思いがけない小さな出会い

自宅近くに動物病院がある。散歩ついでに病院の前を通ったら、いたのである。受付の前に、大きな真っ白なフワフワの犬が。何となく、昔テレビアニメで見た「名犬ジョリイ」に似ている。飼い主に連れられて、ガラス越しにじっとこちらを見ている。私も、その大きく黒目がちな瞳を思わず見つめた。時間にして15秒くらい。しかし、私に様々な空想の扉を開くきっかけを与えるには十分な時間だった。

帰宅後、早速、犬種を調べてみた。「グレート・ピレニーズ」多分これだと思われる。フランス原産の大型犬で、家畜を護衛する任務が適職のようだ。悠然としている一方で、家畜を守るため忠実に働く姿が目に浮かぶ。遠い日本で飼われているが、名前は何と言うのだろうか。コロ、ゴン（これは以前、実家で飼ってた犬の名）、マロン・・・どうも、小型犬の愛らしい感じの名前しか思いつかない。以外にも、わびすけ、一平なんて純日本風の名前だったりして。いや、ここはフランスっぽく、ボヌー、ネージュ、ソレイユか・・・

また、この「グレート・ピレニーズ」は、散歩と人の視線を喜ぶらしい。あ、だからじっと外を見つめていたのか。誰か自分を見てくれないかなと思っていたところに、ベストタイミングで私が通りがかったのかもしれない。病院に来ていたから、どこか具合が悪かったのだろうが、雪のような白さで毛並みもつやつや。家族から愛されて、きっと幸せに暮らしているんだろうなと、勝手に空想する私も幸せな気持ちになってくる。私自身、犬は好きだがマンション住まいなため、飼えない。仕方なく、ときどき散歩中の飼い主に無断で様々なワンちゃんを見て、日々空想の翼を伸ばしているのである。

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