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秘密基地は無くなっていた

たまに忘れそうになるが、今は島に住んでいる。海にも慣れてしまった。

中学生までの僕が過ごした街に帰った。
帰ってくるたびに街が寂しくなっていくような気がどこかでしている。

旅行店やお弁当屋さん、カブトムシの餌を買ったあの八百屋さんも閉まったきりだ。

眼鏡をかえたからだろうか、見えるものが少し変わって見える気がする。変わったのは僕なのか街なのか。

髪を切ったからだろうか、風をよく感じるようになった。奴らはどこからやってくるのか。

多分他の人には分からないだろうし、別に分かってほしいとも思わない。僕の生家の近所に漂うこの冬独特の匂いが好きだ。

焼肉屋のおじちゃんは優しい。
妹は泣き虫。
隣のおばさんは何故か話したことがない。

子供の頃作った秘密基地はなくなっていた。
公園の桜の木は切られていた。

僕のことを誰よりも知っている街

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