕事ができる編集プロダクション(編プロ)やフリーランスのライター・編集者・校正者が,高校教材より多いからかもしれません。

なお,原則として4年に一度,小学校・中学校それぞれの教科書改訂のときは小学教材・中学教材も改訂になり,教科書改訂の前年には大量の仕事があります。この時期になると,編プロやフリーランスの人たちはどこも忙しくなってなかなか仕事が引き受けられないため,需要が供給を上回る売り手市場になるようです。

編プロの孫請けをしていない

これも以前書いた理由で,編プロからの孫請けの仕事をしていません。版元と弊社の間に編プロが入ると,中間マージン(要するにピンハネ)のため版元から直接受注するよりも単価が安くなります。過去にフリーランスの知人から聞いた話だと,版元から直接受注した仕事と同じ仕事を編プロからも打診され,提示された単価がかなり安かったとのことでした。

ただし,編プロが中間マージンで大儲けしているかと言うと,そうでないケースがほとんどだと思います。というのも,版元から発注される仕事の一般的な単価を考えると,中間マージンは大した金額にならないはずだからです。

弊社の場合,社内で作業をせずに外部協力者へ丸投げすると全然儲からないですし,納品物の品質保証が難しくなるため,原則として孫請けへの丸投げは行わないようにしています。

執筆・校正より編集の仕事が中心

現在は教材専門のライターや校正者がけっこういますが,その昔,教材の原稿執筆や紙面の校正は,学校や予備校の先生が副業で行う仕事でした。

副業と言えば,たまにネットで「副業で月10万円稼げる」みたいな記事や広告を見かけることがあります。確かに,本業とは別に副業で月10万円稼げると,生活に余裕が出てきます。

しかし,月10万円の収入だけでは,一般的には十分な生活ができないです。教材の執筆・校正は,副業として考えると高めの単価かもしれませんが,本業にするにはかなりの仕事量を引き受けないと難しいです。

一方,編集の仕事は,多くが本業として取り組める単価です。版元から求められる編集能力は,以前書いたような編集に関する知識と経験が必要で,だれでもできる仕事ではないです。ということで,執筆・校正よりも編集の仕事を中心に受注するようにしています。

なお,私は校正の仕事もしています。これは,私以外の教材編集者が原稿整理をした紙面を見るのは,とても勉強になるからです。また,校正の仕事を通じて,版元に私の教材編集の能力を知ってもらうことも目的の一つです。私の場合,教材の編集が本業で,校正は副業かもしれません。

ページレイアウトの仕事をしていない

かつて紙面のページレイアウトは,高額のシステムを導入した印刷会社が行うものでした。これがMac DTP(DeskTop Prepress)の普及によって,中小の印刷会社や編プロ,フリーランスでもシステムを導入してページレイアウトが行えるようになりました。

Mac DTPが普及してからは,印刷会社がページレイアウトを安く請け負うことで印刷の仕事も受注しようとしたり,編プロが編集の仕事を受注するために安くページレイアウトも行ったりするケースを見かけます。ページレイアウトが印刷や編集のオマケと化していると言えばいいでしょうか。

私も会社員時代に少しページレイアウトの経験があるので,独立直後にはMac DTPに必要なものを一通りそろえました。しかし,現在はページレイアウトは行っていませんし,すでにMacは処分しました。

編集とページレイアウトの両方をすると,単純に考えて二人分の仕事量になりますし,ほとんどの場合,売上が2倍になるわけではないです。ページレイアウトをする時間があるなら,もっと編集の仕事を増やすことにしました。

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