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日本会議と道徳教育

 改憲、教育勅語復活、道徳教育の充実を訴える団体は数多く存在し、なぜかとても似通っており、役員等が重複している。そして、それらの団体を一本の線で結ぶのが『日本会議』という団体である。

 もともとは宗教右派と右派学生団体が結びついてできた団体だが、似通った政治的主張をもつ各種団体を緩やかに、しかし巧妙に結び付けて大きな政治力をもつ団体として成長してきた。そして数十年にわたる地道な活動(署名や議会への請願など)を続け、政府中枢とも密接な関係を構築している。

日本会議の歴史観・憲法観・教育観(日本会議HPより抜粋)
 私たち日本人は、皇室を中心に同じ民族としての一体感をいだき国づくりにいそしんできました。 私たちは、皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、「同じ日本人だ」という同胞感を育み、社会の安定を導き、ひいては国の力を大きくする原動力になると信じています。
 現行憲法が施行されてすでに60数年-。わが国の憲法は、占領軍スタッフが1週間で作成して押し付けた特殊な経緯をもつとともに、数々の弊害ももたらしてきました。すなわち、自国の防衛を他国に委ねる独立心の喪失、権利と義務のアンバランス、家族制度の軽視や行きすぎた国家と宗教との分離解釈、などなど。
 行きすぎた権利偏重の教育、わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育、ジェンダーフリー教育の横行は、次代をになう子供達のみずみずしい感性をマヒさせ、国への誇りや責任感を奪っています。
 私たちは、誇りあるわが国の歴史、伝統、文化を伝える歴史教育の創造と、みずみずしい日本的徳性を取りもどす感性教育の創造とを通じて、国を愛し、公共につくす精神の育成をめざし、広く青少年教育や社会教育運動に取りくみます。
日本会議に連なる団体
日本教育再生機構  神道政治連盟  道徳教育を進める有識者の会   平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム   美しい日本の憲法をつくる国民の会  明治の日推進協議会  親学推進協会  モラロジー研究所 等々多数

 これらの団体のHPに公表されている役員名簿を見ると、多くの人物が重複して登場してくる。個人的にどんな価値観をもつのかは自由だが、問題はこれらの団体と政治権力との距離の近さである。一昔前なら「一部の特異な人たち」で済まされた人々が政治に大きな影響力をもち、一般国民に自分たちの価値観を押し付けてくる時代となった。
 特に注意したいのが「モラロジー」と「親学」である。この2つの団体は改憲と教育勅語復活を隠しつつ、文科省の後援を得ながら一般国民に近づいてくる。日本会議に関連する団体を文科省が公認していることからも、政権との密接な関係が浮かび上がる。

2006年 教育基本法改訂に対する日本会議の評価(HPより抜粋)
 新しい教育基本法には、これまでの戦後教育で軽視されてきた、「愛国心」「伝統文化の尊重」「道徳心や公共心の尊重」「家庭教育の重視」など、我が国本来が必要とされる(原文ママ)教育理念が堂々と明文化されました。その結果、これまで無国籍な基本法と批判され、児童中心主義や行過ぎた個人主義を招いていた戦後教育の 弊害は、今後大きく改善される道筋が確立したといえるでしょう。
1947年教育基本法 第10条
 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。

     ↓ こう変わった

2006年教基法 第16条
 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

 この改訂により行政による教育への介入が正当化され、10年後には道徳が教科化された。そして多くの教員がその歴史的事実や背景を知らない。


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