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アクセシブルツーリズムをインプットするよ✨②アクセシブルツーリズムをやらない国は観光競争に生き残れない

こんばんナマステ💙Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

今日は前回に続いて

1月23日に開催された東京都産業労働局主催「アクセシブル・ツーリズム推進シンポジウム」をインプットしていこうと思う。

2度目の今回は一番の肝になるかと思うパネルディスカッション「観光産業再興の未来を拓くアクセシブル・ツーリズム」を見ていくよ。

とりあえずこれを押さえたら、アクセシブルツーリズムについての概略はわかってくるのかなと。

それではディスカッションのメンバーはこちら。

モデレーター:川内美彦氏。

アクセシビリティ研究所主宰
東洋大学人間科学総合研究所客員研究員
工学博士・一級建築士・アクセスコンサルタント

建築畑の方のようだね。

パネリスト①:佐藤聡氏

DPI日本会議事務局長
JDF障害者権利条約パラレルレポート特別委員会 事務局長
内閣府障害者政策委員会委員
国土交通省移動等円滑化評価会議委員

しょうがい者の立場から交通機関などのバリアフリィを訴えてる人というところか

パネリスト②:栗木敏男氏

NPO法人高齢者・障がい者の旅をサポートする会 専任講師

組織のホームページにその名はなく、ヴェールに包まれてる方。

パネリスト③:中村好明氏
一般社団法人日本インバウンド連合会 理事長

この方は特にインバウンドではとても有名な方で、自分も面識がある。

元はドン・キホーテにいた方で、ドンキのインバウンド戦略の成功で頭角を表し、インバウンド関連の何かには必ずと言っていいほどその名がある。

ちなみに欧州で哲学を学ばれていて、ヤバいくらい頭が回転が速い。中村さんの話を聴けるのはとても楽しみ。

まず、東京都産業労働局長からのメッセージ。(欠席のため総務部長が代読)

「東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとしてバリアフリー化が大きく進んだ。今後はこれを活かした観光振興が必要になる。高齢者やしょうがいのある方が旅を楽しめるための施策を実施しており、今後ドローンを活用してその地ならではの風景を行かなくても楽しめるような取り組みを検討している」

色々言ってたけど、いかにも中身のない役人のスピーチという感じなので、こんなもので。

ここからがいよいよ本題のパネルディスカッション。敬称略。

川内「ウィズコロナに向かうなか観光需要は戻ってきているが、コロナ禍で雇用が維持できなかったことで観光人材が減少しおもてなしが低下してアクセシビリティに対応できなくなっている。インクルーシヴシティ東京の推進を考えたい」

佐藤「いま56歳だが、9歳から車椅子に乗っている。誰もが使える公共交通機関を目指した働きかけ、ロビィ活動をしており、2年前の障害者差別解消法の改正や東京オリパラでのバリアフリーの進展について話していきたい」

栗木「幼少時の病気を経て、JAL勤務、帝京大学経済学部観光経営学科教員をしていた。学生時代に在宅の重度しょうがい者支援ヴォランティアをしていた。またJAL時代にはしょうがいのあるお客様の搭乗を手助けする専用デスクをつくり、帝京大教員時代はユニヴァーサルツーリズムの産業技術演習を担当していた」

ようやく何者なのかわかった。

だとするとこれはご本人なのだろう。

中村「インバウンド連合会とは別に日本ホスピタリティ推進協会理事、グローバル戦略委員会委員長を務めており、インバウンドにおけるバリアフリー推進の活動をしている。東京オリパラで日本を知り、主要国以外の様々な国からの訪日が増えて旅人のダイヴァーシティが増している。」

川内「東京オリパラで東京都は設備のバリアフリーとともに心のバリアフリーを推進してきた。心のバリアフリーはしょうがいのある方への無知偏見を取り除いていこう。しょうがいの社会モデルをきちんと理解し、彼らをしょうがい者ではなく人として尊重することを心のバリアフリーと呼んでいる。単に優しくすればいいというものではない。10年前と比較してまちでしょうがいのある方を見かけることも増えてきた。

国際パラリンピック委員会が定めたガイドラインに基づき、新国立競技場が造られた。単にガイドラインを使っただけではなくしょうがいのある方の声を聞きながら造られたところに特徴がある。そこに携わってきた佐藤さんに話を聞きたい。」

佐藤「4.6万人が入る東京ドームには車椅子席は12席しかない。ほぼ同規模のNYのヤンキースタジアムは2013年時点で千席あった。他のNYのスタジアムもそうで、何か基準があるに違いないと思い調べたら総座席数の0.5%と定められていることを知った。対して日本にはそれがなく、政府に働きかけ近年の施設には反映されるようになった。また鉄道駅における基準は1ルートをバリアフリーにすればいいというものだったが、複数ルートの確保をさせるよう基準を変えさせた。空港、ホテル、学校などもどんどん基準が変わっている」

川内「長野県では信州ユニバーサルツーリズムを官民連携で進めている。東京ではどうしていくべきか」

栗木「東京は素晴らしい観光資源に恵まれ、バリアフリー整備も進んでいる。ビフォアコロナで東京を訪れた外国人は3億人に対し、鎌倉や箱根は2000万人に留まる。40年で東京は随分インフラが変わった。アクセシブルツーリズムで重要なのは手軽でリーズナブルであること。東京都が推進しているしょうがい者のウォーキングはとてもいい取り組み。産業面では稼げなければ意味がない。CSRからCSVへ。しょうがいのある方やその家族も大切なお客様であり、その理解を進めていく必要がある。旅は自分の稼ぎで楽しむことが大事でありしょうがい者の雇用は大きく進んだがまだ改善の余地はある。学生時代の訪問ヴォランティアで多くのことを学んだ。若い頃にそういった体験をしてもらいたい。」

