京津畑日記 第57週 8月2日〜8月8日
改めまして2023年7月に岩手県一関市大東町に移住しました。一関地域おこし協力隊の丸谷誠司(マルターニ)です。
自伐型(小規模)林業を通して、里山と経済の循環を起こす山守、自伐林家を目指しています。山を元気にする森の散策路や木材の面白い使い道を考えています。
日本の人工林は、50年が伐期といわれますが、本当でしょうか?200年育った杉は成長を止めているのでしょうか。その土地、育成状況、人の都合が伐期なので60、70、100年生の木でも伐期です。
それではどうぞ。
8月2日(金曜日) 京津畑作業道の見学会、研修用木材回収、ミーティング
午前、光治先生が手を加えてくださった作業道の見学会を、集落の皆さんに解放しました。1時間と少しでしたが、質問もたくさん頂き、また古参から昔の木出しについて聞けました。
アクティビティのアイデアも出ましたし、道がつくことで少しずつ循環して行っているのが、嬉しいです。
午後、川崎防災センターに研修で使った木材を回収に行きました。その足で、市役所へ行き8月の定例ミーティングを行いました。
太陽が沈んで、磐井川の花火大会。
イベントがありすぎて参加できない残念。ようやくイベントに参加できました。
元々は鎮魂のためだったと担当者から聞き、一関に来てからイベントごとはことごとく参加できていなかったので、しばらく花火の美しさに見惚れていました。
8月3日(土曜日) ルート修正、事務作業、林内作業車の相談、京津畑作業道
午前中、協力隊3人で橋本光治先生のルートの修正。光治先生が来られた時に、修正を加えられました。時間切れでおかえりになられたため、ルート導線がぎこちない感じになっていたので、緩やかな曲線になるように若干修正させていただきました。
きっとこれも宿題の一つ。
昼まで事務。
午後イチから、林内作業車のメンテナンスについて相談させていただきました。「設備貧乏」にならないように、意見を合わせて見積もりを取ります。
午後、作業道作り。
夜、水道の水の出が悪くなっていることに気がつく。
蛇口に付けた簡易浄水器を外すと、何かが詰まっていました。
そういえば洗濯機もエラー音がなっていたので、もしやと思い外すと
大雨の増水で取水口から木っ端が入り込んでいたようです。風呂やトイレにも詰まりそうなものですが、台所の水道と洗濯機だけ。不思議。
8月4日(日曜日) 公葬地の草刈り、京津畑作業道の見学会、ピクセル豪雨
早朝、公葬地の草刈り。墓跡の間の刈払い機の扱いは、難しい。
先日に続き、作業道の見学会2回目。集落の8名が見学に来てくださいました。
不公平だなあ。笑
見学会を終え昼食の用意をしていると、黒い雲が近づいて来て
昨日、妻と冗談で「ピクセル豪雨」という話をしていたので、驚き。晴れているのに、バケツをひっくり返した豪雨。。。
作業道の乾きが、また遅れてしまいました。
8月5日(月曜日) いわて森林コーディネーター研修
朝、畑の草刈り。あまりに野放図すぎると病気や虫の発生を誘発するというので、適度に狩る。捕食虫をしてくれる肉食の虫が好むように、意識する。
カマキリを1匹しか見ていない。
午後から矢巾町へ。コーディネーター研修の一環、ファシリテーター研修。
今後予測される森作りVS森林所有者の図式に、ならんように中立の立場で問いを立てていく。
全体の調和をとりながら、問いを見つけて言葉に出すことができず、もどかしい沈黙の時間。コーチングだと沈黙は怖くないのだが、複数人の沈黙は結構迫力がある。
8月6日(火曜日) いわて森林コーディネーター研修
午前中、人工林の知識、目標林形について座学。講師は前回に引き続き
森林・研究整備機構 森林総合研究所 研究ディレクター
正木隆先生。
アメリカのジャイアントセコイアは樹高75m、胸高直径8.2m、推定樹齢3200年。倒木の下を車がトンネルよろしく通っている写真のやつ。
アメリカトガサワラ(ベイマツ)(アメリカ西海岸の代表的な針葉樹)の一生を見ていくと、0歳から250歳まで若齢林、200歳から600歳まで成熟林、500歳から朽ち果てる1000歳までが老齢林となっている。
日本の人工林は、300歳までのデータはあるが、その先は未知の領域。
法隆寺の檜の柱を見ると、元の木材直径が2〜3mほどの太さから4本の柱を取っていたのではないかと推測される。
台湾には、檜の群生が国有林として管理維持されている。調べて出てきたurlを貼っておきます。こちら
花粉の研究を専門にしている方からは、現在の花粉と縄文時代の花粉の量は変わっていない。花粉症は、別の原因があるのではないか?
