まつうらすみれ

ルポ&イラストレーター/京都生まれ。京都の〝お酒の神様〟を祀る神社で巫女を経て…

まつうらすみれ

ルポ&イラストレーター/京都生まれ。京都の〝お酒の神様〟を祀る神社で巫女を経て現職。著書「日本酒ガールの関西ほろ酔い蔵さんぽ」。現在、京都と滋賀の2拠点生活。産経新聞「ほろよい余話」、京都新聞「近江酒蔵百景」連載中。kyotosumire.jimdo.com

マガジン

  • 天女の作品群

    顔彩による作品制作 #天女 #迦陵頻伽 #人魚 #女神像 #女神

  • イラストレーターのしごと

    イラストレーターのお仕事のきろく。顔彩を使ったイラストレーション。新聞連載をはじめ、日本酒ラベル、奉納画など。

  • 続・ほろよい歳時記

    京都と滋賀の二拠点から、酒蔵のある風景を旅して呑んで。四季折々に好きなものを愛で、酔いしれる暮らし。毎日新聞に連載していた「すみれのほろ酔い歳時記」の続編。

  • 京のつれづれ備忘録

    つれづれなるまま、京のあれこれを書き記す。生まれ住んだ京の景色。ちょっと離れて眺める横顔もまた良し。 私の原点、静かなお社での日々。巫女として奉仕していたあの頃なども、ときどき。

最近の記事

秋日、湖国の酒旅。―2.忍びの里へ―

前回の「秋日、湖国の酒旅。―1.青に浮かぶ町― 」より、ずいぶんと時間が経ってしまいました。 続編を綴る――。 さて、旅の続きは道中の車窓より。 高島のマキノを後にして、近江今津の「西友」さんで鰻ランチなどを楽しみ、近所の「琵琶の長寿」醸造元・池本酒造さんへ立ち寄ったのだった。先の車窓に写る、おもちゃの酒レプリカは、そのお蔵さんで購入したもの。店頭では、親切な女将さんが試飲を進めてくださり、ついつい時間の許す限りと…… せわしない滞在に関わらず、寄り道は楽し。 気づけ

    • 秋日、湖国の酒旅。―1.青に浮かぶ町―

      晴れやかな秋晴れの日、湖国を北から南へぐるりと半周する酒旅へと出かけた。 この日、京都の日本酒バーの女将さんにお誘い頂き、2軒の酒蔵を訪ねることに。 まずは、滋賀県高島市にある吉田酒造さんを訪ねた。 私が滋賀の拠点として住んでいる木之本からは、JR琵琶湖線に乗り、湖北のてっぺんにある駅「近江塩津」で湖西線に乗り換えて「マキノ駅」まで。乗り換えの接続さえうまくいけば、電車で約20分少しの距離だ。 ちょうど近江塩津を折り返すと、車窓から湖北の穏やかな情景が切り取られる。

      • 唐招提寺 うちわまき 2019 奉納画

        2016年よりご縁を賜り、毎年献画させていただいています。 春らんまん ー春の人ー ー春雷をよぶー (顔彩,和紙) 描いた作品はハート形のうちわに調整され、5月19日うちわまき に奉納されます。(下,写真は2018年うちわまき にて。) これまで法要での体験は忘れがたく、 僧侶の心地よい読経が響き、雅楽の調べに舞い踊る姿を前に、おおらかな大陸の風が吹いていました。 今年も、お空の上に居る大切な人たちを想いながら、アトリエから見える春の山々を眺め

        • 湖北、観音の里は春

          早くも、桜吹雪に包まれた京都を離れ、JR琵琶湖線で湖北へと向かう。車窓の景色は湖北にだんだんと近づくにつれ、まるで季節が逆戻りしていくよう。京都に比べて、湖北はおよそ1週間程桜の開花が遅いとのこと。 季節を行ったり来たりする生活も、桜を2倍楽しめると思うと、悪くないものです。 伊吹山の山頂付近には、今朝もうっすらと雪。 近所の日吉神社の桜も満開を迎えていた。 ふと思い立って、隣町へ“観音の里”として有名な高月町まで自転車を走らせた。 途中、桜狩(サクラハント)を楽しみなが

        秋日、湖国の酒旅。―2.忍びの里へ―

        マガジン

        • 天女の作品群
          5本
        • イラストレーターのしごと
          10本
        • 続・ほろよい歳時記
          18本
        • 京のつれづれ備忘録
          4本

        記事

          春のうた

          今年も、祇園でのライブペイントや仕事など、嬉しくも慌ただしい節分を迎え、合間の休日はゆっくりと京都で過ごしていた。 by 酔胡楽 https://twitter.com/kyoto_suikoraku/ 数日前に買った暦の本のページをめくっていると、二十四節気、七十二候の立春の候が目に止まった。今、季節はちょうど、黄鶯睍睆“うぐいすなく”頃であった。 少し寒さも和らいだ一日、哲学の道を散歩しながら、ふと大豊神社へお参りに向かった。 なだらかな石畳みの階段を上がっていくと

          夜会のウェイトレス

          イラストレーターとして駆け出しの頃、アルバイトをいくつか掛け持ちしていた。 私の人生の中心にある「絵を描く」関連の縛りを抜きにして、興味のある仕事を思いつくままやってみたかった。 主に経験したのは、神社の事務、観光広告業、ライター業、憧れのイラストレーターさんのアシスタントなど。他にもそれほど多くはないが、結局は、全てが今の仕事に結びついている。 中でも、最初にやってみたいと思って始めたアルバイトは、喫茶店のウェイトレスだった。 まず河原町や大阪など、名の知れたコーヒーショ

