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多様な動作の重要性と小学生サッカーチームでのサポート活動報告を少し

こんにちは春名です。

今回は、多様な動作の重要性について、現在サポート活動を行っている小学生サッカーチームでの活動も少し合わせて書きたいと思います。


多様な動作とは!?

ここでの多様な動作とは、『歩く』『投げる』『運ぶ』などの人が行う基本的な様々な動作を指しています。


どんな動作があるか!?ですが、ここでは山梨大学の中村和彦先生がその著書「運動神経がよくなる本」で分類されている36種類を紹介します

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他にも分類はありますが、この36種類をまとめたりより細かくしたもので、基本的にはこの36種類で十分と思います


この基本動作ですが、東京学芸大の杉原隆先生の研究では、

6歳の子であればほぼ全ての基本動作がみられる場合がある

となっています(もちろん子どもによって個人差があります)

つまり、6歳の時点で動作の種類という意味では、大人と同じくらいの種類の動作が行えるということです


多様な動作を経験する重要性

そして、ここからが重要な点ですが、

杉原先生の調査結果によると、

運動能力の高い子どもは低い子どもより行っている運動パターンの数(基本動作のレパートリーの数)がはっきりと多い

とされています。

つまり、多様な(様々な)動作を経験している子の方が運動能力が高いということです

また杉原先生はその著書の中で

幼児期は人間のもつすべての運動の幅広い基盤を形成する時期であり、何か特定の運動を繰り返し練習させ上達させる時期ではない

と書かれています。


保育園などの運動会で逆上がりをするために、繰り返し練習することがあると思います。

逆上がりができること自体は問題ありません。むしろ出来ないより出来た方が良いと思います

ただ、その過程が重要です


逆上がりを反復練習しできるようになるのではなく、自由な遊びで様々な運動・動作を経験し、その結果として逆上がりができる

ということが重要だと思います


『遊び』とは何か?

ただ、ここで一つ注意する点があります

「自由な遊びで様々な運動・動作を経験し」と書きましたが、そもそも『遊び』とは何でしょうか?

これも杉原隆先生の著書に記載されている内容をもとに

動作そのものが目的となっているもの

とします。


つまり、逆上がりでも運動会でやるから、成功したら先生に褒められるから、というのは逆上がり自体は目的ではなく手段です。

先生に褒められることが目的なのでその手段は逆上がり以外でも良いとなります


逆に、逆上がりのクルッと回る感覚や、逆上がり自体の面白さのために逆上がりをやっている場合は『遊び』となります


ですので、逆上がりを繰り返し行っている場合でも、後者の場合は『自由な遊び』となります

その結果逆上がりができるようになれば『遊び』により逆上がりが出来たと言えます


ただ個人的には、子どもは毎日毎日逆上がりを何回もやることはないかな〜と感じます

運動会のために毎日反復して行っているということは少なからず大人の関与により『遊び』でない部分があると思います


動作のバリエーション

多様な動作の重要性について書いてきましたが、多様な動作の一つ一つの中にもさらにバリエーションがあります

例えば『まわる』

でんぐり返し(前転)も『まわる』、クルクルバットも『まわる』、寝転がって横に転がるのも『まわる』です

このバリエーションも重要とされています


そして、子どもはほっておいても(むしろほっておくと)、様々な動作を様々なバリエーションで勝手にするなと感じます


環境の重要性

ここで重要なのがやはり『環境』だろうと考えています

ここでの『環境』は、親御さんの行動なども含めてのものです


親御さんが、休みの日にお菓子を食べながら寝転がってテレビを一日中見ている

その中で子どもが(特に就学前の子ども)が、外で様々な運動・動作を含んだ『遊び』をする

ということは少ないかな〜と

もちろん、家の近くに安心して遊べる環境があって、近所の友達がいればなくはないですけどね


同じようにスポーツなどの習い事を毎日のようにしているという『環境』でも、様々な動作を様々なバリエーションですることは少なくなる可能性が高いと思います(ただし、身体活動量は増える場合もありますし、習い事が良くないと言ってる訳ではありません)


多様な動作とサッカーチームでの活動

現在、小学生のサッカーチームでサポート活動をさせていただいています。多様な動作と絡めてその活動について少し書きたいと思います

活動内容としては、私は理学療法士ですのでケガをした子ももちろん診ます

ただ、主としている活動は子ども達の健康的な成長を手助けすることです

そのために、多様な動作を取り入れた運動を行っています

小学5,6年生が主ですので、就学前の子どものように環境だけ整えて『遊び』として行っている訳ではありません

ただし、『遊び』の要素は出来るだけ入るよう配慮しています

プログラムとしては中村先生の基本動作の表を若干アレンジしたものを作り、毎回その日行った内容をチェックして、出来るだけ多様な動作を行えるようにしています

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もちろん動作のバリエーションにも配慮しています


多様な動作を取り入れる中で、『まわる』などは前庭感覚などの感覚にも刺激が入るよう行っています

足を軽く広げて立った人の、股の間をハイハイしながら8の字で早く回ってみて下さい!

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結構目が回り、前庭感覚に刺激が入っていることが分かると思います

動作としては『はう』『くぐる』『まわる』などの要素を含みます


また小学校の体育館で行わせていただいているので、そこに置いてあるの机の下をくぐらせたりしています

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くぐる高さも変えれてとても便利です 笑

動作としては『くぐる』『はう』で、勢いをつけて滑りながらくぐれば『すべる』という要素も入ります

それに加えて、子ども達に自分の体の大きさを認識させるという目的を含めることができます

子どもによっては頭をぶつけてしまう子がいたり、どこまでくぐれば自分の体が机の下から抜けているか分からない子もいます

感覚への刺激や自分の体の大きさを認識することの重要性は、また別の記事でサッカーチームでの活動を詳しく書く中で紹介したいと思います


まとめ

子ども(特に就学前)は多様な動作を『遊び』として経験することが重要

『遊び』とは、動作そのものが目的となっているもの

『遊び』を引き出せる『環境』が重要


参考文献

杉原隆 他 :幼児期における運動発達と運動遊びの指導、2014、ミネルヴァ書房

中村和彦:運動神経がよくなる本、2011、マキノ出版

吉田伊津美 他:家庭環境が幼児の運動能力発達に与える影響、体育の科学54(3)、2004

森司朗 他:園環境が幼児の運動能力発達に与える影響、体育の科学54(4)、2004

杉原隆 他:幼児の運動能力と基礎的運動パターンとの関係、体育の科学61(6)、2011

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