イスラエル軍がなぜガザで勝利することは非常に難しいのか?


自身の政治的立ち位置について。(公平性のため)



私はイスラエルとハマス双方を批難しており、ICCの判決は非常に妥当だと考えている。
停戦と、二国家解決こそが真の平和だと考える。

PLOのファターハこそが両地区パレスチナの統治にふさわしいと考えています。
しかし、ファターハは進化しなければ、統治できないでしょう。


現代パレスチナ概説。

まず、最初に、パレスチナと言っても、ヨルダン西岸とガザでは統治者が違う。

ガザ地区では、ハマスが最大政党かつクーデターを行い、独裁をしている。

ヨルダン川西岸

統治者はファターハであり、PLOである。

国連のパレスチナ担当はPLOであり、PLOはイスラエルとハマスの双方を批難している。

国連に加盟する場合も、PLOが加盟する。

ここに出てくる中で一番まっとうな組織だと考えられるが、国民からの人気はない。
アッバース議長が無能と言われるからだ。

イスラエルに植民地を築かれ、パレスチナ国家は国土がどんどん分断され始めた。

これは、ハマスの台頭を招いた。

パレスチナAB地区に行政権を持つ。

A地区は17.2%。たった17%だけ。
B地区は、警察権をイスラエルが握っている。面積の24%。

行政権はヨルダン西岸のたった41%しかない。

ガザ地区

ハマスの統治下のもと、複数の政党が武装勢力を保有している。

ここはイスラエルが包囲しており、非常に過酷な人権弾圧状態となっている。
天井のない監獄である。

ハマスは、もともとエジプトにあるムスリム同胞団のトップが始めた
慈善、医療組織であり、ネタニヤフ含む、イスラエルの支援によって育った。
イスラエルはPLOの勢力を削ぎたかったからだ。

ハマスはイスラエルと和平を結んだPLOに失望し、
武装闘争路線を取り、独立を目指し始めた。

ハマスはPLOに対して04年、選挙で勝利した後、07年、クーデターをして独裁を始めた。
とはいえ、PLO含む、他の政党を武力で解散させることはせず、政治に加わらせている。

ガザ内にも多くの政党(ファタハ系、共産主義のPLOなどもいる)と、政党に付属した武装勢力、アルカイダやISの系統の、宗教系武装勢力などがあり、
非常に複雑な政治構造となっている。

ガザでは、ハマス含めイスラム系組織による同性愛などその他に対する人権弾圧が行われている。
違法な殺害、その他多くのこと。

東エルサレム


第三次中東戦争終結、1967年からイスラエル軍が、違法に実効支配している。

パレスチナのBC地区・入植地

B地区:パレスチナが行政権を握るが、警察権はイスラエル 面積の24%
C地区:イスラエル軍が両方を支配。面積の60%以上。

ヨルダン川西岸地区の84%程度に、イスラエルが関与している。

イスラエルはパレスチナのBC地区を支配しており、過酷な統治を強いている。
ヨルダン川西岸でも、違法に分断する壁を築いている。

ガザに対しては、漁獲制限や物資制限、出国制限を行い、巨大なゲットーとなっている。
天井のない監獄と言われる。

ほとんど、これはアパルトヘイトと言える。

パレスチナ人のみに、強制退去などを含む、イスラエル軍軍法を強いているため、事実上の別地域となっている。

イスラエル軍警察も、パレスチナ人の人権を弾圧している。

全てが国際法違反である。

入植地(C地区にある)

国連決議違反である。
さらに、植民地を大量に築き、壁で分断している。
関所のような場所でも、パレスチナ人を弾圧している。
植民者たちは、極右がめだち、非常に多くのパレスチナ人を襲撃している。

入植地を壁で囲み、その間を道路でつなぎ、パレスチナ国土が寸断されて行っている。

これは、ハマスとの致命的な対立を招く一因となった。



以上の勢力がおり、

パレスチナ(ヨルダン川西岸とガザ地区)を統治する勢力は

ヨルダン川西岸AB地区

PLO

ガザ市内

ハマス

ガザ内小勢力(PIJなど)


東エルサレム+ヨルダン川西岸BC地区+入植地

イスラエル軍

イスラエル植民者


の計5勢力+アルファとなっており、非常に複雑な地域である。

最も国際法や法に違反していないのは、PLOであり、他の四勢力はとんでもない勢いで違反している。

簡易な歴史

非常に多くの歴史がある。

1900年代、ユダヤ人が植民した。

ユダヤ人は欧州の財力を持ってやってきて、パレスチナの井戸を買いあさり、パレスチナ人を大量失業させた。

よって、パレスチナ人は怒り、双方が民兵を用いて武力衝突を始めた。

英国が加わり、三勢力が衝突を始めた。

全ての勢力が違法な行為を行った。

次に、英国が去った。

そして、双方の衝突が始まる。

第一次中東戦争、パレスチナ人は追放され、ナクバとして75万人が大量追放される。
PLOが生まれ、テロや議会などを用いて、イスラエルに対抗し始める。

その後、ユダヤ人は迫害を受け、中東諸国からイスラエルに移民する。

そこから複数の中東戦争が起きる。

73年にイスラエルとエジプト・シリアが和平され、イスラエルの脅威は去ったと思われた。

79年、イラン革命。イランは反米国家となった。

80年代、PLOを、イスラエル軍が追撃し、レバノンのベイルートを今のように、破壊する。
PLOとイスラエルが和平。

ベイルートでの難民は、20万のヒズボラに成長するきっかけとなった。

イランとイラクの戦争が永遠に続き、泥沼のまま88年に終了。

90年代、ハマスが誕生する。

同時に、サダムフセインが力を伸ばしていた。
湾岸戦争で、世界第四位の軍事力が壊滅。

00年代、フセインの破滅。米軍のイラク・アフガン侵攻。

06年、ハマス・ヒズボラVSイスラエルの戦争。イスラエルは大破壊を行う、ダヒヤドクトリンを開発。

10年代、アラブの春。シリアが崩壊

イスラエルとハマスの戦争が永遠に続く。ガザはそのたびに大被害を受ける。

イスラエルが、パレスチナに次々と植民をし始める。(入植地はもっと昔からある)

2021年~23年、パレスチナにある、イスラム教の寺院である、アルアクサ・モスクがイスラエル極右や警察に襲撃され、闘争が始まる。
ハマスの指導者、ヤヒヤ・シンワルは、21年に、ここはレッドラインだと呼んだが、その後も衝突があった。

22~23年。植民を辞めると言ったのをイスラエルが辞め、植民し始める。23年2月からそのあたりに、入植地の拡大が決定された。

23年。10月7日のハマスの襲撃。イスラエルのガザ侵攻。

23年前半のイスラエルの入植地拡大計画は、10月7日以後の、致命的な対立を招いた。

10月7日の攻撃の作戦名は、アルアクサ洪水であり、
アルアクサモスクを意識して名づけられた。

数年前から計画があったようだ。
イスラエルサウジ接近による、パレスチナの独立が不可能になるかもしれないという恐怖、レッドラインと呼ぶ、アルアクサモスクでの複数回の衝突、入植地の拡大は、大きな要因だったと考えられる。

ゲリラに対しての、正規軍の勝率



1976年から2005年にかけて、正規軍の、ゲリラに対する勝率はたったの26%である。

これは、正規軍の機械化(戦車や装甲車の装備)と関係しており、
足で歩く歩兵が減るほど、勝率が下がるという因果関係にある
1800年代において、軍隊のほとんどは歩兵と騎兵と砲兵であり、歩兵が主軸だった。

現代世界は機械化が中心である。機械化は、補給に対して限りない圧迫をかける。
部品と燃料、弾薬は恐ろしい割合を占める
一個師団は正規戦戦闘時日に3000トンの物資を必要とするが、そのほとんどが弾薬、燃料、部品などである。

