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クランチ文体でバイオハザードre4 その6

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chapter3-1 白犬<ホワイトドッグ>


 寝室で立ち尽くしていたレオンに通信が入る。

《コンドル1、ルイス・セラについて少し分かったわ。彼は研究員よ……アンブレラのね》

「アンブレラ? 足くらい折っておけばよかったな」

《判明した内容を軽く伝えておくわ》

 ハニガンが要点をまとめて列挙した。

曰く──大学以前の記録は無い。
曰く──卒業後はアンブレラに。
曰く──複数の新薬を開発した。
曰く──退職後は警察も政府も消息を追えず。

まるで怪しさのデパート、疑わしい点しかなかった。足どころか全身の骨を折るべきだった=内容を聞いたレオン。

《と・も・か・く、今はターゲットを優先して。教会は村の集会場を東側に抜けた先よ》

「ああ、分かった。これから教会へ向かう。それじゃ後で」

 こちらの内心を察したかのような釘を刺される──ルイスのことは一旦忘れることに。どうにかして村まで戻らなければ。

一階へ降りたがコート野郎どころか村人の気配もなし──イマイチあいつらの目的が掴めない。殺そうとしてくる村人/チャンスがあったのに殺さなかったコート野郎──違う命令でも出ているのか。答えが出ないまま家から出る──ひとまずあの正門の先へ進むか=他に選択肢がないレオン。

 正門へ向かい歩き始めたところ、犬特有の痛みを訴えるような鳴き声がした=井戸の方向。確認しようと移動して鳴き声の主を目にした──軽い驚き。

レオンが避けて進んだトラばさみに掛かったいた生き物=オオカミ──いや野犬だろうか。6フィート弱の大きさ/真っ白い毛並み──罠にかかった後左足が赤く染まっている。

「おまえも被害者か……」

 同じイカれ集団に捕まったレオンの同情/仲間意識──解放してやることに。ゆっくり近づく──特にこちらを威嚇せず/敵意なし。

罠とオオカミの足の状態を確認──傷は浅く骨折もしていない──十センチほど隙間を残し左右の金属板が止まっていた=錆にまみれ歪んでいた罠はその鋸歯を嚙合わせることが出来なかったらしい。

その隙間に両手を突っ込み力ずくで開く──少し開いたあたりでオオカミの足が抜けた。何度かこちらに吠え、感謝を伝え終わったのか森へ消えていった。

「もう捕まるなよ」

 レオン=少し満足げな顔──今回の任務で初の救助成功に達成感。気持ちを切り替え本来の任務へ。正門を乗り越えようと手をかける──ふと正門に例の紋章がついているのに気が付く。

紋章付きの鍵を取り出し鍵穴へ──ガチャリ=開門。全部の扉がこの鍵で開けば楽なんだがな=レオンのぼやき──広場の集会場を思い出す──一応この鍵は持っておくか。正門を抜け少し下りなっている道を進む──やがて森の先に見覚えのあるもの=広場の鐘塔。

さらに道を進み村の広場に到着──やっと現在地を把握=さっきの道は広場の南側に繋がっていたらしい。

chapter3-2 黒犬<ブラックドッグ>

 広場の中ほど進んだところ轟音=鐘塔の根本で爆発──集会場への道を塞ぐように倒壊/崩壊。

砂嵐の如く土煙が舞い上がる──反響する倒壊音に紛れ動物の唸り声。土煙の向こうで揺れる赤い点×6──こちらに向かい接近──土煙を突き破ってレオンの背後へ飛ぶ=赤い眼光を灯す黒犬×3。

レオンの即応=すぐさま振り向きハンドガンを構える──しかしすでに黒犬の姿なし。

 黒犬=銃を向けられる前に散る──家や小屋の死角に潜む/隙を狙う=群れの狩り。

 レオン=四方から聞こえる犬の吐息/足音/鳴き声──散弾銃に持ち替える/攻撃に備える。

 広場の入口方面から一匹の黒犬が獲物に向かい猛ダッシュ──L字に直角カーブ=フェイント──建物の影へ。一匹が北側から吠える──南側の建物から一匹が躍り出る=獲物に向かう。

