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二十四節気の養生法【2023 大寒】

 1月20日から2月3日(立春の前日)までの2週間が「大寒」です。
英語での表記は【Great Cold】。めっちゃ寒い!って感じですね。
 いよいよ冬の最後の節気ですね。暦便覧には「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也 」とあります。「陰極まれば陽に転ず」一番寒いときですが、ここを過ぎれば春がやってきますね。
 小寒(1/6)で「寒の入り」となり大寒の最終日(2/3)が「寒の明け」、この1ヶ月間が「寒の内」で一年で最も寒く寒邪の勢いが旺盛になります。
 春の足音ももうすぐそこまで聞こえていますが、しっかり冬の養生をして寒邪の侵入を避けましょう。
 中医学では冬の養生をしっかりしておくと春に元気で健やかに過ごせると考えます。花粉症がツライ方など今から少しずつ湿を溜めないよう心掛け、水の巡りを調えておくことが大切です。また、子どもの受験や年度末に向けてストレスフルな毎日ですが、を労わり疏泄作用も低下させないよう気をつけてお過ごしください。

寒い時こそ楽しく過ごそう

今月の癒しの庭園 大徳寺 三玄院「昨雲庭」

 今月のお庭は大徳寺の塔頭「三玄院」の名園「昨雲庭」をご紹介します。
と言いたいところなのですが、実際に行って中に入ると建物内もお庭の写真撮影が禁止となっておりましたので、せっかくの綺麗なお庭をお見せすることが出来ません。申し訳ありません。
 しかしお庭はこじんまりとしたお庭なのですが、とても素晴らしい庭でしたので、いただいたパンフレットと「京の冬の旅」のガイドブックに掲載されているお写真を拝借させていただきます。

 三玄院は大徳寺の塔頭で、1589年春屋宗園和尚を開祖として戦国武将の浅野幸長・石田三成・森忠政が帰依して建立され、石田三成や古田織部の菩提寺で、また沢庵和尚や千宗旦(利休の孫)、小堀遠州や長谷川等伯らの修道場として知られています。

 門をくぐるときれいに整備された通路があり、そこを通り抜けて方丈に入ると方丈前に苔や名石の島を配した白砂で広がる大海を表現した枯山水庭園の「昨雲庭」が広がります。

三玄院パンフより

 昨雲とは、迷いの後もとどめない人間本来の清浄な姿と言われ、心を落ち着けてお庭を見ると大海原、遠山、深山幽谷または七五三とも心字ともなると言われます。
 奥にある背の高い滝石は、落下する水の動きが見え手前の低い石は滝壺に落ちた水が白い泡を吹き上げている様です。
どの石も地表に現れている何倍もの大きさが地中に埋もれていてどっしりとした質感で、簡にして要をとらえ、雑を去って玄を求める禅の庭と言われます。奥の大きな屋根は大徳寺の大伽藍を借景として見事に調和しています。

三玄院パンフより

 反対側からの景色で「昨雲庭」越しに三玄院の本堂を見ています。
本堂には「春の間」、「夏の間」、「冬の間」、「秋の間」がありそれぞれに江戸時代の絵師「原在中」が四季折々の花鳥風月を描いた襖絵が飾られています。

春の間の「八方睨みの虎」と夏の間の「猿猴図」三玄院パンフより
古田織部設計の茶室「篁庵」京の冬の旅ガイドブックより

 茶室には通常は窓が無いのが一般的だそうですが「篁庵」(こうあん)は八ツもあり八窓の茶室と言われています。眼2、耳2、鼻2、口、心の八ツの窓を表しているそうで織部の禅の修行の現れとも言われています。

 どこまでも続く幾何学模様の石畳。雨や雪の日のすべり止めの効果もあるのでしょうか!?

 通路脇の敷地の砂もキレイに波の模様がつけられています。

 細かいところにまで行き届いた作業に心が洗われます。

 大徳寺は、1325年に創立された北区紫野にある広大な敷地で、京都でも有数の禅宗寺院で多くの名僧を輩出し、茶の湯文化とも縁が深く、日本文化に多大な影響を与え続けてきました。
 織田信長の死後、羽柴秀吉によって盛大な葬儀が行われたり、千利休が秀吉の怒りを買って自害させられたと言われる山門(金毛閣)など室町・桃山~江戸時代に続いて仏殿などの建物やたくさんの国宝や重要文化財を有しています。
 国指定の名跡庭園「方丈庭園」をはじめ24もある塔頭それぞれに名庭園もありますが、普段一般に拝観できないところが多くて残念ですね。
やはり日常のストレスフルな毎日から少し離れてこのようなお庭を眺めているとまるでタイムマシーンにでも乗ってきたかのように、その当時の人々の暮らしや気持ちに想いを馳せ、その時々の人たちもそれぞれに苦労や努力をしていたんだろうなぁと思い、気持ちが楽になったりまた頑張ろうという気が湧いてきたりしてパワーをいただけますね。
 今は冬なのでなかなか綺麗な景色はお届けできませんが、侘び寂びの効いた景色もまた心が清々しくなります。皆さまもぜひ花鳥風月を愛でて、心を癒してください。なによりもの養生法です!