そして、機械化が進むほど、歩兵は歩きで外に出ない。よって警備能力が下がる。
補給も後方から送られ、現地で物資の買い付けをすることが極めて低い。

とされている。

ちなみに、05年以後は、さらに正規軍は負けまくっているので、たぶん20%切ってるんじゃないかなと思います。

この時点で、イスラエル軍は、26%以下の勝率の戦いに挑むこととなります。

アメリカ式の対ゲリラ戦争

アメリカ式の方法では、民心の獲得を重視します。
ベトナム戦争では、米軍はボディカウント(死体の数を数える)で、
ゲリラに対して不可能な戦いを挑みました。
死体を積み上げても、ゲリラの兵員獲得ペースのが多いのです。
テト攻勢の時点で、アメリカは撤退を決めていました。
ベトコンはテトで人的資源を一時的に使い果たしましたが、これはあくまで一時的なものです。

イラク・アフガンでは、民心の獲得を重視しました。
しかし、すべての地域でそれをできませんでした。軍隊内での対立など、多くの要因があったのです。

これをうまく実践出来た地域では、アルカイダやタリバンは、一時的に撤退しました。

まぁ、最終的には敗北しました。

対ISの際は、イラク軍に完全に任せ、モスルなどで激しい空爆を行い、多くの死者を出しましたが、ISは基本的に支持率が低かったです。

ロシア式の対ゲリラ戦争

最近、その中でもロシア連邦軍と、シリア政府軍は、シリアにおいて極めてまれな成功を収めました。

方法はあまりに非人道的です。

空爆でインフラや人口を攻撃し、インフラを破壊することで、敵の支持率を下げ、ゲリラを撤退させる。

他にも様々な拷問やその他を用いて、撤退させました。



イスラエル・ハマス戦争について

イスラエル軍の兵器や装備については、有名なので割愛する。
基本的には、他の軍隊よりも防御力を志向している。


イスラエルの目標

イスラエルの公称戦略目標:ハマス(他武装勢力)の壊滅。

まず、ハマスは思想なので武器で倒すことはできない
イスラエルのパレスチナ統治により、無限に湧く。

ハマスとはガザの政党、かつ公務員組織でもあるため、ハマスを壊滅することは、
政治家や政党員、公務員全ての殺害を目指すこととなる。

この段階で躓いている。

最善の相を使用して、カッサム旅団の壊滅だとしよう。
では、武器を持つ能力を破壊するには?

ガザ侵攻後

武装勢力:民間人の死亡レートは1:10(EURO=MED HUMAN RIGHTS WATCH)
2024年2月23日、38066人の死者。民間人は34570人。
よって、ガザ武装勢力の死者は、この時点で3496人。

イスラエルはこの時点で260人程度が死亡している。
イスラエルの主張レートはの2:1は、現実的に不可能だ。
(1.3万:7000のレートと主張)
歴史上ほとんどの市街戦でそのレートは不可能であり、あの人口密度と爆薬投下量だとほとんど絶対にできない。
モスルの戦い、マラウィの戦いなど、対ISの戦いでは軍民の死傷レートが非常に低いが、これは避難が完全に完成している状態。

IDFのガザ侵攻作戦後の死亡:負傷レートは1:5である。
260人程度の死亡した段階で、1500人が負傷している。

通常、ゲリラの死亡と負傷レートは1:1程度になりやすい。
アフガン、ベトナム、アフリカなど、どの地域でも1:1になっていたりする。
マラウィの戦いでは、978人が死亡、12人が負傷と言う数値。
モスルの戦いでは、1000:200などという数値。

(ハマスのカタール支部が、ユーロが3000死亡と言っていたころに、6000の兵を失った=死傷と言っていたのでこれは非常にリアルな可能性がある)

死亡 IDF270:ガザ3000~4000
死傷 IDF1600~1700:ガザ6000~8000

IDFとガザ勢力の死傷者レート1:5

ガザ勢力は動員前で5万以上の兵員がおり、予備役や志願兵の動員、徴兵などを行えば、7~10万のガザ勢力を倒す必要がある。
予備役は2万以上とみられる。
志願兵は、状況によるだろうが。

現状、ハマスは、10月7日以後、数千人の志願兵の募集に成功していると言われているので、損失の25~50%近くを取り戻していることになる。
思想は不死身だ。

単純計算で、80か月(7年)で、同じペースであればIDFの死傷者は1万を超える。
死亡数は1400人以上。

ガザ侵攻前の10月7日に発生した数千人の死傷者を加えると、建国以来最大の死傷者数になる可能性がある

(第四次中東戦争は1~1.2万。これと同等の死傷者数に、政治的に弱体なネタニヤフ政権が耐えられるとは思えない。リミットは残り4000人の可能性)

実際にハマスは今ほど強い抵抗を5年続けることはできず、これより少ないと思う

だが、ヒズボラとフーシはガザでの作戦中常に作戦を続けるとされているので、
さらに多くの死傷者が出る。

ヒズボラがペースを上げれば、IDFはより死傷する。

ガザ人の死者数計算。

現在1:10の死亡レート。
8万を死傷させるとなると、4万死亡、4万負傷となる。
4万を死亡させるためには、40万の市民の死亡が必要となる。

つまり、ガザ人は44万人が死亡する。(上下する)

これは人口の20%以上の虐殺となり、現代史上最悪の虐殺に等しい。
WW2の、ナチスのベラルーシでの殺戮でも23%だったことを考えると、悪夢のような数値だ。
WW2でベラルーシより、地域単位で損害を受けた地域はない。
WW2でこれより上は、ユダヤ人の、欧州中の60%の死亡という数値だけだ。

事実上ほとんど不可能な数値だ。

半数でハマスが降伏した場合として、20万でも恐ろしい数値だが。

武装勢力が4万死傷した段階で抵抗力を失うということはない。
ゲリラは一人一人が歩兵なので、兵力の半分を失っても、抵抗することができる。

現在イスラエルは70kt以上もの爆弾をガザに投下しており、この量の攻勢は、
アメリカの支援なしには不可能。
アメリカは、支援を続けられない。

そして、ヒズボラとの戦いで、イスラエル人は6~10万が北部から移住している。
これはイスラエルに多大な経済的負担を与えている。

ハマスと戦いながら、ヒズボラ地域に侵攻することは事実上不可能。

戦死者の内、80人程度は機甲旅団。
1:5のレートを用いると、機甲旅団からは
480人の死傷者と考える。
メルカバ戦車は4人乗るため、この場合
機甲旅団のみで、100両近くの戦車または装甲車に損害が出ていると考えらえる。

これは極めて高い戦車の損害で、歩戦協同が旨く作用していないと考える。

ハマスの公開映像では、合計100両以上の戦車と、80両程度の装甲車に損害が出ている。

よって、ヒズボラ相手にこれを実行はできない。

以上が現段階の戦争の推移だ。

イスラエルの戦後計画について

そして、ハマスの壊滅後に、軍を駐留させなければその目標は達成できない。

人口100人あたりに一人の兵士が必要とされており、
ガザは10万人が死亡した後も、220万なので、2万人以上の駐留が必要となる。
米軍の対反乱作戦マニュアル。5年~20年かかるとされる。

IDF陸軍は平時13万であり、2万人の兵を5年以上駐留させるのは非常に厳しい。

ガラント国防相は、ガザ統治には兵役を4年間に延長させる必要があり、無理だと言っている。
もちろん自分もそう思う。

そして、ガザ統治をしている間、ヒズボラとフーシは、イスラエルを攻撃し、スエズを封鎖して、
西側経済に甚大な被害を与える。

最終的に、

イスラエルの戦後計画の選択肢には五つある。

ガザの制圧・統治:事実上ほとんど不可能。戦争犯罪をさらに積み重ねることとなる
終戦交渉:妥当。
終戦交渉し、撤兵。あとは責任者に対し、暗殺部隊を送り込むこと:可能

戦争犯罪のライン↓

シナイ半島への追放:1979キャンプデービッド合意の破棄。エジプトとの敵対。サウジとの同盟失敗。
現状以上の大規模なジェノサイド:同上。

そして、現状イスラエルは戦後計画をあまり持っていない。
それは、ガラント国防相や、その他の政治家が言っている。
アメリカ政府のリークでもそうなっている。

即座に反応することを重視して、他の全てを置き去りにしてしまった。


イスラエルの政治的な目標など


次に、政治的な面についてはなしていく。

イスラエル軍内部の政治事情

IDF独特の戦術がある。

ハンニバル指令:80年代から採用されている。自軍の捕虜を、捕虜にならないように攻撃すること。
捕虜を載せた車両ごと撃つこと。

ダヒヤ・ドクトリン:06年レバノン侵攻から採用されている。敵の人口やインフラなどに対して、何倍以上もの殺傷をすること。09年の国連報告書でも存在が認められている。

