【アビスパ福岡】2019年J2第4節vsファジアーノ岡山:一度冷静になってアビスパのサッカーを見てみようの会
「アビスパの今年のサッカーはクソだ!」
という方に問いてみたいです。
「何がクソではないのでしょうか?」そして、「良いサッカー」とは一体何なのでしょうか?どんなサッカーに正解があるというのでしょうか。それを解答できずにアビスパ福岡のサッカーを批判しても切りがないと思います。
むしろ、その正解を見事にプレゼンができれば相当の説得力を持つはずだと信じています。
親から「良い子でいなさい」という抽象的な注意をされて、「どうすればよい子なの?」と口答えしたときに、曖昧な答えしか出せないのであれば「良い子」なんて伝え方はせずに、「みんなの前でお話するときは声を小さくしようね!」という言い方をするべきだと思います。
僕は自分がされたら嫌なことは他の人にはしてはいけないと教わって生きてきた。もちろん、自分の思わぬところで人を不快にさせてきたことは間違いなくある。しかし、もし自分が言われて嫌だったことは極力避けてきたつもりです。
つまるところ、何が言いたいかというと、
「4試合勝ちなしくらいでへこむなよベイビー」
ということです。シュートは打ってる、アタッキングサードにボールは運べている、得点も決めた。あとは信じて歌うだけだというのが持論だ。
サッカーを応援することは義務ではない。義務ではないが、最高の幸せを得るための権利である。僕はただアビスパ福岡が勝つことを信じてスタジアムに足繁く通って応援するまでだ。
勝ち負けに頭を悩ますのは監督や選手だけでいい。サポーターは目の前の結果に一喜一憂して、「サッカー観戦」というエンターテインメントを十二分に楽しめばいい。
ということで、皆さんがサッカー観戦というエンターテインメントを十二分に楽しむために、岡山戦を血反吐を吐きながら見直してみましたので、その素人による素人のための素人分析レポートをお楽しみください。
岡山:シンプル・イズ・ザ・ベスト、真っすぐにゴールを見据えて
僕はバイトが終わってそのまま佐世保駅から8時間かけて岡山のホームスタジアムであるシティライトスタジアムに降り立ちました。
バイトが終わった後にそのまま車に乗せてもらったので、完全にお風呂に入ることもままならないまま岡山に到着です。
シティライトスタジアムは初めて来るスタジアムだったのですが、「#陸上競技場あるある」の外観が綺麗であるという印象を例外なく受けました。
岡山後楽園などで抹茶を奢っていただき嗜んだ後に、いよいよ試合です。僕の日記に興味のある人なんて世界に誰一人としていないと思うので、さっさと岡山戦を振り返ります。
まずは福岡のスターティングメンバーから見ていきます。
GK:1セランテス
DF:3石原 5實藤 39篠原 22輪湖
MF:8鈴木 14前川 19田邉 17松田 16石津
FW:9ヤン
(※敬称略)
4バックに鈴木選手がアンカーの位置に入り、インサイドハーフという中央よりの攻撃的な選手に田邉選手と前川選手を配置してきました。前川選手は今シーズン初めてのスターティングメンバーです。
そして、右サイドには石津選手、左サイドには松田選手という配置の中央には新加入のヤンドンヒョン選手が登録後、即スタメンに選ばれました。サッカーに関して、イタリア人は韓国人に対してあまり良くない印象を持っていると聞きますが、ペッキア監督がここで彼を躊躇なく起用していることから、ペッキア監督の「勝利」への執着心が見えてくるようです。
そして、ファジアーノ岡山のスターティングメンバーを見ていきます。
GK:13金山
DF:2廣木 8田中裕 20チェ 6喜山
MF:25久保田 17関戸 14上田 19仲間
FW:9イ 18齋藤
(※敬称略)
毎度ながら敬称を省略してしまい申し訳ありません。ここに選手をつけると大幅に見にくさが増すのでご了承ください。
スターティングに関しては僕がスカウティングをしてみた前節の岐阜戦から中盤の武田選手から関戸選手へ、そして昨シーズンまでアビスパ福岡に所属していたレオ・ミネイロと斎藤選手を交代という2つの部分を変更してきました。
これに関しては意図を推察することさえ難しいですが、齋藤選手がサイドに流れる形から何度もチームの長いボールを受ける役割を成功させていたところから対福岡に向けてのパーツという認識が最も有力であると考えることができます。
試合はあっさりスタート、この90分の為に片道8時間もかけて岡山まで来たんだ~「うける!」と思いながら試合はスタートします。
まず真っ先に岡山がやっていることを見ていると、「出来る限りボールを前に運ぼう」ということをやっていたと思います。そのための手段として、イヨンジェ選手や齋藤選手が中央からサイドに流れるようにしてパスを受けることでロングボールを引き出してボールを相手のゴールに近い位置で保持することを幾度となく狙っていました。
