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大学に合格して塾講師になろうとする君に伝えたいこと

この記事の目的は、大学生と塾のミスマッチを減らすことだ。あらかじめ断っておくが、塾のネガティブキャンペーンをするわけでも、大学新1年生に現実をつきつけるわけでもない。調べても出てこない情報を提供して、大学生と塾のミスマッチを減らすこと。これが目的である。

早い話が、自分が塾講師に向いていると思えばやればいいし、向いていないと思えば最初から応募しなければいい。

そして、この先君が塾講師になったとして考えられることを想定して色々と書くので、大学新1年生に塾講師というバイトを検討してもらいたい。

いくつかのセクションに分けて書いておく。

応募の段階で気にすること

待遇がちゃんと書いているか。授業は○○円、授業以外の事務給は○○円、とちゃんと書いているか。また、研修の自給が著しく低くないか。

履歴書を出したら、あとは人手不足の業界なので問題なく通過するだろう。ここで採用されなければ、運が悪かったと思ってあきらめよう。

「週何日働ける?」と聞かれたら、週1日と答える。

これには理由がある。君が働く校舎では、アクシデントがあって年度途中で他のバイト講師が退職するかもしれない。社員さんが急病で授業に入れなくなるかもしれない。調べてもなかなか出てこないが、塾講師は体力勝負の仕事であると同時に急病人が出やすい職業だ。そんなときに、校舎長は手当たり次第に授業に入れないかと聞く必要に迫られる。

君に余裕があれば、いけますと答えて週2日~3日の勤務になるだろうし、そのままなら週1日だ。

最初から、週4日以上いけますと答えたら、授業準備・保護者対応もろもろ大変なので、やめたほうがいい。運動前の準備体操のように、仕事のペースを掴んでから増やしたほうが長続きするし、ストレスもかからない。

週2日以上働けないのかと校舎長から頼まれても、「他のバイトもあるので」と答えておこう。それに、夏期講習・冬期講習・春期講習でけっこう稼げると思うから、週1日のほうが税金のことも考えるとよいかもしれない。

まずは、週に1度渾身の授業を行うことで、生徒からの信頼を得よう。

働いてたしかめること

・念のためICレコーダーをポケットの中に忍ばせておくとよいかも。

・授業開始10分前に出勤して、授業終了後10分後に退勤できるかどうか

・授業以外の業務がどのぐらいあるか?欠席者への電話連絡、保護者との面談・・・。そしてそれらに賃金が発生しないと言われたら、あらかじめ持って録音しておいたICレコーダーを持って、労働基準監督署へ。えっ?そんな余計なことするなって?いやいや法律に則って従業員を働かせない塾が悪いんです。ちゃんとお給料を出せばいいんですよ。

・職場の社員さん(塾によっては「専任」と呼ぶ)が優しい人かどうか。

・校舎長が優しくて気遣いができる人かどうか。

・働きやすい職場かどうか。

保護者対応

意外に思われるかもしれないが、基本的にクレームは少ない。というか、大学生なら大目に見てくれるかもしれない。

保護者の方々も薄々君が大学生のバイト講師だと気づいていながら、熱意や創意工夫を買ってくれて、温かく見守ってくれていることだろう。また、そうした工夫によって生徒の成績は良くなっているかもしれないし、悪くなってもそれは我が子の頑張りが足りないからだと思われるかもしれない。

どうしても保護者とのやりとりに困るのであれば、社員さんを頼ろう。頼れない職場は人手不足だし殺伐としているので、さっさと辞めよう。

塾講師は大したことない職業

このタイトルを読んだらプロ意識を持っている塾講師の先生方は怒るかもしれないが、私はそう思う。本当に大したことないのである。「先生」と呼ばれるだけでつけあがっている馬鹿者が多い業界だ。謙虚な気持ちが薄れていく馬鹿を何人も見てきた。

君もその仲間入りをしてしまうかもしれない。たしかに「先生」と呼ばれてちょっぴり大人になった気分に浸る経験も悪くない。ただし、「先生」と呼ばれ、慣れてきた頃に自分が本当は何者なのか、実は何者でもないただの10代後半~20代前半の馬鹿者であることに気がついてほしい。そして、何事からも学ぶこと、目上の人・目下の人・保護者・生徒に裏表なく、分け隔てなく接することを自覚してほしい。

学業との両立

社員がどうして塾講師として生きることに決めたのか。それは塾講師にしかなるものがなかったのかもしれない。中には、大学在学中に塾のバイトにのめりこみ過ぎて、そのまま新卒採用・はたまた大学を卒業できずに中退した人もいる。並々ならぬ決意で塾業界で働いている人たちに対して、ケチはつけないが、私はせっかく入学した大学で得ることのできた知識教養を疎かにしてもったいないと思う。

はっきり言って、塾講師より大学教員のほうが戦闘力は高い。塾講師になることに比べて、大学教員になることは遥かに狭き門だ。学部・修士・博士課程と長い間下積み期間を経て、何本も論文も書いてやっと大学教員として認められた先生方から教えを請うチャンスをふいにしていないか?

目先のバイト代に目を奪われて、一生モノの教養を身につけることができる機会を台無しにしていないか?せっかく大学に払っている学費を無駄にしようとしていないか?よく考えてほしい。

特に夏期講習と冬期講習は、大学のテストとも重なる。塾は大学の学業のサポートはしてくれないと言ってもよいだろう。というか期待してはいけない。すべては自己責任かもしれないという危機感のもと働いてほしい。

結論

よく考えてから塾講師のバイトに応募しよう。

時給の高さに惑わされず、複雑な仕事は社員に任せて、なるべく遅く出勤してなるべく早く退勤しよう。君の貴重な大学生活、もっとやるべきことがあるかもしれない。塾に学生生活4年間(そしてそれ以上)を捧げてもよいのであれば、この記事はもう参考にしなくて構わない。それもそれで素敵な人生。大きなやりがいがきっとある。

続編を書くかもしれないが、とりあえずこの辺で。

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