この二つは極めて過酷な戦術であり、特にダヒヤドクトリンは戦争犯罪、人道に対する罪に該当する。

これは最終的に、イスラエルの首を絞めることになるだろう。

出口戦略の欠如。
通常、戦争を終わらせるには、何らかの最終目標と、実現手段を立てる必要があるが、
それはまったくなされていない。
ハマスの壊滅は出口戦略と言うより、理想に近い。

戦後計画が欠如している。

IDFは、ガラントを通じて、この戦争を遂行できないというメッセージを送っている。
オフレコで、ネタニヤフの戦略計画のなさを指摘した。

https://www.economist.com/middle-east-and-africa/2024/05/19/the-revolt-against-binyamin-netanyahu

イスラエル政府の内情

ガラント国防相と、戦時内閣の相手ベニー・ガンツ、イスラエル最大野党党首ラピッドはネタニヤフを強く批判しており、
要求が通らなければ政権崩壊。

ガラントの要求:ガザは統治しない。徴兵期間を48か月に伸ばさないと不可能で、それは不可能
ガンツ:ガザの戦後統治計画の発表
ラピッド:ネタニヤフに対して、イスラエル最大の脅威と言う。ベングヴィるの解任も求めている

ただし、ICCの判決に対しては、左派と、アラブ連合(政党)以外は否定的である。
ラピッドはネタニヤフと中立の両方を批判した。
三人は、ハマスの撲滅を求めている。

極右勢力。
ベングヴィル:ガラントの罷免を要求。ヒズボラへの侵攻を要求
すもとりっち:同上。

しかし、ネタニヤフ戦時内閣は、ガラントやガンツを怒らせても、ベングヴィルやすもとりっちを怒らせても
崩壊する、非常に、きわめて板挟みの状態となっている。

イスラエル議会には、120議席ある。

与党連立政権は64議席。
ネタニヤフのリクードが32議席
無関心の中道が18議席
極右が14議席。

野党が56議席。
未来がある党が24議席。

(二国家解決を志向する、”未来がある党”党首ラピッドは、中道左派であり、120議席中24議席を持っている)
すもとりっち、べんぐヴぃるの党は、極右政党と言われ、14議席

強く戦争を支持しているのは、リクードと与党極右と野党極右の53議席。過半数を割る。

連立のガンツは8議席
ラピッドは24議席。

ネタニヤフ戦時内閣が崩壊すると、ネタニヤフはなすすべがなくなる。

ネタニヤフ内閣は、ガラント、ガンツ、ベングヴィル、すもとりっちの協力がなければ不可能であり、誰かが
かけると、内閣が崩壊する。

イスラエルが選挙をしたら、という今の首相予想では、ガンツが勝つと考えられている。

そうなれば、すぐに、戦争の方向性が変わる。

今内閣で本当に戦争をこの方向性で強く支持しているビッグネームは、ネタニヤフ、すもとりっち、ベングヴィルの三人。

6月のある日までに、ネタニヤフはプランのすべてを決める必要がある

ただ、イスラエル議会クネセトでは、120人中106人の賛成で、ICCの逮捕状請求を拒否する決議を採択。
ネタニヤフやガラントが逮捕されることはないと考えるが、
ICC加盟国134カ国に訪問することはできなくなるだろう。

ネタニヤフは出口戦略が欠如したまま、現状の維持。

ガラントやガンツは、ラファ攻撃後、ガザからの撤退を考えている。兵数が足りないからだ。

ベングヴィルやすもとりっちは、ガザの解体、レバノン侵攻を考えている。

イスラエル/イスラエル国民の現状

現在、数千の死傷者を抱えている。これはイスラエルでは非常に衝撃的な出来事だ。
イスラエルは人口や、政治体制から、
通常、人命損失に対して他に国よりはるかに大きな、非常にショックを受ける。

ヒズボラとの関係で、イスラエル北部から、6~10万の市民が退避しており、これを永遠には続けられない。

ハマスの関係で、25万人が南部から移住している。

移住者は30万人以上であり、国の人口の3%に相当する。

フーシ派のスエズ運河封鎖により、イスラエルの港湾都市は大きなダメージを受けている。

ヒズボラ、フーシ、イラク民兵のロケット攻撃で、重要インフラに被害を受けている。

900万の国で65万の徴兵を行っているため、産業に大きなダメージが入っている
(ロシアは1.4億人で100万程度、ウクライナも4400万で100万程度。
両国の5~15倍以上の動員%)

イスラエルの戦費/年ペースは、GDPの10%程度のペースで戦費を使用している(2兆円)

イスラエル労働人口453万の内の2割、90万が労働不能となっている。
(予備役36万+避難民30万+その他数十万)

ヨルダン川西岸パレスチナ人は毎年13万人がイスラエルに出稼ぎに来ていたが、
それも不可能になった。
ガザからも数千人来ていたが、それも不可能になった。

これで14万の労働力は失われた。

イスラエルは、たった900万の国で、100万の労働力を失った状態となっている。

GDP成長率は毎年1~2%減るとS&Pは推測している。

イスラエルはこの通貨下落を支えるために、為替介入で、外貨準備高の15%を投入した。

そして、財政赤字は、今年の内にGDP比6%ちかくになるとされている。

これらはすべて、イスラエルにとってはショッキングな数値だ。

もちろん、経済能力は、ロシアやウクライナを見てもわかるように、戦争をすぐに止められるものではない。

だが、民主主義では、それに大きく投票が左右される。

現在イスラエルでは数十万の人々が反戦デモを行っており、非常に激しい反対運動が展開されている。

イスラエルとイスラエル軍はもともと電撃戦の軍隊と国家であり、
短期決戦の軍隊。
きわめて長期戦には弱い。

イランなどイスラエルは鎧袖一蹴だという人が多いが、イスラエルは西側の支援、核、先進兵器と、大規模な軍隊を持って
あまりあるほどの、多大な弱点を抱えている。
人口は国家の基本単位だ。

世界の国が国境を保っているのは、軍事的均衡による、拡大の限界点の一つだ。
これを超えると、非常に大きなロスが出やすい。

間違いなく言えるが、イスラエルは西側の支援がない限り、
エジプトにもイランやイラン同盟にもトルコにも、核なしでは勝てない。

ダマスカスやカイロまで軍隊を送ることはできるが、それより先には送れないし、
持続性がない。

アメリカの支援なしには戦えず、この戦争方式だと、あまりに国際法に違反するため、
アメリカは支援不可能になる。

レバノン侵攻をしたいという、極右の意見を聞いた場合、さらに多大なコストを払うことになるだろう。
そうすれば、次はシリアやイラクPMUがイスラエルにちょっかいをかけ、無限に戦うこととなる。

IDFの計画(予測)


ガザには、10個旅団程度が駐留している(3~4万人)

ラファ侵攻では、5個旅団が用いられている。

機械化歩兵旅団2
機甲旅団1
特殊旅団(特殊部隊)1
予備役機械化旅団1

攻撃と撤退を繰り返す、ピストン型の攻撃を指向している。
主導権を失わないまま、信仰と撤退を繰り返し、駐留する場合の、その場での攻撃を防ぐ。

エジプトとの国境、南部のラファのフィラデルフィア回廊を支配し、武器や食料の供給を絶つ(これは戦争犯罪の、飢餓包囲となる結末が高い。ガザ市民は大量に飢える)

ガザのいくつかの地域に、安全圏を持つ回廊で寸断し、そこから定期的に襲撃を繰り返す。(国土に数本の安全地帯が通り、そこから襲撃する)