川内「実は4人でシンポジウムの前に楽屋トークを2時間していてそれが超面白かった。特にインバウンドの話が興味深かったので教えてほしい。」

中村「グレートジャーニー、つまり10万年前にアフリカ東海岸で現生人類が生まれ、世界中に移動して旧人類と混血をして広がっていった。人類は旅をする動物であり、旅をする権利こそ人権のひとつ。コロナ禍はその人権を奪われた3年間だった。大和言葉の旅という言葉は広く、英語にするとトラヴェル&ツーリズムとなるはずなのに、今の日本では観光と訳すとイコールレジャーのように語られる。もっと広く、旅する動物であることを認識しておきたい。WHOが旅行弱者の経済的損失を問題視している。それはしょうがい者のみでなく食の禁忌やLGBTなども含まれる。そして彼らは常に同質性を持った人たちとだけ一緒にいるわけではない。食の禁忌を持つ人は世界人口の3分の1でありマーケットとして無視できない。日本の貿易立国としての最新の順位は170位で大きくマイナス。日本がこれから生き残っていくためにはアクセシブルツーリズムは不可欠。」

川内「東京都が打ち出す「未来の東京」戦略でダイヴァーシティ&インクルーシヴを掲げている。

その考え方を活かすためのアクセシブルツーリズムはどうなるか」

佐藤「佐藤さんと鈴木さんを合わせて400万人、しょうがい者は日本に900万人なのに、佐藤さんや鈴木さんという友達のいる方はたくさんいてもしょうがい者の友達がいる人は少ない。これでは日本のユニヴァーサルデザインが進まないのは当然。それは日本の分離教育が原因で国連からも指摘を受けている。」

川内「海外ではしょうがい者の観光人材によく出逢うのに日本では少ない。アクセシブルツーリズムを考えるうえでしょうがい者はお客様だけでいいのか。」

栗木「JALで国際線中心の保守業務をしており、他のエアラインとよく一緒に会議をしたが、他社は必ずといっていいほどしょうがいのあるスタッフがいた。欧米はできること、できないことをはっきり言う文化があると感じる。自分自身はしょうがいを持っていることで他の人に先に譲るという行動パターンができてしまった。大学教員時代箱根の旅館を研究していて、want、service、needs、hospitalityという4つのキーワードから考えていたが、hospitalityの追求が心のバリアフリーにつながる。」

川内「様々な人が旅行を楽しめるようにする取り組みを聞きたい」

中村「インバウンドを訪日旅行と翻訳するのは日本だけ。世界の人が日本に来るのは旅行だけじゃない。日本に向かってくる資本、たとえば留学、国際結婚、ビジネス様々なものがインバウンド。そう考えると訪日旅行はすべてのインバウンドの入り口になる。アクセシブルでなければ様々な日本の可能性を摘んでしまう。」

川内「東京パラリンピックで大きくバリアフリーが進み、今や駅のエレヴェーターの設置率は世界一。それは外向けにいい顔をしたいからやったことなのか。ハード面の整備が済めばそれでアクセシブルの完成ではない。最後にひとことずつ。」

佐藤「日本の次の課題は建物。車椅子で入れる店は少なくて選択肢が狭まってしまう。」

栗木「しょうがい者自身が外に出ることを諦めない。」

中村「ダイヴァーシティの一番の近道はインバウンド振興。おもてなしの成功基準はリピーターの創造。アクセシビリティはその重要な鍵。」

川内「時間が足りず、用意していたテーマを消化できず申し訳なかった」

総論としてアクセシブルツーリズムに向けたユニヴァーサルデザイン、アクセシブル、ダイヴァーシティ、インクルーシヴという考え方が必要なことは誰もが賛同するだろーけど、

それを福祉という認識で捉えている人が少なからずいるんじゃないか。

それはもう間違っていると言わざるを得ないんじゃないか。

なぜならそれは中村さんが仰るようにマーケットを失うことになるから。

あるいは奉仕の精神だけではなく、しょうがい者と対等な関係を築くことで利益を追求していく攻めの福祉が必要ともいえる。

以前他で聞いた話として、介助者が同行するケースが多く、その分だけマーケットが膨らむというものがあった。

だとすればそれは介助者にとってもアクセシブルでなければいけない。

だって段差ありまくりのところとフラットなところと、どちらが介助者にとって車椅子押しやすいかは明らかだろう。

しょうがい者に理解がないということは、介助者への負担も大きくなる。

しょうがい者本人がその国へ行きたいと言っても介助者がツラいから行きたくないということだってありうる。

アクセシブルツーリズムは競争戦略といっていいものなんだろう。

栗木さんが非常に重要なことを仰ってた。

それはしょうがい者自身が稼げなければ自由に旅行へ行けない、というもの。

まだまだ適正な労働対価を得ていない方は少なくないし、それは本当にそうだよね。

実は国内旅行やアウトバウンドの問題で、日本の若年層が非常に貧しくなっていることで旅行市場が落ち込んでいかざるを得ないという問題もあるんだな。

自分の旅行弱者への関心の中心は貧困にあるからでもあるけど、こういうところにも目を向けていかないとツーリズムの発展はどこかでブレーキがかかってしまう。

あまりディスカッションのなかで触れられはしなかったけど、根深い問題が潜んでいるといえる。

それじゃあバイバイナマステ💙暑寒煮切でしたっ✨

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