Tiktokで有名なドラァグクィーンが教えてくれる数学の楽しさ
Math in Drag
「ドラァグクィーンの教える数学」
Kyne Santos
March 2024 (Johns Hopkins University Press)
ドラァグクイーンね。ドラァグクイーン。
なじみないなぁ。。。
でも、この本の表紙のどハデなドラァグクイーンを、無視はできなかったんだよねぇ。。。
そもそもが地味な人間なので、あの派手派手しさにおもわず後ずさってしまう。
じっさいに接点がないから、どういう人たちなのかよく知らないのだ。
いわゆる「住む世界がちがう」というやつで、たぶん生きてるうちに一生交わらない種類の人たちなのではないか。
よく知らないのでネットで調べてみた。
「シスジェンダー」は、性自認と生まれ持った性別が一致している人だよね。対義語の「トランスジェンダー」と比べるとわかりやすい。
なるほどー。あのド派手な衣装とか大げさな身振り手振りは、男性が理想とする「女性らしさ」を揶揄していたのか。おちょくっているわけだ。
そもそものはじまりは、「男性らしさ」「女性らしさ」というような固定概念に対する抗議の意味があったということね。
そのへんは共感できるんだけどな。
でも、やっぱりなにか威圧感があるんだよなー。
派手な衣装やけばけばしい化粧とか、わざとやってるんだろうし、それって社会に立ち向かうための鎧(よろい)というか、闘うための武器というか、武装なんだと思う。
でもその攻撃性が、コワいんだよね。そもそも肉体的には男性で、体も女性よりは大きかったりするのに、そこにゴージャスな衣装を身にまとって、どぎついメイクしたらさ、そりゃすごい迫力なわけよ。
そうでもしないとこの世界で生きていけなかったのかもしれない。そのしんどさは、わかってあげられなくて申し訳ない。でも、なんとか社会で生き残るための手段にともなう「暴力性」みたいなものを、感じてしまうのだ。
でもそれは言ってはいけないことのようで、だからドラァグクイーンについては、なんとなく触れるのがためらわれる。
なんかうまく言えないな。
ドラァグクイーンに対して、なにかマイナスととられるようなことは言ってはいけない空気を感じるというか。
ことわっておくが、私はドラァグクイーンが嫌いなのではない。
まあいいです。うまく言えないことは、うまく言えない。
で、今回紹介する本である。
Kyne Santos(カイン・サントス)は、1998年生まれの26歳、フィリピン人の両親とともに5歳のときカナダに移り住んできた。Canada's Drag Race(カナダズ・ドラァグ・レース)というドラァグクイーンの勝ち抜きコンテスト番組に出て有名になったらしい。
https://www.onlinekyne.com/links
その番組に出る前から、カインはYou Tubeでドラァグ愛好家に向けた裁縫とウィグのスタイリング講座のような番組を提供していたが、番組に出て有名になった後、TikTokでドラァグクイーンの姿で数学のおもしろさを伝える動画を投稿して、80万フォロワーをもつほどに人気になった。
そのカインが、数学のおもしろさをドラァグクイーンの世界とからめながら、わかりやすく教えてくれるのが、本書というわけだ。たとえば地下のクイアなサブカルチャーと、数学の「無限大∞」の性質との驚くべき関連性について。あるいは、『カナダズ・ドラァグ・レース』に出たときに役立った「統計」の手法について。なんかおもしろそうでしょ?
数学が苦手な人にも楽しんでもらえるような内容だって解説に書いてある。
カインは、ドラァグクイーンのときのジェンダー代名詞はshe/herで、ドラァグでないときはhe/himだと言っている。
ジェンダー代名詞。いつから見るようになったかなぁ。メールの最後の署名のところに she/herとかhe/himとか。最初は、トランスジェンダーの人に配慮した表記だったと思うんだよね。自分は見た目は男性だけど、性自認は女性なのでshe/herで呼んでください、とかね。でも、メールの場合は、どっちかっていうと単純に、英語圏以外の人の名前だと性別がわからないから入れているというほうが多いんじゃないかなぁ。。
私だって、アジアの人の名前は性別どころかどっちが姓でどっちが名前かすらよくわからないもん。
カインのTikTokはいまや1.5M のフォロワーである。150万人!
本を読む前に興味のある方はどうぞ。
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