これはガザ市民に致命的な死傷者が出るだろう。

消耗戦に持ち込み、完全に戦闘力を削ぐ。

対ゲリラ戦争としては、最も挑戦的な方法で、モンゴル軍のゲリラ鎮圧に似ている部分がある。
つまり、致命的な死傷者を出し、とても恐ろしい戦争犯罪となるだろう。

IDFは2026年までガザ侵攻をする。
今年の8~9月にレバノン侵攻を始める可能性がある。
との、二つの予測がある。

レバノン侵攻は、イスラエルにとって完全に泥沼に足を突っ込むことになるだろう。

IDFの最大の敵は時間であり、2026年まで続けられる可能性は極めて低い。

現在の戦争の方向性と、それを変えようとする者たち

イスラエル政府

ネタニヤフ(現状):ハマスを壊滅。ガザに永続的に駐留する。

ベングヴィル・スモトリッチ(極右):ハマスを壊滅。ガザ駐留ないし、ガザからの集団追放。ヒズボラとの地上戦、イラク、フーシへの空爆(つまり、4つの戦線と民族追放を指向)

↓事実上、撤退とパレスチナ国家への和平を指向。

ガラント国防相:ハマスを攻撃完了後(今のペースを永遠に続けない)、ガザから撤退し、別政府に挿げ替える。

事実上、ガラントはイスラエル軍の将軍たちの意見を代表しているので、これはイスラエル軍もそう考えているだろう。

ベニー・ガンツ(連立戦時内閣)、:同上


野党

ラピド(最大野党党首):同上。二国家解決を志向。

事実上、イスラエルトップレベルでは、

戦線拡大・民族追放派(不可能)
現状維持派(ネタニヤフ)
撤退・和平派(ガラント、ガンツ、ラピド、IDF)

の三つになっている。

ハマスの政治目標(戦略)

次に、ハマスの政治と、戦術について述べる。

ハマス内部の政治事情

ハマスの戦略目標:パレスチナの独立。ハマス組織の存在感の誇示。

ハマスは、ICCに出頭する、人質解放をすると最初から言っている。
しかし、交戦は続けると思われる。

・ハマスの武器は時間であり、時間を稼げば、イスラエルは耐えられないと知っている。(ジョンスペンサー)

よって、時間がたつほど、イスラエル国民はこれを採用する可能性がある。=ネタニヤフの退陣、和平

ハマスの戦略目標は、当初から本土決戦だったと考えられる。
ハマスの批判者からは、奇襲の過剰成功だと言うが、
ハマスの作戦能力の親玉はイランであり、イランはイライラ戦争で、多くの攻勢失敗を
経験している。
よって、そのような経験をした場合、作戦は成功・通常・失敗の複数のプランを立てるものだと考えられる。

ハマスはイスラエル・湾岸諸国の接近で見捨てられる可能性があったため、
攻撃に出たと推測されている。
この状態では、ガザがイスラエルに吸収される可能性がある。

では、ハマスは何をすべきか?攻撃と、本土決戦、イスラエルの過剰破壊をわざと招く。
国際社会のイスラエル批判、パレスチナの独立。

この場合、ハマスの戦略目標のほとんどがうまく行っている。

イスラエルは必ず失敗をする。過剰破壊、人道に対する罪か、ジェノサイドを行うと知っている。
イスラエルは常にダヒヤドクトリンに基づいて、5~20倍の死傷者になるように攻撃していた。

ハマスが過剰成功の罠にはまったのではない。イスラエルが自分のドクトリンを逆手に取られたのだ。

ハマスが壊滅しない理由

ハマスとは、公務員組織であり、医療・保険組織であり、軍事組織である。
ハマスをせん滅するというのは、日本の市役所、病院、介護士、警察、軍隊すべてをせん滅するというもので、まず最初から非常に不可能である。
よって、これを軍事部門に限って捉える。

ハマスは思想である。
ガザの武装勢力とは、反イスラエルの思想である。
単純なことだが、かれらは思想によって兵になるので、反イスラエル運動がある限り、消滅しない。

ガザには十以上の武装組織があり、それは反イスラエルの思想を持つ人々がどれだけいるかの証明となる。

ハマスが何らかの条件で解体されたとしても、数年後にまた別の武装組織ができる。

だからガザの武装勢力は根絶されない。
戦闘能力が落ち、組織が解体されても、必ずまた別の組織ができる。

アメリカのオースティン国防長官は、対ゲリラのたたき上げであり、
米軍で最も優れた対ゲリラの将軍の一人。
現段階では最強だと思う。
彼も同じことを言っている。

米軍の対反乱作戦マニュアルを読んでみてほしい
FM 3-24 Counterinsurgency

https://irp.fas.org/doddir/army/fm3-24.pdf

同じようなことが書いてある。
これを実践した地域では、アルカイダとタリバンは後退した。

イスラエルは伝統的にダヒヤドクトリンや類似した戦術を用い、その場で叩き、後でさらに多くの敵を作るという行為を繰り返している

82年レバノン侵攻。
ベイルートに逃げ込んだPLO1.5万人を叩き、ヒズボラ15万を産んだ。
のちにビンラディンがこのベイルート攻撃を見て、911を決意し、米軍がイラクに侵攻する。そして、イラクに巨大なゲリラ地帯が発生した。
現在はイラクでPMU25万が、米軍とイスラエルにロケットを向けている。

イスラエルの戦略的敗北は、これで4回目に突入しようとしている。

ハマスによる軍事力を用いた、戦略目標達成方法。ドクトリン/作戦術

ガザの武装勢力には、5万から10万の兵隊がいる。
彼らはライフル、対戦車火器、迫撃砲、ロケット砲で武装している。
数万発のロケットを持っており、それを今回発射すると思われる。

ただし、長期戦を望んでいるので、砲兵はできるだけ温存して射撃すると思われる

主な戦闘面での目標は、長期持久と死傷者だと考えられる。

イスラエルは、この二つに極めて弱い。

時間を稼ぐこと。

現在イスラエル軍は動員をかけ、65万の兵力を動員しており、これは900万の人口に対しては多大な負担となる。
兵役適合人口は300万であり、これは労働力と等しい。
300万の労働力の内の65万を使用しており、非常に長期戦では厳しいと考えられる。
さらに労働力も足りず、産業にガタが来る。
ネタニヤフ政権は弱体で、時間と共に対人が近づく。
イスラエル軍はジェノサイドの意思、ダヒヤドクトリンの用い方を問わず、時間と共に、民間人の死傷者が増えていく。

そのため、国際社会からも非難を受ける。

ネタニヤフは政治的にも脆弱で、複数の重大な閣僚から下野することを主張されている。

彼でなくなれば、ガザを滅亡させない、人道的な戦いに落ち着くだろう。

死傷者を稼ぐこと

これはイスラエル社会が最も嫌うものの一つ。
通常イスラエル軍は人質一人のためにパレスチナの囚人(イスラエルによって違法に収監されているので、これも人質の一つともいえる)10人以上と交換するため、
意識的には1:10では割に合わないということである。

さらに、第四次中東戦争が最大の国難だったが、その時の死傷者が1.2万以下だった。

10月7日にすでに2000人が死傷していて、ガザ侵攻後に1700人が死傷した。

ネタニヤフ政権は1万の死傷者に耐えるほど強靭ではないと思われるため、事実上後
4000人以下で決着をつける必要がある。

8か月で1700人が死傷。

上記のことから、ネタニヤフ、ベングヴィル、すもとりっちの極右連立政権
は残り1年以内に敗北する可能性がある。

そうなれば、イスラエルに対する国際的圧力で、パレスチナは独立を勝ち取ることができる可能性がある。

ハマスの真の目標は、イスラエルを攻撃することではなく、パレスチナの独立を勝ち取ることだ。

国際社会の注目を引き、パレスチナの独立の国際世論を優勢にする、第一段階は達成した。
後はイスラエル軍の攻撃から耐えきり、ネタニヤフの自爆を待つだけだ。

ネタニヤフが続投すれば、イスラエルは国際社会から見放され、ハマスは勝利できる。
ガラントやガンツの意見が通れば、ハマスは勝利できる。
ベングヴィルやすもとりっちの意見が通れば、ハマスはシナイ半島で体勢を立て直す。
  
