マレーシア人に学ぶ政治への「怒り」の扱い方
こんにちは!
最近、Twitterのタイムラインで「ちゃんと怒ろう」と書いているのを見かけます。
要するに、これまでは政治的な行動をしてこなかった。
政治を変えるために、一緒に怒ろう、と。
政治を考えるのは大賛成。なぜなら民主主義国家では自分のことだから。
けれど、「怒り」の使い方は間違えない方が良いと思う。
日本では「怒り」の感情に飲み込まれ、爆発させて、悪口や嘲笑で表すことが多いように見える。
言葉の間違いを「いじめ」のような形で毎回大炎上させる。
そして、なんだか気が済んでしまうのかな。
結局選挙の時には、みんな忘れてしまうんですかね。
だからなのか?
政治に対する不信感が高い割に、投票率がとても低いです。
または、感情的に暴走するあまり、さらなる分断を招いてしまう。
支持者同士がまとまらない。細分化するばかりに見える。
それだといつまで経っても変わらないです。
マレーシアでは「怒りを見せない」ようにする
私の考えは別に私のオリジナルでもなんでもない。
周囲のマレーシア人に習ってるだけ。
多くのマレーシア人がどうするか?
いつも書いてるけど、「怒りを見せるのは良くない」とする人が多い。
イスラムの教えにそうあるらしい。
例えば、英国で、カルチャー・トレーニングをしているCommisceo globalという会社ではマレーシアのことをこう書いています。
マレーシア人を不快にし、無力感を生み出すため、人前で怒りを見せないでください。落ち着いた方が、良い結果を達成できる可能性が高くなります。一方叫んで解決することはほとんどありません。
Do not show anger in public as it makes Malaysians uncomfortable and creates a feeling of powerlessness. There is a greater chance of achieving a good outcome id you are calm, whereas little is resolved by shouting.
https://www.commisceo-global.com/resources/country-guides/malaysia-guide
では、腐敗した政治に対してどうするのか?
マレーシア人は2年前の強い怒りをどう処理したか?
「政治的に黙ってろってこと?」って人もいるけど、それも違うと思う。
2年前、マレーシアの政治は大変に腐敗し、大スキャンダルとなりました。
彼らは、もし政治に対して怒りがあったら、それをきちんと政治的な行動に移す。
デモをしたり、支持できる政党に資金として寄付したり、政治活動に主体的に関わったり、どんな困難があっても(例えば外国にいても)投票したりする。
それを「怒り」の爆発を使わずにやる。持続させて結果を出す。
2年前、どれだけマレーシア人の怒りが「深かったか」を取材してきた。
彼らの執念は凄かった。そしてかつての政敵とも協力した。
自分の記事だけど引用しちゃいますね。
続けて「驚いたのは、人々に民族の垣根を越えてマレーシア人の意識がしっかりと根づいたこと。また人々が冷静に事態を受け入れ、暴動が発生しなかったことは国民の成熟の表れでしょう」と評価する。
少し古い記事ですが、よかったら、全文読んでみてください。
今の日本と状況が近いと思うので。
前も書いたけど、華人友人が「マレーシアでは、街で暴動を起こしたりする人少ないでしょ。マレーシア人は商店に石を投げたり滅多にしない。なぜかというと、それが自分たちの得にならないから」って言ってた。
けどその代わり、怒りをしっかり持続させる。
どうやって変えたいか? を考えて、協力する。
小さな違いを乗り越えないと、いつまで経ってもまとまらない。
高い投票率の不思議
そして、マレーシアの前回の投票率は82パーセントでした。
マレーシアっていつも書いてるけど、3民族いて、全然平等に扱われてないし、宗教もバラバラ。どう考えても、イスラム教のマレー人と華人、インド系、それぞれ癖が強く、まとまるのは日本よりずっとずっと大変なんです。
政党も、民族ごとに分かれてる。
民族の溝は、私たち日本人が考えてるより、ずっと大きいです。
それでも、いざとなるとまとまる。この選挙でも大きく2つの野党連合に分かれて戦いました。
そして、今、また政権交代があったばかりで、なぜか対ウイルスの戦争で国がまとまっている。
日本は逆に、小さな違いに注目するあまり、どんどん細分化してるように見える。マスコミの報道も枝葉末節なことが多く、肝心の全体像がなかなか見えない。
一番大きな論点がなんなのか? そこでまとまらないと進まない。
だから、やっぱりマレーシア人を真似したらいいと思う。けど、そのためには彼らみたいに小さな違いを乗り越える必要がある。
日本には論点が多すぎる。消費税や福祉、年金、少子化、教育、エネルギー、それぞれの対立軸が深すぎて、野党でも、与党内部でもどんどん対立ができてくる。
日本の会社と仕事してても同じ。社内にときどき対立がある。
「俺を飛ばしてあいつに相談してもらったら困る」となる。
同じ目的に向かってるはずなのに。
これだと仕事が進まないし、まとまらない。
勝てるのは違いを乗り越えて「協力できる側」なんです。まずは、小さな違いに拘らず、お互いをリスペクトするところからかなって思います。
それではまた。
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