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教員は民間企業を経験すべき?

よく「教員は社会を知らない」という考え方を耳にします。社会とは非常に広範ですが、この時の社会とは、民間企業など学校ではない組織での経験を指していることが多いと思います。

学校以外の環境を知っている方が、学校組織そのものを相対化できますし、仕事の進め方などで大いに役立つことが想定されます。
一方、一口に民間企業と言っても、小〜大企業、また業種は多岐に渡り、それぞれ得られる経験は全く異なります。民間企業という主語も非常に大きいのが実際です。

前提として、経験しようがしまいが、視野を広げるのが大切というのが結論です。誰もこの世の全てを経験できるわけではないですし、その質によっても経験で得られるものは大きく変わります。また、民間企業を経験せずとも、教員として素晴らしい仕事をされている方はたくさんいらっしゃいます。

ただ、教員と民間企業の双方を経験した私だからこそ伝えられるメッセージがあると思っています。
民間企業を経て得られるもの経験とは何か、また失うものとは何か。あくまで私の経験に基づくものですが、経験を踏まえ、考えをお伝えしたいと思います。


民間企業で得られる経験とは?

企業や地域の方々に謙虚に接せられるように

教職調整額についての議論は趣旨とズレるので、こちらでは避けますが、残業代がつかないというのは管理職だけでなく、教員自身のコスト感覚を低下させます。
民間企業に勤めた最大の学びはこれです。デザイナーに依頼するにせよ、企画運営を委託するにせよ、工数や時間に対し、対価を支払います。人が動くにはお金がかかるということ、至極当たり前ですが、教員の世界ではその感覚を養う場面がありません。給料では残業は固定額ですし、業者にとって学校は大きなお客様ということもあってか、細かい稼動に対して費用を発生させるという場面が少ないです。少なくとも、私が教員時代に経験した企業とのやり取りでは、そういった場面はありませんでした。産学連携や地域連携など、企業や地域の方々と連携する場面も増えてきているため、稼働していただくことへの感謝、謙虚な気持ちを忘れないという意味で、コスト感覚は非常に重要です。

また、この感覚は同僚に対しても身につきます。
なるべく質問は必要最小限に、自分で調べる癖をつけるとか、質問はまとめてするとか、同僚との接し方にも配慮できるようになります。

無駄を省くことは組織の生命線

民間企業では利益を上げることは生命線です。利益を上げるには、至極シンプルに言えば、売上を上げるか、経費を下げるかの二択です。この経費を下げるというのが、様々な会議ややり取りを見直し、時間の使い方を1人1人が考えるきっかけになります。特に公立教員には、売上を上げるという概念はありません(ここで論ずるのはその良し悪しではないです)。教員の労働環境改善を目的として、無駄を省く動きが高まっていることは感じられますが、経費を下げるというのは、会社にとって存続要件になるため、無駄を省こうとするエネルギーが異なることを感じています。この経費を下げるという感覚は、教員が身につけることは難しい(そもそも身につける必要があるかも疑問)ので、主に管理職がそうあっていくべきなのでしょう。

民間企業を経て気をつけなければならないこと

結果や数字を重視する感覚は学校では害となることも

先ほどお伝えしたように、企業では利益を上げることが存続要件です。そのため、数字だけが全てではありませんが、これを無視することはできません。学校にも進学者数など、数値化される実績があります。しかし、学校では数字にこだわりすぎると、生徒の意に沿わない進路を進めるなど、人生を台無しにします。企業でも同じことが言えますが、学校はその代償が大きすぎます。結果や数字にこだわる姿勢が害となり得ることに注意しなければなりません。

民間企業を経験すべきかどうかは、結論どちらでも良いと思っていますが、教員以外の業種にチャレンジしてみたいという方に、私自身の経験をもとにした副業・転職論をお伝えしています。ご興味ある方、ぜひ読んでみてください。


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