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【食エッセイ】釜飯宅配「釜寅」を食べたら釜飯屋の思い出が一気に溢れた

 朝起きたらものすごく釜飯が食べたくなった。前日は彼がパチンコの戦利品として持ち帰ってきたレトルトカレーを消化しようとしていたのだが、朝起きたらなぜか口の中が釜飯だった。なぜかと言われてもそうなったのだから仕方がない。とはいえ、残念ながら地元に釜飯屋はない。ということで釜飯の宅配「釜寅」にオーダーした。

 釜寅を初めて食べたのはコロナ禍だ。母が知っていて頼んでくれた。デリバリの釜飯ってどうなのよ? と半信半疑だったが、食べるとびっくり。当たり前だけどちゃんと釜に入っていて感動した。味もしっかり美味しい。さらには、出汁ポットが付いていて最後にお茶漬けにして食べられる。釜飯をお茶漬けにして食べる発想はなかったので驚いた。しかも出汁も本格的でチェーン店とは思えない。想像以上のクオリティーでウハウハしながら食べた。以来、釜寅は私のお気に入りである。

 釜飯といえば小中学生の頃、新宿での買い物や有楽町の宝塚劇場に行った帰りによく食べに行った。母が釜飯好きだからだ。最初に釜飯を食べたのは小学校低学年の時。初めて見た釜飯は不思議だった。鉄と木蓋の異素材の組み合わせがUFOみたいに見えた。それなのに、蓋を開けると具沢山のごはんがいい香りを漂わせる。一口食べるとその美味しさに驚いた。エビや鶏肉、ぎんなんや筍など具沢山で出汁の味が効いている。子どもにしては量が多いのに美味しくてあっという間に平らげた。

 母とよく行っていたのは百貨店やビルの地下にある店舗。どちらも和室をベースにしたどこか懐かしさを感じる内装で、ワクワクしつつ子どもながらに背筋が伸びる思いがした。女将さんらしき人がキビキビと動き、声を張って厨房にオーダーを伝えていた。当時は平成だったけど昭和という感じで、古き良き時代の活気とおばあちゃん家にいるような安心感があって好きな空間だった。

 そういえば、最近は釜飯屋を見かけない。今から30年前はもっとあったように思う。ところが最近見かけないのは食べる人が少なくなったのか、それとも私があるのに知らないだけか。どちらにせよ、また外食で食べたい。

 しかし、家で釜飯を食べられる喜びは大きい。これからも釜寅のリピーターでいる所存だ。

 さて、今回釜寅で頼んだのはこちら。

 しらすと明太子釜飯。
 ちゃんと明太子は別入れになっていて、漬物とお茶漬け用のわさびと小ネギ、海苔がついている。もちろん出汁ポットも。

 釜寅を食べる時、私は3回味を楽しむ。1回目はそのまま、2回目はお茶漬け用のワサビを入れて。そして最後にお茶漬けだ。個人的には釜飯にわさびがおすすめ。釜飯の豊かな香りとわさびのの爽やかな味が相まって乙な味になる。

 釜寅には定番から変わりだねがある。なんと、うなぎもあるのだ! 写真は撮ってないけど、今回彼はうなぎまぶしを頼んだ。彼が言うにはうなぎまぶしも美味しいとのこと。

メニューの一部。エリアによって異なるよう。


 しらすと明太子は初めて見たので即決だった。今回も安定の美味しさだったけど、欲を言えばしらすはもう少し多いほうが嬉しい。明太子の味が強くてしらすの味が負けてしまったからだ。しらすがもっと多かったらベストコンビネーションだったと思う。残念ながらしらすの大盛りはなかったので、次回頼むとすればスーパーで事前にしらすを買ったほうがいいかも。しかし、私は大のしらす好きなので求めるしらすの量が異常かもしれない。と言いつつも、今回もしっかり堪能した。

 だけど、やっぱり店舗で釜飯を食べたい。出来立てほやほやを昭和感が漂う店内で味わいたい。昭和感がなくてもいいから、外食で釜飯を楽しみたい。

 食べ終わった後、どこか釜飯屋ないかなぁとググってみると、地元周辺に釜飯居酒屋があると知った。まさかこんなに近くにあるとは思わなかったので嬉しさこの上ない。子どもの頃の、あの懐かしきワクワク感を久々に思い出した。2個先の駅だけど今度行こうと彼に言った。今から行くのがとっても待ち遠しい。

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