見出し画像

相談委員長の考えごと 第12回~気持ちを話したところでどうなるの?~

私たちは、認定NPO法人京都自死・自殺相談センター Sottoです。
京都で「死にたいくらいつらい気持ちを持つ方の心の居場所づくり」をミッションとして掲げ活動しています。
HP: http://www.kyoto-jsc.jp/

Sottoが行っている活動は幅広く、根幹となる電話・メールによる相談受付に加え、対面の場での居場所づくり活動、広報・発信活動などがあります。
各活動は委員会ごとに別れ、日々の活動を行っています。
今回から、電話相談を担当する「相談委員会」の委員長である「ねこ」さん(もちろんあだ名です)の、Sottoの活動を通して考えることを月刊連載としてお届けします。

Sottoの立ち上げ当初から活動に関わり、Sottoの文化を形づくることに貢献し、現在は電話相談ボランティアの養成を担当しているねこさん。
そんな立場から、Sottoの活動や、死にたいという気持ち、人の話を聞くということなど、様々なことについて考えることを語ってもらいます。
この連載が、読んでくださる皆さんにとって新しい気づきを得たり、死にたいくらいつらい気持ちについて理解を深めたりするような、そんなきっかけになれば幸いです。

第1回はコチラ→相談委員長の考えごと 第1回~死にたい気持ちについて~
前回はコチラ→相談委員長の考えごと 第11回~元気づけるわけではない~

相談委員長の考えごと 第12回~気持ちを話したところでどうなるの?~

名称未設定 1

 何か困ったり落ち込んだりしたときに、ねえきいてと誰かを頼ることはありますか?
家族、友だち、先生、あるいは上司。
Sottoで相談員として活動をしてきましたが、「そもそも人に気持ちを話したところでどうなるの?」と訊かれることがあります。
今回はこれまでの連載と少し趣旨を変えて、そんな疑問に対して私の個人的な経験から話をしてみたいと思います。

 私は、あまり他人に自分の胸の内を明かしたりと、悩みを相談するのが得意ではないのですが、そもそも自分の気持ちを言葉にしたり相手に伝えるというのは結構難しいことではないかと思います。
苦手意識が先行するばかりに、人を頼るに頼れずに一人で考え込んでしまう傾向にあります。
その結果、悪いようにしか考えられなかったり、必要以上に思いつめてしまったりすることもあります。

そうしてたどり着く自衛の手段が、おそらく思考停止であったり現実逃避なのですが、当然ながらそうしたからといって問題が解決するわけではありません。
変わらない現実がいつまでも目の前に横たわり、それは刻一刻とより深刻になっていたりもします。

 もちろん無理に解決しようとしないという選択もあります。
結局、どう判断し行動するかは自分次第なので、人に話したところでと期待をしていないのかもしれません。
しかしながら、いざきちんと聞いてくれる相手に話してみると、自問自答しながらではありますが、気持ちを言葉にしようとする過程で自分自身と向き合っているということにも気が付きます。

ごちゃごちゃしていた思考が整理されたり、取り組むべきことを順序立てて考えられるところがあるようにも思います。
それはさながら一人では億劫で避けてしまいがちなことを手伝ってもらうような感覚です。
頭ではやらないとと思っていても、よしやるかとなるまではしばらく、「あーあやりたくないな」とぐずぐずしたくなるあれです。

ひとしきりそんな「あーあ」を終えないと動けないことってありませんか?
この身動きのとれなさを紐解いて考えてみると、単純に面倒であったり気力がわかないというところもあるでしょうが、どうしようという迷いや不安、心配であったり、責任を問われたり信用を失う怖さなどもあるかもしれません。
また、ショックや悲しみ、絶望の底にあるようなときでも、どこか頭ではこのままではいけないとも考えます。

第12回②

 しかし、この瞬間にあるどうしようもなさや抱えきれなさにはなかなか抗うことができません。
気持ちのやり場がなく自力ではどうにも消化できそうにないとき、きちんと話を聞いて気持ちを受け取ってもらえるということは、自分と向き合う時間につながり、何らかの折り合いをつける手助けにもなります。

たとえそれが保留する判断であっても、次の行動を心に決められるというのは、それだけで背中を押されるような、心強さを感じられるところでもあるかと思います。
私はこれまでの相談員としての経験や、仲間との出会いによって、人に相談するというのも悪くないと思うようになりました。

相談委員長 ねこ

つづき⇒第13回「プロとしてのSottoの流儀
マガジントップ「相談委員長の考えごと

~Sottoへの相談案内~
「どうしようもなさ、わかってもらえなさ、死にたいくらいの辛さがある」
「死んだほうがいい…」
「…もう死ぬしかない」
「生きるのもつらい。かと言って、死ぬのもつらい」
抱えきれない辛さをお聞かせください。

〇電話相談

時間 : 毎週金・土 19:00~25:00
TEL : 075-365-1616
秘密は守ります。
研修を受けた専門のボランティアが対応します。
相談は無料です(通話料がかかります)

〇メール相談
窓口 : https://www.kyoto-jsc.jp/mail/
メール相談はいつでも受け付けておりますが、多数のメールをいただいたときに新規の相談をお受けできないことがあります。
相談受付が完了しましたら、sotto-mail@kyoto-jsc.jpから受付完了のメールを送信いたします。メールの受信制限を設定されている場合は、あらかじめ「kyoto-jsc.jp」からのメールを受信できるように設定してください。
9時~17時(月曜日~金曜日)に相談員が対応いたします。
メール相談の返信には、土日・祝日を含まない最大3日間のお時間をいただきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?