戦後、杉の拡大造林でたくさん花粉をつける樹種から、稚樹を取っていたので花粉がたくさんでる。
50年伐期と言われていたが、針葉樹、紅葉樹とともに老齢段階でも成長を持続することがわかってきた。
・スギやヒノキの人工林は、「標準伐期を過ぎたら成長が低下し始める」わけではないことがわかってきた
・現在の「多くの人工林が成熟期を迎えた」という見方は間違いではないが、これから劣化が始まる「過塾期」というわけではない
・森林の成長は林齢ではなく、発達段階で考える
・若齢段階はさまざまな多面的機能が低い
・森林の多面的機能と成長は成熟段階で最大に達し、維持される
まず、目標林形を設定する。データを照らし合わせヘクタールあたり何本の木にしていくと、何年ごに胸高直径が何センチに育ち、、と決まっていく。
5年後、10年後と予測を立てていき、AがダメならBでいく。
・林業は木材を商品として売る産業である以上、生産目標がある。
・生産目標を構成する大きな要素は、木の直径である
・生産目標を決めると、林型の目標が決まり、収穫までの年数も決まる
間伐の仕方、選木こそが重要。 木を見て森も見る
・「はじめに間伐率ありき」の間伐は、目標林型が不在であることの証(補助金があっても目標林型を決めた上で間伐率に合わせる必要がある。)
人口林の診断基準に用いられる
・樹冠長率 樹高14m、樹冠(枝葉の茂っているところ)7m=50パーセント
40%以下の林木が多くなると、混み過ぎ
・形状比(H/D) 平均樹高cmを平均直径cmで割った値
80を超えると気象害に対して弱い。70以下が望ましい。
午後から一気に晴れ渡り
研修林は、岩手県の補助事業を行なった5割間伐。
調査を終え、卓上へ戻る。
8月7日(水曜日) いわて森林コーディネーター研修
昨日、調査した林後をどのような目標林形にしていくか。グループに分かれて話し合います。
話し合う時には、ファシリテーター研修が役に立ちます。みんなの意見を集約して決める。
まず、目標林型を決めて、用紙に書き出すことから。
今回も勉強になりました。イメージだけではなく、理論を組み合わせた森林作りを目指します。経済ベースも考えないと。
夜は、一関市地域おこし協力隊募集 第2回オンライン説明会にゲスト出演。
8月8日(木曜日) 玉切り
ご縁のある知人のお手伝い。現場で玉切り作業。
丸太を切るだけなのに、チェーンソーは挟まれ、垂直に斬れんし、枝も綺麗に落とせない。経験値UP。
研修の時に、「木は飛ぶ」と言われていたのですが、イメージできていなくて、今回よくわかりました。
下方へ伐倒すると枝葉の水分、幹の水分の遠心力が加わり、飛びました。
伐倒した木は十分に柔らかく、風にも耐える様子が見て取れました。
おまけ キジの親子
研修に向かう坂道で、前方に立ち塞がる何か。
車を止めるとキジの親子。
スマホを構えようとすると、ひなたちが一斉に車に向かって上空を飛び去りました。母親はヒナが去ったことを認識すると、スタコラ別の方向へ走って逃げる。
愛だね。
今週も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。来週も引き続き、作業道作り研修。どうぞお楽しみに!
妻も同じく一関市地域おこし協力隊員です。ご興味があればこちらのnoteもぜひご覧ください。小さな女が小さな林業をするまでの経過観察ができます。