見出し画像

【後半】京都とアメリカを繋ぐ自由な男「京男ときどきアメリカン・ポップスが流れて」パーソナリティの勝部章人さん インタビュー

勝部章人さんの番組内容

京都三条ラジオカフェにて2018年から毎月第1日曜日(9:10〜9:25)放送中の「京男ときどきアメ リカン–京の町にアメリカン・ポップスが流れて」はパーソナリティのアキート(勝部章人)さんがアメリカの文化や60年代〜80年代の音楽を紹介、演奏してくれる番組です。

前半の記事はこちら

ーラジオを始めたきっかけがあったら教えてくださいー 

勝部:ラジオを始めた直接のきっかけはね、このFM局に「ゆう」さんっていうパーソナリティーの人がおられまし てね。今はお休み中なんですけどね、 彼女の番組にゲストで呼んでもらったんですよ。そこから仲良 くしてもらうようになってね。 で、彼女が一旦休憩する時に誰かやってくれへんかとなって、やってくださいよ、と言われてそれが直接のきっかけですね。こういうの嫌いなことはない。 人前で喋る のはね。教師っていうのは人前に出ますからね。1回やってみてもいいんかなと思ってね。うん、それでやり出したんですよ。で、やるとしたら自分のやってきたことをしゃべることですよね。 それで、このタイトルにしてね。始めてもう4、5年ぐらいになりますかね。

ー実際ラジオ番組を続けてみて、生活に変化とかありましたか ー 

勝部:あんまり変わってないですよね。教師の頃とやってることは変わってないんですけど、フィードバックは学生さんからの反応よりも、今は昔からの友達や同級生とかね、そういう人たちの反応がちょこちょこっともらえるんでね。いろんなこと言ってくれます。そういう意味では、聴いてもらっている対象が変わってきた点ですよね。 学生さんはね、絶対いいこと書いてくれる。成績評価に関わるからね。だからあんまりあてにならないんだけどね。全然関係ない人が聴いてくれてるっていうのは、面白いですよね。 でも適当に勝手にやってるな。 

ー勝部さんが 番組作りで大事にしてることや、これをリスナーの人に届けたいみたい、と思っていることはありますかー 

勝部:そうね、結局曲は好みで選んじゃうんですけれどもね。でも、やっぱりポピュラーすぎるのはなる べく避けて、 ポピュラーな人を取り上げるにしても、その中でこんな曲もいいんじゃないかなと思うのをね、新しく発見してもらったらいいんじゃないかなという感じでやってますけどね。
これからの展開と しては、ラジオ放送で言いましたけれど、60年代からやってきたんですけどね、今度は地域に広がって、イギリスとかアイルランドやアイリッシュの話とかね。それか、アメリカでもね、結構 やっぱり地方によって全然違うんですよ。サンフランシスコからロス、 それから東海岸のボストン、 ニューヨークを中心に。もうそれで間がボンっと空いてるんですよ。巨大な田舎です。そういうとこのアメ リカのポピュラー音楽というよりも、そういう山岳地帯の音楽ですね。エルヴィス・プレスリーの場合やっ たら、テネシーとかケンタッキーとか出身だし。その辺はバーボンウイスキーばっかり飲んでるんですが(笑)その辺の音楽は地方音楽みたいな感じで、そういう取り上げ方をして、ワールドミュージックっていう か、世界の地域の音楽みたいなね。ヨーロッパにもういうフォークソングみたいなのあるし、 そういうもの を広げていけたらなと、今思ってるんですね。 ブルーグラスってご存知ですか。
ーはい。スコットランド、アイルランドの伝承を元にした伝統音楽ですよね。ー 
勝部:それ。それが僕、好きなんですね。そういうもの。 津軽三味線なんかと一緒。生まれてからギターとかずっとやってるのね。テイラー・スイフトなんかもそうですよね。すごいメジャーになりましたけどね。あれはカントリー、元々田舎のお姉ちゃんですよ。彼女は小さい時から聴いてるんですよ。彼女の家の人は皆歌もギターも上手やし。 ほんで日本でね、なんかちょっと悪口になるかしらんけど、アイドルが歌が上手いとか下手とかね、言ってますけど、うまいかどうかは問題外。向こうの人は上手いのが出発で何を言うてんねんみたいな。だからテイラースイフトはその中からね、やっぱり才能を発揮してね、あれだけ認められたんですよね。

