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「頑固」と「芯の強さ」と「優柔不断」と

さて、今日はちょっと昔のお話を。

もう、かなり前に担当した生徒のことを、本当にふと思い出すことがあったので、共有させてもらおうと思います。

もちろん、個人が特定できるような話でもありませんし、一般的なお話ですし、「自分」と向き合うことが増えてきた中学生くらいにはよくある話なのかもしれません。

似たようなことがあったよ、というのを見るだけで、もしかしたら悶々としている先生の助けになればと思い、ちょっと記事にしてみます。

エピソード(もちろん部分的にフェイクあり)

過去に自分が担当した生徒のお話です。

部活の生徒でもあり、授業担当の生徒でもありました。

でも、自分が担任していた学年の生徒ではありません(私が他学年の授業を一部担当していた)。

それくらいの距離感です。

状況としては、私が教員1年目だった時のお話です。

授業運営はちゃんとできていたのですが、部活動の運営については、可もなく不可もなくで回せていたかなぁ、という頃のお話。

前任の顧問の先生の影響を強く受けていた3年生が引退した後、チームが代替わりした直後の夏休み期間中の部活の練習前のお話です。

前任の先生は、ガッツリ部活を率いていくタイプの先生で、その後を引き継いだ、という状況です。

なんとなく感じている方もいるかもしれませんが、できる先生の後を引き継ぐと負担が大きいのは部活でも担任でも同じだと思います。

優秀な先生の後を担当するのは、楽なようで意外にプレッシャーが強い、みたいな感じでしょうか。

で、私の練習の方針についても、生徒自身についても、ちょっとモヤモヤしていた中学2年生が、練習開始前に、職員玄関口で話をしようと私を待ち構えていたんです。

「先生、ちょっとお話があります。」と。

この瞬間に、あんまり良い予感はしなかったんですが。

まぁ、顧問の先生が変わったことによる戸惑いとか、自分の部内での立ち位置とか、練習のモチベーションとか、いろんなことについて、不平不満、文句、不安、その他もろもろ話をされました。

経験年数が長くなってきた先生からすれば、生徒が自己開示をしてくれているのは凄くチャンスじゃないか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

おそらく、今の自分もそういうように感じることでしょう。

しかし、そこは当時教員1年生の私。

とりあえず受け止めるだけで精一杯でした。

しかし、彼女(女子生徒でした)が話をしていく中で、自分自身のことを言葉にしだしたんですね。

「私は頑固だし、融通きかないし、こんな言い方しかできなし、きっと先生も私のことを面倒くさいと思っていると思うんですけれども」と。

でもね。

この言葉を彼女の口から聞いたときにだけは、即座に反応してしまったんです。

「いやまて、それは違うぞ」と。

個人的には、自分のことを自虐的に、ネガティブに評価する言い方をとにかくやめさせたかったのだと思います。

その思いが上記の言葉として口に出たのだと思います。

確かに、見方によっては、この生徒は自分でいうように、頑固な側面はあったかもしれません。

でも、悩んだ末に、自分の思いや考えをきちんと言葉にできる強さでもあるのです。

もちろん、時として、子どもたちの言葉は我々教員の心をぶっ刺すようなこともあります。

鋭利な刃物を我々の心に突きつけてくることもあります。

しかし、自分が傷つかないように受け止めて、丁寧に返してあげれば、どうにかなることもあるのです。

「間違ってもあなたのことを面倒くさいと思ったことは無いし、あなたは自分で自分のことを『頑固』と思っているかもしれないけれど、それは時と場合によっては、自分の信念を曲げない芯の強さの裏返しでもあるんだよ」と返した記憶があります。

「あなたが顧問が俺に変わったことによってモヤモヤしていることもわかった。それによって部活の中でどういう立ち位置になったらいいのか迷っているのもわかった。それをきちんと伝えてくれてありがとう。自分のことを面倒くさいと思われるかもしれないというリスクをわかっていたにも関わらず、ちゃんと伝えてくれてありがとう。」

そんな話をしたと思います。

あとは、「自分で自分のことを貶めるような発言はやめなさい。言い方によってはその「頑固さ」は「芯の強さ」にもなる。なかなか意見が変えられなくて迷ってるとさっき言ってたけれど、じゃあ、コロコロ意見が変わればいいかというとそうでもないよね。どれがいいか迷いすぎて決めきれない優柔不断という言葉もあるよね。もちろん、的確に、自分の意見を柔軟に変えることができる人もいるわけだけど」。

「それは全てバランスだよね。もちろんいつでも自分の意見を変えられないようなのは芯の強さではなく頑固かもしれないけれど、少なくとも今あなたは、迷って、悩んで、自分がどうすればいいのか変えようとしたり変わろうとしたりしているわけでしょ。もちろん俺も初めての学校で初めての顧問でまだまだ迷っていることもあるわけだけど、いろんなことで壁にぶち当たりながらでも、みんなで納得できるように一緒に考えて作り上げていこうよ。そのためにいろいろ意見を言ってくれて助かったよ」

そんな話をしたような記憶があります。

この一件以来、少しこの生徒と信頼関係が芽生えたような気がします。

何が言いたいか

初任者だったり、経験が浅かったりすると、何をどう伝えていいか迷うことも多々あると思います。

でも、自分が本当に嫌だとか、やめてほしい(私の場合は、自分で自分のことを自虐的に表現すること)とか思っていることについては、経験年数の多寡に関係なく、自分の言葉で伝えることができると思います。

もちろん、ベテランの先生のように、うまく的確にその場でその子の状況に合わせて言葉を選びながら対応できるかと言われると、そんなことは無理でしょう。

でも、自分の心の奥底から、本気で伝えたいことであれば、多少言葉の選び方が下手でも、伝わることも少なくないよ、というお話です。

きっと自分もこういうことを積み重ねてきたんだろうな、とちょっと思ってしまいました。

おわりに

5月になりました!

怒涛の4月を乗り切りました!

まずは皆様、お疲れさまでした!

特に初任の先生、異動したての先生は大変だったと思います!

悩むことも多々あると思いますが、まずはしっかり連休を休んで英気を養ってください!

・・・と連休中も部活の大会引率になってしまった人間が言ってみます。


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