二十四節気の養生法

髪の状態から診た貴女の体質

 さて、今回の「二十四節気の養生法」は、髪の毛や頭皮の状態から診た中医学的体質について考えてみたいと思います。

健やかな髪は健康の証

髪は血余

 かなり前のCMですが『髪は「血余」(けつよ)』と言っていました。今でも増毛剤や育毛剤のCMはとても多いですね。それだけ髪の毛に気を配る人が多い
中医学では髪は「気・血・津液(水)」と呼ばれる生命エネルギーの中の「」の一部と考えます。つまり髪は「」で養われていて、「」が毛量が豊富で艶やかでハリや弾力がある髪を作っていると考えるのです。
 「」の働きは、全身を循行して五臓六腑から皮肉筋骨にいたるまで、全身全ての組織・器官に営養を供給し滋潤する働きを担っています。現代医学的に言うと60兆個と言われるすべての細胞に栄養を送り届け、細胞の新陳代謝を担っているということになります。全身に行き渡って営養を送り届け養っているのですが、特に「」は、目や髪、爪などでその状態を診ることが出来ます。
 全身に行き渡ってすべての諸器官を養った「」に余りがあると髪も養ってくれますが、「」に余裕がないと髪まで養えなくなります。
」が不足した血虚体質になると、毛量が少なくなり、艶ややかさやハリや弾力も無くなり、枝毛キレ毛が増えパサつきが目立つようになります。
男女ともにさまざまな増毛剤や育毛剤が販売されていますが、中医学的に考えると「質の良い血をたっぷり作ってしっかりと全身に巡らせる」方が、確実に髪にとっては効果的なのになぁと思ってしまいますね。
血虚体質になると、川幅の広い一級河川の真ん中にチョロチョロとしか水が流れていないように、やがて血瘀体質になり巡りの悪くなり、ますます余りが無くなってしまいます。
 このまま放置しているとやがて全身に営養が行き渡らなくなり、視力減退や眼精疲労、爪が割れやすい、足がつる、しびれる、皮膚の乾燥や痒み、しわや肌荒れなどの症状や内臓機能の低下、さらに「血」は精神活動とも関係しているので、決断や判断が鈍る、情緒不安定、不安や憂欝感、不眠・多夢など精神不安の状態になっていきます。
 まずは栄養素がバランスよく含まれた「」をたっぷりつくって、全身に送り届けることが大切です。
質の良い血をたっぷりつくるには、血を補う食材を積極的に取ることと血を作ってくれる脾の働きを高めて生産性を上げることです。
 脾の働きを高め血を補うオススメの食材は、金針菜、黒キクラゲ、なつめ、枸杞の実、竜眼、鳥や豚レバー、ほうれん草、黒ゴマ、黒米、黒豆、牡蠣、エビ、イカ、マグロ、カツオなど。
 血を消耗しないようにするには、ストレスを溜めない、夜更かしを避ける、目を酷使しないことなどです。

腎の華は髪

 五華とはそれぞれの五臓(肝・心・脾・肺・腎)に関係する生理機能の状態がどのような色彩や光沢があるかによって、その五臓の状態を診断することです。
 『腎蔵精』と言われ「」は腎精を貯蔵しています。精血同源とも言い「精と血は互いに養い合う」関係にあり精が多ければ血も旺盛になります。腎が健やかに働き腎精が充足していると、髪の毛の色彩や光沢は「カラスの濡れ羽色」と表現される黒く艶やかでハリのある髪を保つことが出来るのです。青年期や壮年期は腎精が充足しているので黒々とした艶やかな髪がたっぷりありますが、歳を取って腎精が少なくなってくると髪は白くなり抜け落ちやすくなります。
また、
 NHK朝ドラ「花子とアン」で仲間由紀恵さん演じる葉山蓮子が最愛の息子の戦死の報を聞いてひと晩で髪が真っ白になるシーンがありましたが、考えられないほどのショック(驚愕)や恐ろしい出来事があると一瞬にして髪が白くなると言われます。実際にそんなことが起こるのかどうかはわかりませんが、腎気は、驚恐という感情に傷みやすく、腎気が傷むと腎精が減り髪を養えなくなり白髪になるということなんでしょうね。それほどのショックだという表現だと思います。
 若ハゲや円形脱毛症も腎虚体質やストレスフルな毎日による気滞体質になると起こりやすくなります。
 腎虚気滞体質にならないように補温腎陽疏肝理気が大切です。
 腎の働きを高めるには黒きくらげ、黒豆、黒米、黒ゴマ、ワカメ、昆布、ひじき、牡蠣、ホタテなど黒い食材や魚介類など。
 そして、腎虚にならないためには、過労を避ける、房事を控える、冷やさない(外からの保温と冷たい物の飲みすぎ食べ過ぎを避ける)、ジェットコースターやホラー映画など驚くことや怖いことはあえて乗らない見ない