彼らの負けはほとんど存在しない。10月7日の違法な襲撃の時点ですでに完全に勝利したからだ。

空間について

通常、失った領土を取り戻すには、非常に多くの損失が必要となる。
領土がなくなると、動きを封じられ、機動が不可能になり、非常にマイナスとなる。

トンネルと市街地を用いれば、空間を、ハマスはほとんど損失なしで再展開できる。

ゲリラは、通常空間を敵と自分に自由に与える。
敵が貫通しているとき、こちらも貫通している。

ゲリラは国土に敵を引き込むことで、敵軍の脆弱な後方を自由自在に攻撃できる。

現在、ハマスは、貫通なし、つまり北部に無傷で再展開している。
イスラエル軍政府民間人の誰もが驚いているようだ。

ハマスは地下空間を自由に保有しており、イスラエルは地上と市民を破壊することしかできない。

戦場の主導権について

通常、戦争には主導権というものがある。戦争を自由に決めることができるという権利だ。
攻撃権と言い換えてもいいかもしれない。

ゲリラは、常に戦術的な主導権を握る。
小部隊であれば、何らかの方法を持って、敵を自由に攻撃できる。
つまり、ゲリラは常に敵を自由に攻撃できる。

イスラエル軍はそれを嫌って、常に攻撃しようとしている。
小さいレベルでは、工兵部隊の、トンネルの爆破能力を持って。(空間への攻撃の脅威)
大きいレベルでは、一部地区の進行と撤退という形を持っている。
その地域に長期滞在すれば、軍隊は自由に攻撃される。

しかし、滞在しなければ、ゲリラと戦うことはできない。

そうです、これもイスラエル軍がゲリラを壊滅させるのは非常に難しい理由の一つです。

戦場の主導権はどれだけ空爆をしても、戦車を送っても、なにをしても、常にハマスにある。


ハマスの戦術と武装


銃器については割愛する。

狙撃戦術

敵兵を狙撃する。これはイラクでよく行われた手法であり、極めて効果的。

ハマスの公開動画で、10人以上の狙撃を確認した。

イスラエル軍のドローンもこれで落としているようだ。

対戦車火器

これはハマスの最も優れた装備の一つ。

トンネルや建造物から接近し、車両や人に撃ち込む。

主にヤシンRPGと、携行爆薬を用いている。

ヤシンは85ミリないし105ミリ以上のRPGシリーズで。高い威力を誇る。

85ミリ級の物は、RPGとおなじ。

105ミリ級の物は、RPG29と同等だと考えられる。
ERAを60~70cm貫通できる。、
これは、戦車の側面や後面、装甲車に対しては、貫通して余りある威力。

対人にも使用され、IDFの死傷者を引き起こしている。

IED/対戦車白兵

携行爆薬は、EFP、自己せいけいだんと呼ばれるものだと考えられる。

イランは、最高級のEFPをヒズボラに提供している。
イランは世界最高のEFPを製造し、各勢力に提供している。
だが、現地で制作することも簡単な、非常に安価で強力なものである。

直径は、見たところ10~15cmを超えており、装甲を100ミリ以上貫通するだろう。

貫通力は直径と同程度だが、使用可能距離(弾頭から離れる距離)は5m以上ある。

これは敵の歩兵さえいなければ、非常に使いやすいものだと思われる。

IDFの戦車と歩兵は共同戦闘があまり行えていないように見えるので、効果的だろう。

EFPにはさまざまな種類があり、イランの影の戦略兵器の一つともなっている。
ゲリラにEFPを渡し、ゲリラが使う。

イラクでは、2005年から2011年までの間に、1000人以上の死傷者を米軍に与えた。
単一兵器でこれ以上の死傷者を出したのは、ベトナム戦争以来初めてだろうと言われるほどの能力だ。

これはイランによって貧者の戦略兵器といった感じで扱われている。

イランあるところにEFPあり。

ハマスも製造能力がある。

確認したところ、
先端にリングがついた、円筒型、頻出
シャワーズ(00年代からあるもの)EFP、20cm貫通。

などが、動画で使用されていた。

EFPは貫通するのがメインのため、戦車を破壊するのは厳しいと思われる。
乗員の殺傷を狙っているだろう。

ある動画では、
殉教作戦とハマスの戦闘員が口に出し、互いに俺が設置すると武勇を争っているため、
ハマス内でも生存率の低い過酷な戦法だと考えられているようだ。
(とはいえ、あまりに多くの、非常に複数の動画で成功している。明らかに20両以上の戦車はこれで
攻撃されている。)

IEDも、いくらか使用されている。遠距離から爆破できるため、きわめて有効。



対戦車ミサイル

これはほとんど、全く使用が見られない。
消耗戦を狙っているため、虎の子として温存している可能性がある。

数人はこれで死亡したとされている。

そのうち、イラン製コピーで、スパイク対戦車ミサイルと同等の、
アルマス対戦車ミサイルを確保するかもしれない。

アルマスは非常に強力なもので、ロシア軍よりも歩兵携行対戦車ミサイルの質で上回ることになる。


対戦車能力と推移。

ハマスは、公開動画のみで戦車113両、APC85両、合わせて200両近く(ヒズボラもあるが)に
損失を与えている。

死者の内80名以上は機甲旅団のものとされているので、1:5の損失火を使った場合、

480名が死傷している。
150両の攻撃に対して、500名程度が負傷なら、妥当な計算だろう。

あまり複数攻撃を行わないので、撃破を狙っているというよりは、
貫通させて、中の乗員を殺傷する目的かもしれない。

もしくは、時間を稼ぐため、作戦中に損害を与えて、一時的に撤退させることがメインの可能性がある。


ドローン

これはハマスの目となるものである。
ハマスには空軍がなく、航空偵察ができない。
よって、人とドローンで、敵の視察を行う。

ドローンと対戦車攻撃、砲撃の複合が行われているようだ。


砲兵

迫撃砲と、ロケット砲、それに長距離ロケット砲がある。

迫撃砲、ロケット砲は主にイスラエル兵の密集地に向けられているようだ。
直接的に兵を攻撃する武器として扱われている。

長距離ロケット砲は、主にイスラエル国土に向かって打つことで、政治的揺さぶりをかけている。

イスラエルが制圧したと発表した北部からロケット弾をイスラエル本国に打つと、
政治的に多大な影響を与えることができる。

イスラエル軍の目標を達成できていないことを示すためだ。


ガザの地形

ガザは世界一堅い要塞の一つだ・
ガザの地形は非常にタフで激しいものだ。
世界一の要塞ともいえるかもしれない。

トンネル

トンネルは全長500キロメートル以上にわたる。

ベトナムで有名なクチトンネルは、たった120kmであり、
米軍が3万人を動員しても、不可能だった。(18日だったが)

北朝鮮のトンネル網より密度が高い。

さらに、ガザは市街地としても堅い要塞。

世界一堅い要塞の一つとも考えられている。

ガザ勢力は、自分たちを壊滅させることはできないと考えている。

イスラエル軍の対トンネルチームはやはろーむ部隊と言われ、
トンネルを破壊することができる。

非常に優れた設備を持っている特殊部隊で、このチームが死傷すると、
イスラエル軍は有効に対策を打てないと考えられる。

他の工兵部隊もいる。

ハマスは、工兵部隊を攻撃することを考えていると思われる。
公平を攻撃することで、ハマスはより時間を稼げる。

制圧したと主張した北部に、トンネルを通じてハマスは再展開を行い、イスラエル本土へ
ロケット弾を射撃した。

戦争は時間と空間と損失を交換するという言い方がある。

ハマスはトンネルを用い、何の戦術的ブレイクスルーなしに、領土を再獲得した。

通常失った空間を手に入れるには、非常に多くの損失が必要となるが、トンネルは損失
ほとんどなしに空間を獲得できる。

イスラエル軍の持つバンカーバスター、GBU28は、通常地表から50m程度しか貫通出来ない。

これはハマスのトンネルでは第2.5層までの深さでしかない。

弾薬庫、大通路、指揮所、武器庫などは、それより下にある。

地上

1:出入口(ビルの下、ないし野外)
1.5:砲迫発射場

2:第一トンネル
2.5:酸素供給室・会議室

深さ50m

3:第二トンネル
3.5:武器庫・食糧庫・燃料庫

深さ70m
4:指揮所

地下

(X+0.5は、あまり高低差がないという意味)

