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【読書感想文① アルジャーノンに花束を】ていねいに書く雑文~その136~20221011

【読書感想文① アルジャーノンに花束を】

わたしはビジネス書は読まない。一切頭に入らないからだ。フンフンなるほどで終わるし。だったらせめて「楽しかったな」とプラスの感情を抱けるものがよいと思い、小説を読み始めている。ペースは遅いので月に2冊ぐらい。まだ1冊しか読んでいないけど、向田邦子がお気に入りだと母親に言ったら「ええ趣味しとるが」と言われた。えへへ。

せっかく読んでるんだから感想文を書いてみようという試み。読書感想文はとっても苦手だったけど、ライターとしてちょっとがんばってみようかなという試み。たぶん1回読んだ本は一生読まないことの方が多いだろうし。何かしら記録に残しとこうかなと。

1冊目は『アルジャーノンに花束を』

今まで本を読んでこなかったわたしでも知ってる有名作。タイトルの響きがいい。アルジャーノンはネズミの名前、ってところまでは知ってた。

ざっくりとあらすじをいうと、IQ65ぐらいの知能の低い30代の男性が、脳の手術を受けてどんどんと知性的になり、最終的にはIQ180ぐらいになるものの、次第にその知性が失われていき、元の知能に戻ってしまうという物語。大体半年ぐらいの出来事。

ちなみにあらすじに関しては、ウィキペディアに詳しく書いてある。見たのが読んだあとでよかった。

ひと言でいうと「苦悩」。

頭がよくなるからこそ、今まで気づかなかったことに気づく苦悩。そして、上がった知能がこれから下がってしまうことを自分で発見してしまうがゆえの苦悩。

小説は「経過報告」という、主人公の日記のようなかたちになっている。前半はひらがなばかり、誤字だらけで読みづらい。それが知能の向上とともに段々とまとまりのあるものになる。そして最後はまたひらがなだらけに戻る。

知能が下がっていく段階になると「大丈夫かな?」とフライングして少し先のページをチラ見し、漢字の量なんかをチェックしたりした。それで「あぁ、まだ大丈夫だ」と安心したり。

ただ、割と早い段階でネタバレの匂わせがある。手術自体が初めてのもので、どうなるか分からないと。良くなっても戻るかもしれない、なんて記述もある。だから、読者もなんとなく覚悟ができる。

印象的だったのは、天才になった主人公が、決して過去の自分を否定していなかった点。それは一貫していた。元の自分も人間だったと。知能が失われていく苦悩はあるけど、過去の自分を否定していない点が、読み手には救いになっているような気がする。

ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、不思議な本だった。

出来ていたことが出来なくなることは、老いに似ている。でも、老いは数十年かけて進むものだし、抗うことも認めることもできる。この本の物語はわずか半年ほどの出来事。そのスピードはショックをとても大きなものにするだろうと思う。

わたしはさっきから、どちらかというと、天才になってから知能を失っていく「苦悩」に焦点を当てて話しているけど、天才になるまでの過程に目を向ける人もいるだろうなと、今書いていて思った。これはたぶん読み手の性格によるのかなと。

ざっくり言うとネガティブかポジティブか。わたしはポジティブぶっているネガティブなので、知能を失う方に目を向けてしまうのかも。

感想文らしい文章ではなかったかもしれないけれど、こんな感じ。読んでよかったことは間違いない。おすすめしてくれた人に感謝します。


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