ー次の企画はワールドミュージックなのですね。気になっている地域はありますか?ー

勝部:カナダですね。ニール・ヤングすごくいいですよね。歳を取ってからよくなってきました。 今すごくいいじゃないですか。彼はカナダ人なんですよ。だから、そのカナダのアイデンティティみたいなものをね、 次やろうと思ってるんですよね。 ヤングもそうだし、ポール・アンカもカナダ人です。それから、マイケル・ ブーグレイとかねジャズの人も。シナトラの時代のジャズを今やっている人ってみんな外国人ですよね。外国人の方がうまいんですよ。それは一生懸命聴いて練習してるから、 アメリカから見たらダイアナ・クラールとか、セリーヌ・ディオンもカナダ人だしいっぱいいるんです。向こうの人は訛りの強い英語でも臆せず喋りますね。
ー日本人は英語に苦手意識を持っている人多いですよねー 
勝部:地域性の強い英語を「vernacular English」って言ってね、英語なんだけれどもイギリス英語が普通の英語ですよね。そこからちょっと離れたところの、生活で英語を使ってるのをバナキュラーって言うんですよ。一番極端なジャマイカ、英語やけどね何喋ってるかわからへん。ボブマーリーっていますよね、彼の、発音わかりやすいんですけど、 他の人何喋ってるかわからないの。それぐらい違うんです。でも面白いでしょ。ハワイの英語も面白いん ですよ。ちょっとアメリカ英語とは違うんですけどね。で、ハワイは日系の人がたくさんいてね、日本語とチャンポンがあってね「Pidgin English」って言うんで すけど、それめっちゃ面白いですよ。アメリカの大学へ仕事で行った時にちょうどそういうバイリンガルのね、日系のアメリカ人の女性がスタッフにいていはってね。 彼女とね、よくちゃんぽんイングリッシュで、日本語と英語のまぜまぜで喋りました。だから、もうなんでもええからやったらいい。日本の英語もね、喋ったら いいですよ、ジャパニーズイングリッシュです。これも、バナキュラーイングリッシュの1つですよ。 だか ら、文法とか関係ない、日本で作った文法でいいんですよ。だから、もっと喋ることですよね。京都の人 の悪いところはそこですよね。あんまりこう、素を見せたがらない、それを捨てられる人は、結構外に出て成功してるんちゃうか、 京都から出て成功してる人たくさんいますからね。企業なんかもね、結構大きい 企業もあるし。やっぱり向こう行って、なんかこう揉まれて、いろんなことやってね、 でも、やっぱり京都 の、魂持ってるみたいなね、京都根性とまでは言いませんけど、そういう人たくさんいますんでね。だから、そういう可能性を持ってることは確かかもしれませんね。京都の人はおしゃれ好きだからパリが好きって人も多い。 
ー私も京都とパリは似てると思います。川に囲まれた都市とかー 
西洋人の想像する川は対岸が見えないようなヨルダン川みたいなものをいうから、鴨川はストリームです。小さい。ムーンリバーなんかは鴨川のような川を思い浮かべるかもしれないけど、本当は結構違ったりとかね。「月はおぼろになんたら」とか言って。違うね、そういうこともごちゃごちゃラジオで言いたい。 そういう興味もあって、それもラジオの中でちらちらちらと入れてる。やっぱり日本的な発想っていうだけじゃなくて、やっぱり向こうの発想と、違いみたいなもんもね。比較文化論なんて学問があるけど、極東のちっちゃな国とアメリカみたいな大きな国を比べるなんてできないよね。僕言うてるんですよ。観光客に日本来たらもう日本語喋れってね、偉そうに何英語喋ってん ねん。って英語で言うんです。そんなん言う人あんまり日本人でいないんですよ。それはある意味アメリカ文化で、 とにかく思ってることは言うね。だからアメリカ行くとすごく気が楽っていうかね、言ったらやってもらえるんです。言わなきゃ何もしてもらえない。それはやっぱり打破していかないと、日本ではそんなんやったらね、厚かましいとかね、言われるかもしれんけど、 それは臨機応変ですよ。だからそこの使 い分けも大事。 

ー最後にこれからを生きる若者に何か一言お願いしますー 

勝部:やっぱり、もっと外を見てほしいということです。自分のいる環境だけじゃなくてね。だから、その価値観っていうのは、世界によって違いますからね。だから、自分の持ってる価値観とうんと違うものがあるし、それから日本の常識は世界へ出ると、もう非常識というか、 そのまま通じるとは限りませんので。それと、やっぱり日本がどれぐらいの世界で力持ってるかっていうか、 認められてるかっていうのをね、もうちょっと外に出て、ガクッとこう、感じるといいと思います。 積極的に行ってください。お金はなんとかなんとかバイトで稼いで(笑)と思いますね。それから、それとは逆に、いいものを見てほしいと思いますね。しょうもないもん、なんぼ見てもあきません。だからそれを見分ける。で、なんか、映えとかなんとか言うてますけど、一時的なもんでね、その次の日になったら ね、誰も来いひんみたいなね。ほんで結局ダメになるみたいなね。だから、そうじゃなくて、やっぱり自分で よく見て、いいものを見るっていうことでね、京都にはいいものがいっぱいありますからね。もうとにかく一流を見ないけません。二流、三流はなんぼ見てもあかん。それがわかる人にならないと。何にもないとこから物は生じないんですよね。その伝統があるから、その伝統を知った上で新しいことをやらないと。

ためになる、楽しいお話ありがとうございました。新しい価値観を積極的に取り入れられる大人を目指し頑張ります!


今回紹介させていただいた番組情報
番組名:
「京男ときどきアメ リカンー京の町にアメリカン・ポップスが流れてー」
放送時間:第1日曜日(9:10〜9:25)
パーソナリティ:アキート(勝部章人)
番組趣旨:アキートさんがアメリカの文化や60年代〜80年代の音楽を紹介、演奏してくれる番組です。京都とアメリカの意外なつながりが見えてきます。


記事を書いた人

瑠智亜 Lucia 
京都芸術大学アートプロデュース学科三回生
京都三条ラジオカフェでインターンをさせてもらっています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?