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線と向かうトキの頭の中

はじめに
私は文字作家をしている。
いわゆる
書家という職業である。

初めの頃は
書家という肩書きに
こだわっていた。

だんだんと
肩書きは線を見て
相手がどのように感じるかで
いいのではないかと思うようになった。

線はコトバである。
そんな文字作家活動の中で
大切していること。

紡がれた線とコトバの間にある
偶然の偶然の必然で導かれる
書くを通じて見える世界を
コトバで紡ぐことである。

それゆえに
コトバだけで綴るのが得意ではない。

詩を書くにも
線がないとコトバが出てこない。

やはり
発動条件に
立ち戻り

まずは
記憶の線を描き
コトバを紡ぐことにした。

テーマ。
季節に伴い「夏」

漢和辞典より
象形文字であり
大きな仮面かぶってすり足で待っている様。
大きな覆いが下のものを包む
草木が盛んに茂ることを表しているらしい。

部首は「なつあし」という。
ちなみに
冬は 「ふゆがしら」

書き方は

一 


夊 (足に関する字が属すらしい)

一ノ目の夊 
一の目で夊
一つの目。足に関する…….。

夏と言えば
旅行の季節である。

君たちとの旅に出掛けた。

今回で
しばらくは
みんなが揃う夏休み
はお預けになる。

はじめのうちは
両手いっぱいに
君たちに必要なモノたちで
溢れていて移動が大変だった。

でも
だんだんと
その必要なモノは
少なくなり

今回は
とても
とても
とても
軽るかった。

だって
みんな自分で荷物を持ち
10キロも歩ける体力がついたからね。

空の時間。
いつぶりかの窓側に。

空のイロ。
雲のカタチ。
時々
かけっこしている雲たち

海の色。
船の泡の線。
山々のカタチ。
土地の形。
建物のカタチ。

そして
誰かの日々の灯りが重なり
夜景に繋がることを
五感いっぱいに
感じることを
受け入れられる時間となった。

戻ってからは
山積みの

洗濯物。
ライフジャケット。
水着。

随分と効率よく
片付けられる
自分がいた。

君たちと過ごした
時間が
効率よく動ける術を
授けてくれたコト。

時の濃さを
感じられた。

また
いつかの願いを込めて線画と共に。

線画には
夏 なつ ナツ の線を連綿線を用いて。



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