と言った形である。
よって、砲爆撃で破壊することは極めて難しい。

イスラエル軍は、トンネルを破壊したい場合は、工兵部隊を待つ必要があり、そして、イスラエル軍は工兵部隊を補強しているものの、きわめて質量ともに不足している。

まず、ビルの下に、大きな出入口がある。

一部の通路は、無数の穴として、野外につながっており、そこから登って、イスラエル軍を後方から攻撃できる。

出入り口のすぐ下やその層に、砲の発射場がある。

出入り口から下に、まずトンネルがある。これは深さ数メートル程度であり、ここから、自由に野外に通行できる。無数の穴都つながっている部分だ。

トンネルと同じ層に、酸素供給室や、会議室などがある。

そのすぐ下に、第二トンネルがある。

それから下に、武器庫・燃料個、食糧庫などがある。

一番最下層に指揮所がある。



通常一室は縦2m、長さ2mである。


市街地

市街地は巨大な要塞であり、破壊すれば破壊するほど、視認性の悪い
巨大な要塞となる。

イスラエル軍は市街地に70ktを上回る爆弾を投下しているが、
これだけ投下すると、非常に激しく悪い視認性となり、
非常に複雑な戦闘を強いられると考える。

ハマスの戦闘映像では、
市街地では、建造物から接近。
野外では、トンネルから攻撃している映像が見かけられる。

そのようにしているのだろう。

さらに、戦争中でもトンネルは掘削されると考えられる。
イスラエルが制圧した区域、更地になった市街地の部分に、新しく穴をあける。

すると、そこからまた自由に展開できる。

歩兵戦術

彼らは、トンネルと市街地を用いて、自由自在に展開する。

通常、対戦車チーム、狙撃班、小銃チームをよく見かける。

対戦車チームはハマスの花形で、大火力かつ対装甲能力を持つ。

イスラエル装甲部隊に損耗を出させ、イスラエル軍の前進を阻み、時間を稼ぐ。

イスラエル兵相手にも使用され、貴重な直射火力として扱われている。
主に、イスラエル兵が室内に滞在している際、そこに向かって打ち込んでいる。

狙撃チーム。
イスラエル兵を狙撃する。
指揮官などを主に狙うと考えられる。

工兵チームに対する狙撃が確認された。工兵はイスラエルの対トンネル作戦で最も重要なものであり、
これを狙撃しようとするだろう。

複数人に対する狙撃の場合、士官が狙われている場合が多い。
基本的なものだ。

対物ライフルを用いているのも確認できる。必殺の威力だろう。

IEDチーム。サッパー。工兵。

ゲリラの工兵は、たいていがサッパー。爆薬や地雷などを持ち歩くものである。
これらは工兵に該当する。
爆薬を仕掛け、IDF兵士を待ち伏せする。

自動車の車載カメラを用いて、監視し、ビルごとを爆破し、敵を倒す戦術も見受けられる。

迫撃砲チーム
迫撃砲を持ち、イスラエル軍の密集地をねらって打つ。
通常ドローンで着弾の観測を行うだろう。

小銃チーム

ライフルや機関銃で、イスラエル軍の歩兵を攻撃し、敵の歩兵を、戦車から分離し、対戦車チームを助ける。
汎用チームだ。

上記の四種は、ハマス歩兵部隊の最大火力であり、小銃部隊はこれを補佐する。

主にIDFの280人程度の死者は、上記四種で出ているように思える。

ハマスは、時間と空間を自由自在に操っている。

人員数と、火力と、武器兵器、損失比、補給以外の多くを上回る。

恐れるのは、人員の損失、トンネルの破壊、時間を稼げないことの三つだ。

上記が、ハマスの政治部分と、戦術についてだ。


両勢力の、現段階の成功と失敗について。

イスラエル

成功

現状、ガザの損害は30年単位で復旧にかかるものであり、民間人はイスラエルの40倍死亡しており、
イスラエルが持つ悪魔の戦術、戦争犯罪の戦術、ダヒヤドクトリンそのものは成功している。

ハマスの大隊のいくつかを粉砕し、10月7日のような襲撃はできなくなっていること。

ハマスの権力基盤となる、高層ビルなど、高級住宅街の粉砕。これも違法。
これについては、イスラエルはこれを重要視しているが、ハマス側はそこまで重要視していないだろう。
本土決戦を想定していたからだ。

失敗
戦争犯罪を積み重ね、訴訟されたこと。これは国際社会での孤立となる。
ガザでハマスを根絶できない。
パレスチナの独立は、完全なる大義を得たこと。
中東での完全な孤立。

ハマス

成功

10月7日の違法な襲撃。
本土決戦の誘引。

ハマスが本土決戦を誘引することで、
戦略目標、パレスチナの独立、中東の同盟の妨害、ガザのあまりの過酷な統治と、
惨状に目を引かせるということは成功している。

つまり、現状はハマスの多大な成功であると考えられる。

失敗

いまだ大きな失敗はしていない。

将来的に起こる失敗は

ガザの消滅であり、それはイスラエルも戦略的に敗北する道連れ。

ガザ人のシナイへの追放。これはイスラエルの敗北。
シナイでの武装勢力の再建。ガザの人々は恨み、より多くの兵員を獲得できる。

組織的抵抗力の消失。上層部は困っても、10年後に別の組織として復活できる。

別の民主勢力への代替。これが起こったとしても、ガザが救済されれば、マイナスではないだろう。

最初から、自殺や道連れを覚悟した攻撃であり、失敗の範囲が非常に少ない。
なぜなら、最初からガザのすべてを犠牲にしても、パレスチナ独立のために刺し違えるつもりだからだ。

そして、トップ層は国外にいる。

以上が両勢力の成功と失敗。

現状の推移と展望

現状、それにこのまま進行した場合、イスラエルは戦略的大敗を喫することになるだろう。

イスラエルは、BC地区と東エルサレムから撤退し、非常に厳しい制裁を解除しない限り、永遠に武装勢力は兵員を獲得し続け、武器を持ち続け、イスラエルへの復讐の機会をうかがうだろう。

武装勢力は戦車の軍隊、正規軍段階ではなく、ライフルの軍隊であるので、永遠に安価で小型な武器を作り続け、どのように敗北しても消滅しない。

銃がなくなれば、ナイフで抵抗するだろう。永遠に。
第二次インティファーダと、2015年のナイフインティファーダの多くは、ナイフで行われた。

どのように壁を立てようとも、彼らは乗り越えてくる。

正規軍は戦車で倒せるが、ゲリラは戦車で倒せない。
国家は銃で倒せるが、思想は銃で倒せない。




国際政治

最後に、両勢力の戦争を左右する、国際関係について述べる。

ICC訴訟参加国

南アフリカ

トルコ
エジプト
リビア

これは、中東諸国西部の大半がここに参加している。
致命的な関係となりつつある。

ICCによる逮捕状請求

まだ確定ではない。もう一度プロセスを踏む必要がある。

ICCはイスラエルとハマス双方に逮捕状を請求した。

ネタニヤフ
ガラント

ハマス指導者ヤヒヤ
ハマスNo2ハニヤ
ハマス軍事部門(わかりやすく言うと、ハマス陸軍のトップ)カッサム旅団指導者

これは両国において大きな外交的打撃である。
イスラエルは特に、西側諸国を訪問できなくなった。

イスラエルはICCに加盟していないため、供出義務はない。
パレスチナはガザ地区も含めて、ICCに加盟しているので、供出義務がある。
だが、ハマス幹部三人は国外に逃亡しているので、出頭しない可能性がある。

国連決議

パレスチナの停戦支持 国連決議

賛成153カ国(日英仏中露インドブラジル南アなど)
反対10カ国(イスラエル、アメリカ、オーストリア、チェコなど)
棄権23カ国(ドイツ イギリス イタリア ハンガリー ウクライナ イタリアなど)

パレスチナの国連加盟支持 国連決議

賛成143カ国(日仏中露インドブラジル南ア)
反対9か国(米イスラエル)
棄権 25か国(英独など)

ICC訴訟に対する西側の反応

ICCの逮捕状請求についての、西側の大国の動き。

歓迎:フランス・スペイン・英国労働党(野党)