頭皮も皮膚の一部

 皮毛は「一身の表」と言われ、衛気と津液によって温養滋潤され外邪の侵入を防いでいます。「」は気を主り衛に属し衛気を宣発して精を皮毛に送る働きを担っており、肺の働きが健やかであれば頭皮も温養滋潤され健康な状態を保ちますが、肺の働きが低下すると温養滋潤できなくなりクセ毛がフケで出やすくなります。
 肺は喜潤悪燥と言って潤いが好きでカラダが潤っていると調子が良いのですが、陰虚体質になり潤いがなくなりカラダが乾燥に傾いてくると肺の働きが低下し頭皮も乾燥しパサパサのフケが出やすくなります。
 滋陰潤肺のオススメの食材は、白きくらげ、百合、蓮の実、豆腐、豆乳、牛乳、冬瓜、白菜など白い食材。
 肺の働きを低下させないためには、辛い食べ物や生姜、ねぎ、唐辛子などスパイシーなものを控える、酒の飲み過ぎに注意。

 逆に湿痰体質になってカラダの中の水の巡りが悪くむくみやすいとかカラダが痒い、目ヤニが多い耳垢がベタベタと言った人は頭皮も脂が多くベタベタしたフケが出やすくなります。
このタイプはが弱く水の巡りが滞りやすい体質です。このタイプはこれから花粉症の時期になると、ジュクジュクの鼻水が止まらず痰が絡みやすい症状が出やすくなります。
 脾を弱めることは、暴飲暴食、過食、少食、偏食、高カロリー、高たんぱく、高脂肪や冷たい物の飲みすぎ食べ過ぎることなのでこれらを徹底的に避けることです。
 脾を高めることは、出来るだけ温かく柔らかく消化吸収しやすく調理した穀類、豆類、芋類を食べる。山芋粥、はと麦粥、緑豆粥、小豆粥などはオススメです。

脾(お腹=胃腸)を傷めないで!

  来週には日本列島の上空に、この冬一番の寒波が襲来するようです。日本海側では広い範囲で大雪となり、関東から西の太平洋側でも気温が上がらず非常に厳しい寒さとなる見込みの予報です。
気を緩めないで、しっかり防寒、補温対策をして、特に脾(お腹=胃腸)を冷やさないよう温かくて柔らかい消化しやすいものを食べてカラダの内側から冷えを防止しましょう。

京都伝統中医学研究所の"大寒におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「血虚改善」の薬膳茶&食材

■血を補い全身に巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「なつめ薬膳茶」、「増血美肌茶」、「健やか茶」、「気血巡茶」など
薬膳食材では、「金針菜」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「紅花」など 
薬膳鍋セット「四物湯スープ」は薬膳食材もセットになってオススメ。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など
薬膳食材では、「黒きくらげ」、「なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」などがオススメ。 
脾を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「そろそろダイエット茶」、「水巡茶」など、
薬膳食材では、「新疆なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「白きくらげ」などがオススメ。 
薬膳鍋セット「四神湯スープ」は脾の調子を調え気血の吸収を高めるとともに、水の巡りも調えます。 

2.感冒におすすめの薬膳茶&薬膳食材

辛温解表…薬膳火鍋」、「手足冰凍鍋」、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「紅花」、「竜眼」、「マイカイ花」、「桂花」など
辛涼解表…理気明目茶」、「五望茶」、「理気明目茶」、「菊花」、「百合」など
どちらのカゼにもおすすめなのが、やはり「なつめ薬膳茶」です。弱った胃腸を調え、気血を補い、疲れた体を癒してくれます。

3.漢方入浴剤

 ヨモギがたっぷり入った「ほっこりポカポカあたため乃湯」もこの季節の養生にオススメ。ヨモギの香りが浴室中に広がり漢方の香りで癒され、ヨモギの成分が染み出たお湯にしっかり浸かってココロもカラダも温まりましょう。

中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

 中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

次回は、2月4日「立春」。一年の始まりで、春が立つ日ですがまだまだ春には程遠い感じです。早く暖かくなってほしいですが、まだまだ寒さ対策をしてお過ごしください! 
 


 

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