          夜会のウェイトレス

          翁の眼福

          京都では、正月も過ぎてしばらくすると、十日戎の賑わいが、何処にいても伝わってくる。えべっさんの福々しい姿のお菓子やお守りが目に浮かぶ。なにより昔から、私はえびす顔の人が好きだ。 あるとき、福の神のお顔を描いていると、とても心地良い気持ちに満たされた。筆を走らせながら、自分の顔もほころんでいたに違いない。なおいっそうのこと、えびす顔の人との出会いを楽しみに思うようになった。 これまで出会った中でも印象深かった方に、能面を打つお師匠さんがおられた。 その方の能面と対峙したとき

          “ルポ&イラストレーター”のしごと。

          秋色から冬色に変わるとき。日々、季節の色を確かめるように、仕事場の窓からじっくりと山々を眺めています。ひんやり、しぐれと共に色を深めていく―。 夏越しの祓から、早いもので年の瀬を迎えます。 春には京都に新たな拠点を持ち、滋賀と京都、大阪を往復する日が続いて、せわしないようで、でもしっかり休むときは休んで、湖北の静かな生活にも、ずいぶん癒されました。 気が付けば、“ルポ&イラストレーター”の仕事を始めて10年が経ちました。 きっかけは、巫女を辞めてすぐ、雑誌の編集者であ

          “ルポ&イラストレーター”のしごと。

          夏越しの祓

          京都では、梅雨の合間に夏日が挟まり、じめじめとした湿気を帯びてくると、とりあえず水無月でも食べて、怖ろしい夏の暑さに覚悟を決めるのだ。 この季節になると、神社で過ごしたある1日を思い出す。 春祭りの忙しい日々から、いつのまにか、参道に茅の輪が現れているころ、〝茅がや調整〟という日があった。毎年6月30日の夏越しの神事の直前に、茅の輪をくぐった参拝者の方々へ配る、茅がやのお守りを手作業で一日かけて完成させる。 その日は、一番目上の人から巫女まで、職員全員で一緒に作業を行う。

          +3

          心がわり ♯季節の庭

          心がわり ♯季節の庭

          +3

          雨の庭に降りて

          梅雨入り。 気まぐれの晴れ間に、シーツを洗って、気持ちよく庭に干す。 昼下がり、どんよりと曇が重たくなってくる。 2階の仕事部屋にいると、窓から冷たい風が吹いてきた。 あわてて庭へ下り、慌ただしくシーツを取り入れる。 このところ、庭を賑わすのは、どくだみの花。 その名とは裏腹に、可憐な花。 輝くような白さに、はっと目を奪われる。 しばし雨音に包まれる。 こぼれるように蕾をほどき始めた紫陽花たち。 生活の合間に、庭に降り、小さな喜びを見つける。 日々の愛しいものたちを、

          雨の庭に降りて

          祭りと共に過ぎ去った春の日々。

          あの白銀の景色から、季節は巡って、窓から、溢れんばかりの眩しい緑が迫っている。 日々、刻々と移り変わる季節の色を、この山の装いに眺めている。 中でも愛する山色は、桜の咲くころ。 もくもくと湧き立つような山の色を、脳裏に焼き付けようと必死。 自然の織りなす色々を、絵の具にのせていくことが何よりの喜びです。 今年も描いた、唐招提寺のうちわまきへの奉納画二対も、 萌えいづる春の色。 神々の宿る〝山笑う〟様を描きとめたくて。 〈春雷〉 〈山笑う〉 そして、4月、5月は例によ

          祭りと共に過ぎ去った春の日々。

          湖北、冬色の日々

          ほぅ――と、言葉を無くして、今朝も、我が家の窓から雪景色を見つめていました。 木之本は、今が一番美しい季節かもしれない。 この街のどこにいても、清廉な白のベールをまとった山並みが見える。 新年早々から、京都や神戸へ、仕事で泊りがけで往復する日々が続いていた。せわしない出張から帰る度に、白銀の山々に迎えられ、心が静かに震えた。 雪がすべてを覆い隠した街道の景色は、歴史の武将たちが眺めていたものと、さほど変わっていないかもしれない。 時に、しんしんと降りやまぬ雪。その美しさ

          湖北、冬色の日々

          ソワレの憂鬱

          ソワレの憂鬱

          女神像 鳥毛立女屏風より

          女神像 鳥毛立女屏風より

          秋色に染まる北国街道 ―「 街道まつり」

          今年の紅葉シーズンの到来は早いらしいけれど、湖北の紅葉はそれよりももっと早いようで。 街道から眺める山並みも、すっかり秋の装い。 夕刻、秋色をまとう、木之本のお地蔵さま。 我が家の玄関先に迷い込んでいた銀杏の葉は、どうやら近所の神社からやってきたみたい。 お参りがてら行ってみると、眩しい程の黄色が、秋空に映えていました。 ちょうど、秋の連休中には、木之本の街道まつりが催されていたので、お昼どき、屋台を目当てに向かいました。 木之本地蔵院から屋台が続き、入り口には宿場町ら

          秋色に染まる北国街道 ―「 街道まつり」