中立:日本、英国(ICC批判を避け、ただ意味がないと言っただけ)、ドイツ(ICCを批難するが、ドイツに来たら逮捕するといった)

批判:アメリカ(強い言葉で非難) イギリス、イタリア(二国は強い言葉ではない)

アメリカは、ICCの職員に対して制裁をする可能性を考えている。
これは国際法に対しての挑戦であり、ロシアに対して非難できなくなる。

法とはだれにとっても平等であり、西側、東側、第三世界の誰にとっても味方でもない。
法を破ったものが裁かれる。

プーチンを批難していた西側諸国は、ネタニヤフに対しては甘い。
これはダブルスタンダードとなるだろう。

その他ICC訴訟

現在、ドイツとオーストラリアが、イスラエルに対する武器供与のため、ICJ/ICCで訴訟または付与段階にある。

この状態では、バイデンも含め、西側全体がICJ/ICCに送られる可能性がある。

つまり、ネタニヤフの支援のために、米英独など多くの国が戦犯になる可能性がある。


国家ごとの見解について

アメリカ

バイデンは非常に苦しい政治的立場。まず次の選挙で勝てるかわからない。

トランプは、イスラエルに有利過ぎると批判されるが、二国家解決を意識している。

トランプがこの時のままなら、バイデンが負けた瞬間、ネタニヤフは敗北する。
彼は先が読めない男なので、どうなるかはわからない。

閣僚

オースティン国防長官
カービー報道官
その他アメリカ政府の面々、4~5人の重鎮は、イスラエルはハマスに勝てないと言っている。

アメリカ政府総体、つまり今の与党の民主党と内閣は、ハマスに勝利するのは不可能だと考えていると思う。

オースティンは、思想を銃で倒すことはできないと言っている。

イスラエルには出口戦略が全くない。

もちろんそうだと思う。

国連決議やICCの判決に対してはイスラエルを最もバックアップしている。

中東諸国

まず、
イラン同盟
イスラエル
サウジ・湾岸
エジプト
トルコ
と言った五勢力がある。

核とステルス戦闘機を持つのはイスラエルだけだが、他の国も極めてタフだ。

イラン軍は旧式兵器だらけだが、非常に多くの人員を抱えており、革命防衛隊や、大量のバスィージ民兵を持っている。
米軍に侵攻された場合は、この不正規戦能力で対抗する。

イラン軍、革命防衛隊の陸軍は45万。バスィージ、イラン同盟を加えると、自称兵力は、戦時に1200万を超える。
この兵力で持久戦やゲリラ戦を行うため、米軍でも制圧は非常に難しい。

イラン陸軍35万、革命防衛隊陸軍10万、バスィージは9万~自称1100万、イラン同盟は100万。

イラン同盟には民兵が100万近くいて、ガザはそのうちの5万に過ぎない。

イラン国内ではイラン政権の支持率が低いため、民兵はここまで徴収できないだろう。

バスィージの見積もりは、60~100万程度とする場合もある。
それにしても200~300万となるため、中国陸軍より数が多い。

ハマスはイラン同盟の一つであり、ハマスの戦争を、イラン同盟が全力で支援するだろう。

他にもエジプト軍、トルコ軍には大規模な徴兵能力があり、非常に多くの人員を動員できる。

サウジ軍は高価な空軍力を持っているが、腐敗しておりうまく機能していない。

核は全面戦争以外でほとんど使えないので、攻撃能力ではイスラエルかトルコかエジプト、
防衛能力ではイラン同盟が最も強力だと考える。

しかし、イスラエル以外のほとんど全国家は、パレスチナの承認を、
何らかの理由で求めている。

イスラムの大義や、面子のためとか、戦略的な問題とか、非常に様々な理由だ。

サウジや湾岸は、パレスチナが弾圧されている状態で、イスラエルと同盟を結べない。

エジプトは、ガザ難民を送り込まれるのが怖い。

トルコは、ハマスとつながりがある上、NATOであるため、イスラムとしての批判を恐れている。

イラン同盟は、ハマスやヒズボラの支援者なので、ガザが壊滅しても、パレスチナが独立しても何も困らない。 

中東各国について。

パレスチナ(ヨルダン西岸)

イスラエルとハマスの操法を批難。

まず停戦を目指している。
次に、パレスチナの独立を目指している。
非常にまっとうなことしか言っていない段階だ。

エジプト

現段階でイスラエルを戦争犯罪として訴訟中。
キャンプデービッド合意を視野に入れているという情報あり。
これがあると、第四次中東戦争直後の時代に逆戻り。

これが行われれば、イスラエルの戦略的大敗となる。

トルコ


訴訟中。
エルドアンは、ハマスをトルコ独立軍にたとえているほどの支援。
イスラエルを脅威と見ており、ハマスはトルコ国境の最前線だと言った。
トルコの手下のリビアも参加。

ヨルダン


虐殺と、イスラエルを強く批判している。

サウジ 


沈黙。
しかし、パレスチナ国家の承認なしに、イスラエルとの和平はあり得ないという。

米・イスラエル・サウジ同盟が破綻すれば、ハマスの目標は90%達成したこととなる。

湾岸諸国の多く


イスラエルを批判

味方は非常に少ない。中東内では、1~2カ国だけだ。

イスラエルの敵国

ハマスその他勢力(ガザ)


目標:
時間と死傷者を稼ぐ。消耗戦に持ち込み、国際的非難と死傷者、時間などを用いてコストをかけ、
イスラエルに対して和平に持ち込む。
イスラエルの地位を落とす。
米・サウジ・イスラエルの三国同盟の破壊。

最大の目標は、パレスチナの独立。一国家解決ないし二国家解決。

第1に、サウジアラビアとイスラエルが和平合意に達しつつあったなか、パレスチナの大義を中東の最優先課題に引き上げること。第2に、世界最大の「屋根のない監獄」と呼ばれるガザの惨状に世界の注目を集めること。そして第3に、イスラエルをあおって過剰な武力行使に駆り立て、国際社会からの非難を引き出すことだ。>飲用

フーシ派(イエメン)

目標:スエズ運河の封鎖により、西側諸国に過大なコストをかける。最大のコストをかけられる勢力。
イスラエルの港湾や、海上交通にも影響を与える。

紅海封鎖中。スエズ運河は通行不可に。
米軍との消耗戦を展開。

リーパーが280機中5機撃墜
一機3200万ドル、50億円。合計250億。

迎撃ミサイルは100発以上。200億円以上。

常に空母一隻と駆逐艦一隻が必要となる。

米空母は11隻のため、常に3隻がドック入りしている状態での、8隻の内
一隻、アイゼンハワーが紅海に、永続的に張り付けとなる。
これは米海軍にとって非常に高いコストとなる。
中国海軍の拡大で、太平洋に常に3隻を貼り付けたいと考えている。
アメリカ付近、中東、欧州の文を考えると、紅海に一石を貼り付けるのは悪夢だ。

ガザでの作戦は、イスラエルの希望通り行おうとすると、数年以上かかる。

半年で1500億円を使用。

現在、海上貿易では、40フィートコンテナの輸送料金を2000ドルから6200ドルへ。

これは西側にとって致命的な状態である。

そして、米軍は地上侵攻なしにフーシを制圧できず、地上侵攻すると20万のゲリラと戦うこととなる。

劇的な勝利は不可能であり、永遠にスエズを封鎖されながら、消耗戦を行うこととなる。

ヒズボラ(レバノン)

目標:イスラエルに対して高いコストを強いる。

イスラエル北部で消耗戦を展開。イスラエル人6~10万が国境から避難。

これも、ガザ侵攻が続く限り変わらない。

ガザを行っている限り、イスラエルに地上侵攻の余力はない。

イラク民兵

目標:イスラエルと米軍に対して高いコストをかける。

イラクやシリアで展開。イラクの米軍基地を襲うことで、米軍にコストをかける。
米軍の撤退を狙う。

イスラエルにもロケット弾を撃ち込み、財政コストをかけている。

フーシとイラク民兵が、
イスラエル、エイラートの港を攻撃した際、えいらーとは収入が80%減少したとされている。

イラン


上記勢力を支援。止まることはないだろう。

西側にとって、最悪の事態は、アラブやトルコの敵対化であり、それに比べればイランですら
全く脅威ではない。

西側の悪夢のシナリオ


1:米サウジ同盟の凍結
2:エジプトのキャンプデービッド合意破棄。イスラエルエジプト間は常に緊張状態。
3:イスラエルの完全な孤立化。誰も手を付けられない。
4:西側各国の首脳の戦争犯罪認定
5:イラン同盟の米軍基地襲撃
6:トルコの敵対化(イラン、トルコ、エジプトが敵となり、サウジは凍結し、中東からけりだされる。)

