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金田一先生と私

職業柄、本を読む。とりわけ国語学や日本語関係の本は、よく目を通す。今読んでいるのは金田一秀穂先生の『金田一家、日本語百年のひみつ』(朝日新聞出版)。身近な日本語を鋭い視線で見つめ、そしてユーモアセンスあふれた軽妙な文体で綴られているので、読んでいて抱腹絶倒だ。なるほど!そうなのかと思えることも多く、日本語をまた違った視点で考えられるのが、とても楽しい。

著書にもあるように、金田一秀穂先生は三代目。初代はアイヌ語研究の大家金田一京介先生。二代目は、主に方言のアクセント研究に従事された金田一春彦先生。つまり、金田一家は三代続く国語研究の名門一家ということなのだ。

私が金田一京介先生の名を初めて知ったのは確か、小学2,3年の頃だった。実家にあった赤茶色のハンディ版国語辞典(母の嫁入り道具?の一つらしい)に銀字で刻印された先生の名字を見たとき、習った漢字で読める嬉しさからか、「かねだいち」と嬉々として声を上げたのだった。いやいや、それは「きんだいち」と読むと、母に訂正されたときの私の驚きと言ったらない。そのときから「きんだいち」が、しかと私の心をわしづかみしたのだった。

それから何年も月日は流れた。心をわしづかみにされた私は、曲がりなりにも外国の人に日本語を教えるという生業を続けている。何年続けていても、毎日ある新しい発見と驚き。改めて日本語の面白さ、不思議さに魅了させられずにはいられない。

私を静かに日本語の世界に誘ってくださったのは、金田一京介先生なのかもしれない。このご縁に深く感謝しながら、秀穂先生が書かれた『金田一家、日本語百年のひみつ』の続きも、早く読んでみよう。

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