消費者物価指数(総合CPI・コアCPI)
CPIとは?
まず、CPI(消費者物価指数)とは、大和証券の金融・証券用語解説では以下のように紹介されています。
つまり、消費者(商品を購入する人)の目線でどのくらいインフレが進んでいるのかについて発表される指標です。詳細な項目には以下のようなものがあります。
日本語に訳すとこのような項目です。
各項目の寄与度
CPIの項目には、寄与度というものがあり、総合CPIとコアCPIに占める比率が異なります。各項目の寄与度は以下のようになっています。
上表で特に寄与度の高い項目は、Food(食品)、Energy(エネルギー)、Commodities(コモディティ)、Apparel(衣類)、New vehicle(新車)、Used cars and truck(中古車)、Shelter(家賃)、Medical care services(医療サービス)、Transportation services(輸送サービス)となっています。
これらの比率を円グラフにしたものがこちらです。
上図のように、特に比率が大きいのが家賃(Shelter)、コモディティ(Commodities)、食品(Food)、エネルギー(Energy)であることがわかります。つまり、これらが下落することが、インフレ収束に必須となり、投資家は、これらのトレンドを確認する必要があります。
前回CPIのおさらい(10月発表分)
前回のCPI(消費者物価指数)の結果は以下のようになっています。
詳細はこちらの解説記事をご確認ください。
今回CPIの市場予想(11月発表分)
今回のCPIの市場予想は前年比、前月比ベースで以下となっています。
総合・コアCPI(前年比)
今回11月発表分の総合・コアCPIの年初来推移(前年比)と、市場予想は以下のようになっています。
総合CPI:前回からさらに下落し、8.2%→8.0%になる見通し
コアCPI:前回までは上昇からは下落に転じ、6.6%→6.5%になる見通し
総合・コアCPI(前月比)
今回11月発表分の総合・コアCPIの年初来推移(前月比)と、市場予想は以下のようになっています。
総合CPI:前回から上昇が加速し、0.4%→0.6%になる見通し
コアCPI:前回から下落し、0.6%→0.5%になる見通し
今回CPIの見通し
前年比総合・コアCPI下落について
こちらに、前年比の総合。コアCPIの上昇率を再掲します。
総合CPIと、コアCPIの予測は先月から比較して下落傾向にあり、FRBの利上げ見通しの点からすると、プラス要因となります。
ただし、前年比で見ると下落傾向にあることは確認できますが、これは、先月までの一年間を通してのデータや、昨年のインフレ率の上昇具合に影響されるところが大きいため、詳細は、前月比を確認する方が分析しやすいです。前月比を確認してみましょう。
前月比総合CPI上昇の理由
以下に総合・コアCPI(前月比)を示します。
先月の0.4%から、0.6%に大きく上昇することが見込まれています。この要因はなんでしょうか。まずは、総合CPIの構成比率を見ていきましょう。
上図に示すように、構成比率は上位から、家賃、コモディティ、食品、エネルギーという順番になっています。今回、コアCPIの前月比上昇率が減少に転じることが予測されていることから、上昇の要因は、コアCPI項目ではない、食品、エネルギーが問題になってきていることが予測されます。では、食品とエネルギーの先行指標となる、商品先物価格を確認していきましょう。
エネルギー先物
【WTI原油】
【天然ガス】
【ガソリン】
食品先物
【農作物】
【小麦】
【トウモロコシ】
【食肉】
【コーヒー】
ここまでの変動率を、一覧表にまとめたものが以下です。
商品先物はエネルギー分野が、WTI、ガソリン価格が8%以上の上昇となりました。天然ガスは9%近く下落していますが、総じてエネルギー価格は上昇しているので、今回の総合CPIの強い上昇の原因はここにあると考えます。
今後は、原油価格が$80-90の間でレンジになることが予想されているので、一時的になる可能性が高く、マーケットはあまり反応しないのではないかと考えてます。
もう一つの、食品価格について、農作物全般の価格変化をとっているDBAというETFを参考にしたところ、-2%と先月から大きな変化はなかったため、こちらは原因ではないと思います。
前月比コアCPI下落の理由
総合CPIの上昇と引き換えに、コアCPIは下落することが予想されています。
総合CPIとは逆に、エネルギー、食品価格以外の部分のインフレ指標を確認しましょう。
ここで大きな比率を占めているのは、家賃とコモディティです。その他、医療サービス、輸送サービスなども雇用統計を確認しているに、価格が上昇している可能性がありますが、今日はより比率の大きい家賃、コモディティの推移を確認していきます。
家賃
家賃価格というのは、一般的な賃貸で支払う料金と、帰属家賃の2種類があります。帰属家賃とは、持ち家を賃貸として貸し出す場合、いくらを想定するかという調査から得られた疑似的な家賃です。
上図の「Rent of primary residence」という項目が一般的な賃貸の家賃です。「Owners` equivalent rent of residences」というのが上記で説明した帰属家賃です。右の数字は寄与率を表しており、概ね賃貸は25%、帰属家賃は75%程度を占めています。こちらは算出方法が複雑なので、詳細は考察で解説していきます。
コモディティ
食品を除くコモディティというのは、家庭用家具、消耗品、衣類、新車、中古車、医療用品、レクリエーション用品、教育用品、アルコール飲料などが該当します。
これらの商品が値上がりしているかどうかを判断するためには、これらを製造するための素材価格、賃金、輸送コストなどが価格に与える影響が大きいので、これらを確認することになります。ここでは、特に影響が大きい素材価格についてみていきましょう。
【木材】
【金属】
【衣類むけ素材】
上記をまとめると、以下のようになります。
ここまでで、分かるように、家具向けの木材などは10%ほど上昇していますが、衣類向けの綿花価格が下落しているので相殺されると思います。最も寄与度が高い自動車向けの金属に関しては横ばいといった感じなので、コモディティのインフレは今月もおとなしいものになることが予想されます。
考察
ここまでの数字や、最もインフレ率に影響を与えるであろう家賃価格について考察を行っていきます。
ここから先は
¥ 200
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?