轟音+閃光=襲う散弾──黒犬の顔面が吹き飛んだ。それと同時に残りの二匹が飛び出す──北側/南側=これで仕留める。


 反動で散弾銃が跳ね上がった状態のレオン。左右から同時に襲い来る二匹を視界にとらえた──流れるような早業=右手を散弾銃のグリップから放してホルスターのハンドガンを抜く/フォアエンドを握る左手を思いっ切り縦に振る/左手を放す──片手でフォアエンド操作し次弾を装填ポンプアクション──グリップを空中で握りなおす左手。

二匹を同時に撃った。左側の黒犬が散弾に体を引き裂かれ絶命/右側の黒犬は被弾の衝撃で転倒──すぐさま起き上がる。レオンの追撃=散弾銃を投げ捨てる/両手で構えて|ハンドガンを二連射。

《タンッタンッ!》二発とも地面を穿つ──予想外の黒犬の行動=猛ダッシュで走り去っていった。


 黒犬撃退後、何とか回り込んで集会場の前に到達──紋章付きの鍵を差し込む/回す=ガチャリ。予想通り鍵が使えたことにひと安心。



数秒ほど手に持つ鍵を見つめる──まだ使う場面はあるだろうか=レオンの疑問。そういえばラクーンシティを這いずり回ってた頃は「もう使わないだろう」と決めつけ捨てていたな──かつての楽観的な自分を振り返る。

気持ちを現在に引き戻して警戒しながら集会場の中へ──敵の気配なし。奥に並ぶ沢山の椅子/壁を飾る一枚の絵──さながら礼拝場──宗教絡みかよ=面倒だなとレオン。壁の絵の人物=首や腰に装飾品/蒼いローブ/顔が隠れるフード──胡散臭いを体現した見た目──どこかで見覚え/だがはっきり思い出せず。

しかしその疑問が吹き飛ぶ代物を見てしまう──礼拝場と仕切られていない隣の部屋=床のそこかしこに骨・骨・骨。尋常じゃない量で部屋の隅にはちょっとした山が出来ていた。さらに壁側のテーブル上に並ぶ無数の頭蓋骨=なぜか包帯で巻かれている──=中央に鎮座。

まさか生きてる奴もいるのか=レオンの不安。だが普通に考えてこんなサイズの人間はいない──そう普通なら。悪いほうへ傾く思考を止め、先へ進む──奥にあった裏口へ。


 集会場の裏口から出ると緩やかな上りの道──今までの道より綺麗に整備されている。道を進んで行くと、手前に墓地を擁した立派な教会が現れた。レオンは近づいて上を見上げる──五階相当はありそうな高さ。


石造り/細く小さい窓/鐘をつるした尖塔=ロマネスク様式に近い特徴。案の定の教会の正面は頑丈な鉄格子──開けようとするもびくともせず。鍵穴や閂らしきものも見当たらず──中央に円形の窪みがあるのみ。一度本部に現状を報告することに。

「HQ やはり教会は封鎖されてる」

《ターゲットは?》

「まだ確認できていない。だが、ここの戸締りはやけに厳重だ」

《なるほど。彼らがそこまでして守るのは一つね》

「ああ、彼女は教会の中だ。間違いない……侵入方法を探す」──通信オフ。

 侵入できそうな場所はないかと教会の周囲を確認──通れる広さの窓なし/裏口なし。教会の右手には閉じられた木製の門と『湖』と書かれた看板。

しかし教会の右側に隣接した墓守用と思わしき部屋の入口を見つける──もしかしたら教会に繋がる通路があるかもしれない。ランプが灯る室内──誰かが最近まで作業していた形跡。壁に貼られた村全体の地図──書き込まれた経路/指示らしきもの。地図を頭に叩き込む。

所々が擦れているが読み取れる単語=『別命あるまで娘は教会』、『鍵は湖の向こう』、『対岸の洞窟』、『巨山のごとき』──次の行動が決定。判明事項──ターゲットは教会。懸念事項──敵の妨害/遅延行動。目標=鍵の確保して教会へ。



 部屋の調査を続けると床扉を見つける──開いて下へ。左右に棺桶が並ぶ小規模な安置所──先に光が見える──しかし教会とは逆方向。

ひとまず光の方へ──先ほどの木製の門の先に通じていた。教会に侵入できればという淡い目論見は崩れることに。どちらにせよ湖に向かう必要があったので、少なくとも前進はしていると自分に言い聞かせる。

 

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