現在、1の段階。
そして、2,5の進行中。
6は、ICJで独豪が訴訟されている。

3はより致命的な段階だろう。

米サウジ同盟の破綻、エジプトのキャンプデービッド合意破棄、トルコの敵対化の三つは最も恐れる事態の一つだと考えられる。

米サウジ同盟は、パレスチナ国家承認なしに前進無し。

エジプトの合意破棄は、現状高い可能性がある。

スエズ封鎖による、エジプトの経済破綻の可能性はゆっくりと上がっている。

トルコの敵対化は、これよりは確率が低いが、段階や推移によってありえるかもしれない。

この三つが完成すると、西側は中東からたたきだされる。

そして、西側各国の首脳の戦争犯罪認定。


現状は
段階1の、米サウジ同盟の前進無し。
2~4が進行中である。

イスラエルとハマスの戦争能力と政治状態

国際法

国際社会の反応

国際政治

これらの観点から、イスラエルというより、ネタニヤフ政権の希望を実現させる勝率は極めて低く、イスラエル・ハマス戦争は、停戦と和平交渉が最も妥当であり、
それがイスラエル、ガザ人、西側、国際社会の利益になると考えられる。

この戦争を続けて喜ぶのは、ネタニヤフ、イスラエルの極右、ハマス上層部、ロシア、中国、イラン同盟だけだ。

ハーグ、戦犯訴追は通常、国際的な和平プロセスに入った双方を追求することはあまりない。
イスラエル、ハマスなどが戦犯から逃れるためには、和平こそが必要だ。

ドイツやオーストラリアも訴訟中であるため、推移によっては、独豪がともにハーグに顔を出す可能性が出てくる。

当然その場合はアメリカも訴訟されると思われるが、アメリカはICCに加入していない。とはいえ、加盟国に顔を出せないと言うのは致命的だ。

全てのリスクを避けるには、ネタニヤフとイスラエル極右を下野させ、ガラントかガンツがイスラエルのリーダーとなり、停戦し、和平プロセスを行うことが最も世界の利益になると考えられる。

戦争の勝敗を予測する人々

政治的立ち位置を問わず、イスラエル勝利側がいないように見受けられる。

自分はこの不可能派、交渉派である。
正確に言うと、ガザの破壊にはタイムリミットが来るという考え。
破壊しきったとしても、ガザの人間を文字通りの完全なジェノサイドをしない限り復活する。
シナイへ民族追放したとしても、シナイに新しいハマスができるだけという状態。
カタールにハマスの幹部がおり、2年以内に全員暗殺するのは到底不可能。


イスラエルのハマス殲滅不可能派

アメリカ政府
オースティン国防長官(イラクアフガンの経験を持つ元将軍。現在アメリカで最も対テロ戦争が得意な将軍の一人)
カービー報道官
その他数人

元イスラエル政府・軍関係者
イツァーク・ブリック元少将
エフード・オルメルト元首相(イスラエル最高権力だったということ)

その他IDF関係者のリーク(交渉で終わる)

など複数人

在野

ノーマン・フィンケルシュタイン(ユダヤ人政治学者、親パレスチナ)
ゆヴぁる・ノア・ハラリ(イスラエル人超有名歴史家、反ハマス)
ジョン・ミアシャイマー(アメリカ人、超著名な政治学者)
ダグラス・まくぐれごーる(アメリカ人・元湾岸戦争経験者、元大佐、アメリカ共和党の軍事ブレーンの一人)
チャーリー・ハーバート(イギリス人、元英軍少将、北アイルランドやイラク経験者)
ポール・ロジャー(イギリス人、オックスフォードリサーチグループ長、対テロ戦争の権威の一人)
ヴィジャイ・プラシャド(インド人、歴史家、共産主義者)
ハイファ大学(イスラエル)のウリ・バージョゼフ名誉教授 イスラエルの安全保障

ハナン・アシュラウィ(元PLOの大臣、政治家)

ロシア
ぺすこふ報道官(”””ガザを更地にしない限り”””不可能)

トルコ
エルドアン大統領(トルコトップ)

その他非常に様々な人々。

日本人(親米の政治研究者)
池内恵(”””ガザを更地にしない限り”””交渉で終わる)
篠内

10月7日から数か月は親イスラエルだった研究者
小谷哲男(アメリカは見限る)

中立

イスラエル政府

ガラント国防相(IDF関係者含む。現方向性では不可能、撤退が必要=殲滅は不可能に近い考え)
ガンツ
ラピッド

在野

ジョン・スペンサー(アメリカ人、市街戦研究専門家。対ゲリラも研究)
言葉を濁している



イスラエル勝利と考える側

ネタニヤフ

ベングヴィル
すもとりっち






以上で、話を終える。

最後に

最後に、パレスチナ人4万と、イスラエル人1500人に哀悼を示す。

10月7日の襲撃で死亡した人、ガザ侵攻で死亡した人びと。

そして、1900年から、2023年10月7日以前に死亡し、弾圧を受け、追放された双方の人々にも。

両軍の戦死者に哀悼を示す。
あなた方はひじょうによく戦った。

両軍の、祖国を防衛しようとする者たちに敬意を示す。
あなた方は非常によく戦っている。

そして、

ハマス上層部、イスラエル上層部、両国の過激主義者たちよ。

武器で思想を殺すことはできない。
永遠にこの戦争を繰り返すことになってしまう。それでいいのか?

ガザからシナイ半島に人を追放すれば終わりだと思うか?
それは新しい戦争の始まりに過ぎない。
ガザから追放された人々はより強大になって、同じことをするだろう。

法を守るだけではその場で終わらないかもしれないが、
法を守らなければ永遠に終わらない。


  

両国で平和を希求する人々よ。

あなた方より立派な人々は、この地球に存在しない。
両国が受けた多大な損害は想像を絶するものだ。

10月7日に死亡したにもかかわらず和平を希求するイスラエルの人々

その後の侵攻で死亡したにもかかわらず、和平を希求するパレスチナの人々。

あなたがたは地球で最も優れた黄金の精神を示す人々だ。

あなたがたこそが両国を率いるにふさわしい。

主キリストは灰の中から生まれると、聖書では言われている。

それは素晴らしい比喩だ。

あなた方は、文字通りの最も高潔な精神を持つものだ。

ガザ230万の人々、イスラエル人の人質百数十人よ、希望をどうか捨てないでほしい。世界はあなた方を見捨てない。
この戦争はいつか終わる。

イスラエルの、戦争を支持する人々よ、これが本当に自分たちのすべきことなのか?

10月7日の後、世界はあなた方を支援した。それが数週間で終わり、今では世界のほとんどはあなた方を
支援しない。アメリカとドイツも音を上げる日が来るだろう。
復讐に、より大きな復讐で返したからだ。

ムスリム15億人よ、あなた方には力がある。この戦争を終わらせる力がある。声を上げれば、
この戦争を終わらせられるかもしれない。

西側20億の人々よ、これが本当に、西側が世界に広めたいと思っている、
国際法にのっとった戦争だと思うのか?
西側の価値観は今、ハーグでその真を問われている。

世界の80億の人々よ。人類は進化する必要がある。
まずは聖なる土地に、国際法をもたらそう。

復讐に復讐でしか返せない人々の言葉を聞いていたら、千年先も、我々は戦争し続けるだろう。

すぐに人は進むことはできない。武器を捨てるには早すぎる。

武器を捨てなくてもいい。弾を込めていてもいい。銃口を向けていてもいい。

ただ引き金から1分でも指を離すだけだ。
それを続けて、1日、一か月、一年、百年と伸ばしていくことができる。


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