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続・ほろよい歳時記

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京都と滋賀の二拠点から、酒蔵のある風景を旅して呑んで。四季折々に好きなものを愛で、酔いしれる暮らし。毎日新聞に連載していた「すみれのほろ酔い歳時記」の続編。
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#湖北移住

お蚕さんと糸取りの里――賤ケ岳のふもと、大音地区。

お蚕さんと糸取りの里――賤ケ岳のふもと、大音地区。

今春から滋賀銀行の季刊誌「かけはし」で、湖国の街道を巡るイラストコラムを連載しています。10月発行の秋号では、北国脇往還を取材しました。

なかでも興味深かったのが、賤ケ岳のふもとにある大音地区の糸取り工房です。

糸取りをする時期は、6月から7月まで。
私が取材したのは、今年最後の糸取りの日でした。
工房を訪ねると、カタカタと糸を紡ぐ音が心地よく響いていました。

ここ大音での糸取りの歴史は古く

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ぼくは、美味しいお酒になるために生まれた。

ぼくは、美味しいお酒になるために生まれた。

朝7時―。
雲一つない青空が広がっていた。まだ昨夜のお月様が、ぼんやり青空に浮かぶ。

今日は、酒蔵の蔵人さんに引率してもらって、無農薬栽培の酒米の農家さんの元を訪ねることに。

酒蔵から小さな車ミゼットを借りて、夫婦ふたりでぎゅうぎゅうに座って運転する。ところどころ刈り取られた田んぼと、頭を重たげに実らせた稲穂。黄金色の田んぼ道を、軽やかに疾走する軽トラについていく。

木之本から高月を過ぎて、

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ひょっこり竹生島

ひょっこり竹生島

琵琶湖のてっぺんにぽっかりと浮かぶ、竹生島。
7月のおついたち、長浜港から出るフェリーに乗って、初めて島へと渡った。
その前日、6月30日といえば、茅の輪をくぐって半年間の穢れを祓う、大祓えの日。毎年この時期に、生まれ故郷の氏神さん、松尾大社で茅の輪をくぐる習慣でしたが、今年はそれも叶わず。
もやもやとしながら、7月を迎えてしまったので、ここでえいやぁと竹生島に渡ってみたくなったのでした。

でっ

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にょろりんの綱渡りを見た。(怖いもん見たさ)

にょろりんの綱渡りを見た。(怖いもん見たさ)

昼下がり、我が家自慢の庭を眺めながら、主人と一緒にお昼ご飯。
「あ”―っ!」
と、主人が指さす先に、にょろりんが…

気持ち悪さに、ぞっとしながら、怖いもの見たさでシャッターを切ってみる。この自然全てを受け入れるのだと言い聞かせて…。

でもやっぱり、ぞっとする…苦手だわ、にょろりん。
なんとか苦手を克服するべく、しばし観察。

身体を波打たせながら、松の木から電線を綱渡りして行く、にょろりん。

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賤ヶ岳、天国へと昇るリフト。

賤ヶ岳、天国へと昇るリフト。

GWに、木之本から車で10分ほど、賤ヶ岳を訪れた。
ふもとの駐車場から、リフト乗り場への階段を登るとき、どこからか流れ聞こえてくるノスタルジーな音楽。幻聴かと思うほど、自然にとけこむ導入BGM。そして階段を登り切ったとき、目の前の情景に思わず感嘆の声を上げた。

射干の花畑が一面に広がり、山の上までずっと続いている。その上をゆっくりと流れ来るリフトには、時折運ばれてくる人影が。無事生還を成し遂げた

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