この形は岡山の狙った形の一つであることを象徴すべく、ここにボールが入った時に岡山の選手が前線にいっきに枚数をかけて攻めあがります。もちろん、リスク回避のために逆サイドのサイドバックはやや絞るようなポジショニングをしながら最悪のシチュエーションだけは避ける方針です。
福岡としては前線で強力な力を持つイヨンジェ選手とロングボール一本でディフェンダーとの数的同数のような勝負を仕掛けられたのですが、なかなか思うようにその勝負に勝てず、相手チームの中盤にいる上田選手のいやらしいキックなども影響してボールを簡単に自陣に侵入を許してしまいます。
また、左サイドには異なる攻撃のオプションとなりえる選手がいました。それが仲間選手です。サイドでボールを受けてドリブルで中央に侵入してくることもできる、狭いところでボールを受けられる、シュートまでの意識が非常に強いという選手なのですが、これらの特徴を持ち合わせているがゆえに、福岡にとっては最も危険であるスペースの「アンカーワキ」という部分を突かれてしまいました。
これは極端な画像を作ってみたのですが、福岡の中盤のうち前川選手と田邉選手は前にプレッシングに出ていくために中盤の底に部分に鈴木選手が一枚残る形で陣形でした。
そのため岡山にとってはゴールを奪う上でシュートを打つこともアシストをすることができるというスペースを自由に使えるようになりました。
また齋藤選手の動きを見ていただければ分かるのですが積極的にサイドに流れるような動きをしていることが度々確認できました。それによって、仲間選手を活かすためのスペースを与えると同時に、いざ自分にボールが出てきたときにはヨンジェ選手をはじめとした中央へのクロスも高い精度を誇っています。
また、齋藤選手がサイドに流れることで福岡のセンターバックの選手がケアすべき選手の対象が増えるので意識が逸れやすくなるといった部分でも賢い働きをしていました。
岡山としてはシンプルに前線のボールを運んでいきながら、最終局面をくずためのピースとして、ラストパスに定評のある上田選手はもちろん、自信でもゴールを奪うことのできる強力な攻撃陣の特徴を上手く組み合わせていきながら攻撃を組み立てていきます。
物凄くシンプルではあるものの、合理的な攻撃だと思います。
福岡:出しどころを潰され、サイドに逃がされる
続いて福岡の攻撃を振り返ってみましょう。
ここで面白い図を作ってみたので、ご覧いただきたいのですが、
パスの方向や本数を可視化した、パスネットワーク図というものです。
これは僕がダゾーンを見ながら、誰が誰にパスをしたのかを地道に記録していき作った画像なのですが、とりあえず前半の30分までのパスの流れや方向を確認することができるのではないかと思います。
「ここはこうだったなあ」という印象を確信に近い断定をすることがある程度できるのがこのグラフの素晴らしいところで、例えば鈴木選手がボールを受けるとその多くを前線のターゲットに向かってパスをしているということが分かります。
彼をアンカーの位置に配置することで、守備面ではやや不安定なところはありましたが、そのロングキックの精度で前線のターゲットに正確にボールを供給できるのは彼を中盤の底に置く利点の一つであることが如実に表れているのではないかと思います。
またこの画像を見る限り、多くのパスが實藤選手に集結していることが分かります。試合中に彼のプレーを見ていると、前線のターゲットを目がけた長いロングパスを、同じポジションである篠原選手よりも出しているという印象がありますが、その要因はもしかすると相手のプレッシング回避の為に後ろに下げてきたボールが彼の元に集まった結果、前線のターゲットに向けてのボールを供給する必要があるということを推察することができますね。
その他にも左サイドの輪湖選手がボールを持った時に相手チームの攻撃の選手がかなりのプレッシャーをかけに行っていました。その結果として一列前の松田選手へのパスが多くなっていることが分かります。しかしながら、松田選手はなかなか前を向くことができず、通常であればオーバーラップなどで攻撃に参加する回数の多い輪湖選手がなかなか攻撃に参加することができていないという現状があります。そこで松田選手の位置に田邉選手などボールを失わずに前に運ぼうとする意図のある選手、あるいはミコルタ選手など足元でボール受けてからでも突破ができる(この場合は能力値が未知数なので期待)ような選手を配置することによって、サイドバックの能力をさらに活かすことができるのではないかなども推察することができます。
客観的なデータは印象や感想などとは全く異なる事実を提示してくれる場合があります。このパスネットワーク図は後半分も作りたかったのですが、どうしてもパソコンの調子が良くないので、次回の試合に回そうと思います。
