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【1割の差 喫茶店とラーメン屋とライター】ていねいに書く雑文⑫20220609

【1割の差 喫茶店とラーメン屋とライター】

最近よく思うことがある。行列ができるほどのスイーツ屋さんやご飯屋さん、実質の味の違いは普通のお店と1割程度じゃないかと。

だから「並んででも食うほどか?」と思わなくもないのだけれど、わたしは割と並んでしまうタイプ。というより、並ぶのがそれほど苦じゃないタイプだ。

ただ、実際に食べたあとに「並ぶほどの価値があったか?」と考えると難しいものが多い。めちゃくちゃな差は正直感じないけれど「なんかわかんないけど旨い」という気はする。でもそれは「並んだからそう思う」もしくは「そう思いたい」だけかもしれない。

こないだ名古屋に行ったとき、有名店のモーニングを食べた。豆をハンドピックしているコーヒーも、北海道産の金時豆のあんこを使った小倉トーストもとてもおいしかった。

わたしが入店した後、店の前には順番待ちの行列ができていた。休日だったからわたしのような名古屋が地元じゃない人も多かったのかもしれない。

結局わたしも「名古屋のモーニング」に惹かれ「どうせなら有名店で」と思って店を探して行ったところが、タイミングよくたまたま並ばずに入れただけ。正直なところ、2,3人待ちなら並んだかもしれない。

わたしはこんがりトーストもコーヒーも大好き。でもなんというか、喫茶店に並ぶなんて「焼いたパンやで?」「コーヒーやで?」という気がどうしてもしてしまう。

これは、パンとコーヒーというありふれたものだからそう思うのかもしれない。家で焼いたパンも、家でドリップしたコーヒーも割とおいしいから。

「体験を買う」なんて言葉があるけれど、まさにそれだったなと思う。パンもコーヒーもおいしくて満足したけど、「モーニングの有名店に行った」という事実の方が心を満たしてくれているような気がする。もちろん、出てきた食事に満足したからこその感情ではあるだろうけど。

ラーメンなら並ぶのは割と分かる。旨いラーメンは「もはや何味か分かんないけど旨い」みたいなものがある。だから、ラーメンの場合は体験を買っていないような気がする。このへんは人によってバラつきがありそう。

要はここでも「期待しすぎてる」んだろうと思う。有名店のモーニングが、きっとトーストやコーヒーの概念さえ変えてくれると思っていたのかもしれない。さすがにそんなことはないのに。

とはいえ、たとえ味の差は1割だとしても、有名店には行列が出来ている事実がある。一般的なお店とのお客の数や売上の差は1割ではない。

これはきっとライターにも言えることだなと思う。いわゆる文章力の差は天と地ほど離れているわけじゃないはず。もちろんライターという世界に身を置いているからこそ、大きな差を感じてしまうことはあるけれど。

でも、クライアントや読者からすれば、きっとその差は1割なのかもしれない。
「なんか読みやすいな」「なんか分かりやすいな」「なんかコミュニケーション取りやすいな」
そういったことがクライアントが特定のライターに依頼を続ける決め手になっているのかもしれない。

わたしはフツーのライターだけど、1割にこだわるライターでありたい。

なんてそれっぽくまとめたものの、別に何か特別なことはしていない。だからフツーなんだな。




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