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なぜ日本の主婦は楽しめないのか

私がマレーシア人と会って、初めて衝撃を受けたのは、人生を楽しんでいるお母さんたちが多いという点です。

書籍にも書いたのですが、1990年代に日本に来た友人は、子供3人を置いて海外旅行していました。そんなのが許される世界があるんだ……と驚いたんです。

それまで私は、「子供を産んだら、もう人生を楽しんではいけない」という思い込みにとらわれていました。

お母さんだから趣味も遊びも全部我慢しなければいけない、子供に全てを捧げないといけない、と。

日本の女性は楽しんではいけなかった

昭和の時代の価値観はもっとひどかったです。女三界に家なし、などと言われまして女性は結婚したら人権なんてまるでない社会でした。

女三界に家なし
女は三従といって、幼い時は親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従わなければならないとされるから、一生の間、広い世界のどこにも安住の場所がない。女に定まる家なし。

コトバンクより
https://kotobank.jp/word/%E5%A5%B3%E4%B8%89%E7%95%8C%E3%81%AB%E5%AE%B6%E3%81%AA%E3%81%97-223639

実は私が就職した頃は、こんな価値観が主流だったんです。昭和の初めの頃なんてもっとひどい。昔の小説読むと「女に学問はいらん」とか言う人が登場し、毎回クラクラします。

特に、昔から続く農家なんかはこの傾向が強いようです。埼玉の農家に嫁いだ友人は苦労していました。外出するにもいちいち義実家の許可を得なくてはならない、と。私は「基本的人権のある日本社会で何言ってるんだ」と反発したわけです。こんな結婚制度だったら結婚なんかしなくていいな、と思っていました。

実際に、25歳で結婚するときには、私の母が、「両性の合意に基づいた結婚なら許す。ただし嫁にやるつもりはありません」とはっきり言ってくれたので非常に助かりました。さぞかし、義父母もびっくりしたでしょうね。

民法が変わったのに、戦前の「家制度」の家族観のママの方も少なくないんです。

早稲田で民法の先生が「国がせっかく民法を変えたのに、肝心の女性が理解していない」と嘆いていましたが、その通りです。女性の側が自ら「私は嫁だから尽くすわ」とか言い出すと。

いや、それで本人がいいならいいですよ。ただ、恨みを抱えていく人もいるわけで。

子供を産むと、美容院に行く時間すら息抜きしてはいけないとか思い込む。ちょっと羽を伸ばしている主婦がいると「私の頃はあんな息抜きしなかった」などと意地悪する。専業主婦が子供を預けるのはダメなどと言い出したりする。

「ゼロサムゲーム」だった日本の土着の世界

社会の半分は女性です。その半分が、家庭で静かな恨みを抱えていたら、そりゃ家庭もおかしなことになります。多分、日本社会に蔓延してる「恨み」のいくつかがここに起因してる気もします。母親のストレスが子供に向かいます。

ちょっと脱線ですが、yochiさんがこんなツイートをされてますが、これが「ゼロサムゲーム」の元の考え方なんじゃないのかな。言われてみると、その通りで、限られたものを奪い合う世界なんですね。

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