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「◀|▶」と「▶|◀」と「Adobe」

今日の新聞記事の中に、国語辞典編纂者の飯間浩明さんが、あるデパートでエレベーターの◀|▶ボタンの下に「ひらく」の文字があることについて書いていた。飯間さんは、▶|◀このマークがチョウが羽を左右に広げた形に見えるから、ついこちらが「開」だと錯覚してしまうのだという。

ここで、「我が意を得たり!」と手をたたいたのは、家中でむろん私だけだ。実は私も錯覚どころか、堂々と間違えてしまうのだから。しかも以前、満員のエレベーターで、たまたまドア近くにいた私がドアを閉めようとして、思いきり◀|▶ボタンを押し続け、いつまでも閉まらずエレベーター内で不穏な空気がひたひたと流れてしまい、ばつが悪い思いをしたことがある。こういうミスを犯す人のためにわざわざ文字で説明があるのだろう。

そもそも私は自分の思い込みによる間違いをよく犯す。例えば、ソフトウェアのAdobeを「アドべ」だと深く信じていて、得意げに家族の前で「アドべ」発言をしたところ、しばらく一笑に付され続けた。そのときに初めて「アドビ」と読むのだと知り、どうしてこれが「アドビ」と読めるのか不思議を通り越して、絶句したのだった。

こうした他の人にはとっては取るに足らない些細なことでも、当の本人には看過できない問題である。だから、もっと自分自身が気を付けなければならない。そのためには、飯間さんも提唱しているように、今後両手を開いた形で「開」、合わせた形で「閉」と表した方が自分にとっても有り難く、絶対に押し間違いは減るのではないかと思っている。


参考 朝日新聞2020年4月25日 be紙面 「街のB級言葉図鑑」飯間浩明 

#エッセイ #飯間浩明 #エレベーターのボタン #間違い #Adobe

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