得点の可能性
こういったグラフを提示することで、チームのパス回しの部分を可視化することができるので、そこの面は素晴らしい役割をしてくれるものだと思いますが、これだけでやったつもりになってしまうのはいけません。
この試合を観て、得点の可能性はあったかと言われて皆さんも振り返ってみてください。サッカーにおいては、相手よりもより多くの点数を取った方のチームが勝つという前提がありますので、どんなにパスをつないだところで、試合に勝利することはできません。
むしろパスが手段となってしまうことで最も重要である「勝利」が遠のいてしまうというケースも、いままで数えきれないほど見てきました。
僕が試合を見返していたところ、前半は右サイドからの攻撃が主体となっていましたが石津選手がドリブルで中央へ侵入してきた場面では相手チームが対応しきれずに、簡単に中央までたどり着くことができていました。
また、その流れでヤン選手に預けるという形からも得点の可能性を感じました。福岡の今年のメインとなる攻撃の手段は基本的にはサイドを枚数をかけて崩していくというものが結果として攻撃につながっていると思いますが、そういったルートの中で松田選手が輪湖選手との連動の中で中央へカットインしてシュートを打つことができていたといったことから分かるように、やはりサイド攻撃からは十分得点をする可能性はあるのです。
相手にサイドをケアされてしまった京都戦のような戦いになると恐ろしいような試合になってしまうので、さらなる武器を持つ必要はあると思いますが、今の時点でどこのチームよりも劣った結果として最下位になっているというよりも運がなかったと言うべきではないかと思っています。
何度も言いますが、勝てる可能性があるなら応援するのがサポーター席を陣取るサポーターの義務だと思います。僕も慣れない中でとにかく飛んで応援しようと頑張っているので、この背中を見て誰かが「あの人みたいになりたい!」と憧れてくれればいつかはゴール裏が飛んでもない迫力を見せてくれるのではないかと信じて飛び続けてみようと思います。
福岡の弱点を読んでいた?岡山のプレッシング
さて、もう少し分析みたいなことをしてみます。
得点の可能性があるとはいえ、やはりどう考えても岡山の方が得点の可能性が高いサッカーをしていたように感じた方も多かったのではないでしょうか。そのロジックを僕なりに説明するとすれば、福岡はファビオ・ペッキア監督が就任してから、ゴールキーパーがボールをかたくなにショートパスで繋ぐといったように、広い言い方をするならばポゼッションサッカーを試みています。
それをもっと詳しく読み解いてみると、
(京都戦からパスネットワーク図を裏で作成していました)
福岡のパスサッカーには大体サイドバックにボールが出たあたりから手詰まりになってしまうことが多かったりします。そこに対するサポートの少なさがその要因の一つだと思うのですが、ここの位置からどうしようもなくなる場合が多くなるという事実は確認できていました。
岡山はそこを狙ったのではないかと思っています。サイドバックのところのパスコースを最初から消してあげると、福岡のパスの出しどころがなくなってしまうので、ボールを奪うのが容易になる可能性が高いという戦略を練ったのだと推察しています。
福岡はさらに新監督のもとで前からボールを奪いに行くというプレッシングサッカーも同時に目指しているものではありますが、前からボールを奪いに行くというサッカーをすれば後ろにいる枚数が減ってしまうので、ロングボールも通りやすくなるといったような岡山としては好都合なことをしてくれるチームだったんじゃないかと思います。
最後に
4試合勝ちなし、そして最下位。
そんな状況ではありますが、まだ後ろを向くには早すぎます。ゴールを奪えていないだけ、運なく失点してしまっているだけなのです。
いまチームを痛烈に批判して、このまま好調に傾けば恥ずかしいじゃないですか。それよりはフラットになって、ダメなところもあるけど、いいところもあるという視点でもう少しだけサッカーを楽しんでみましょう。
そして、サッカー観戦はエンターテインメントであるということを忘れないようにしましょう。
もし、サッカー観戦としてのエンターテインメントを忘れかけているのであれば初心を取り戻すためにライジングゼファーフクオカの試合を観に行きませんか?
僕が書いたチアの女の子たちの紹介で目の保養をしてみるも良しかもしれませんね。
次のホームの試合は、今週の土曜日!3月23日です!アビスパの新潟戦が14時キックオフなので、18時からはライジングゼファーフクオカ!ぜひ皆さんのご来場をお待ちしています!
会場は飯塚第一体育館ですので、どうぞお間違いなく。
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