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2024年6月-第2部

6月2本目です。
1本目では、「表現」や「理論化」という営みそのものに関して考える手探りな探究と、量子力学を足場とした実際的に手を動かす探究を並列的に行っていました。

今回の議論では前者を、つまり手探りの探究をより具体化して進めました。表現そのものを志向するということで、いくつかの表現を持ち出します。そのため、文章や文字が支配的なメディアとして機能している普段の記事とは一味異なるものとなっています。

一方で、より実際的に手を動かす探究として、またはその探究に必要な知として、数学史 (特に関数論史)の話も織り交ぜています。現代に生きる我々が引き受けている数学観・関数観は「圧縮」されたものです。過去の数学者らが紡いだ「関数」という糸を、論理的に加工されたり一部抜粋された「短く切られた糸」や「絡まった糸」を我々は学んできました。圧縮がかかったままだと、その圧縮された関数観に視野を搾取され、その他の関数観を提示しにくくなります。ここに歴史的視座を獲得する意義が見出せます。
これは数学に限らず、他の分野にも言えるでしょう。日常的な「手洗い」の行為ひとつとっても、「微生物の発見」なしには現在ほど「手洗い」は主流ではありませんし、さらには「微生物が病気の原因」だと人類が理解するまでにはさらに時間を要しました。日常的行為にも奥行きがあり、それを解体していくと景色が変わりますよね。

そんな背景を持って、それぞれの内容を見ていきたいと思います。

本編

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