見出し画像

言葉と語感とラーメンズ#10 第9回公演『鯨』後半

『鯨』全9作品中、後半4作品のお話。

5.絵描き歌

葉っぱかな? 葉っぱじゃないよ 葉っぱだよ あっという間に ハッパ

一緒にダイナマイトの絵が書かれています。これもハッパ。
「絵描き歌」も、言葉遊びの代表格です。
有名なもので言えば「かわいいコックさん」。
「葉っぱじゃないよ、かえるだよ。かえるじゃないよ、あひるだよ。」というフレーズがあります。
完成したコックは、人間ではなくてあひるのコックだと私は解釈しています。
さて、作品中のこの二人は何者なのか?関係性は?
一言で状況が一変する作品。


6.count

もうすぐ、一人とひとつ。

数え方・単位を体現する作品。
500人の後、最後の終わり方で「おぉ!?」ってなります。
モノの単位、すなわち助数詞はおよそ500種類もあるそうです。
このうち実際に使用されているのは100種類程だそうですが、それでも数の多さに驚きます。
中学生くらいの頃に、『新しい単位』という本を友人から借りて読みました。
例えば、ゴージャスさを表す単位「Pnp(パイナポウ)」。
カクテルに生のパイナップルがのっているゴージャスさ=1Pnp(パイナポウ)です。
もちろん創作された単位ですが、こうした言葉遊びも面白いですね。


7.アカミ―賞

「今朝、ここに向かうために家の扉を開けると、雨が降っていました。でも僕は傘をささなかった。昨日、シャワーを浴びてなかったんでね」

アメリカンジョーク。
日本の冗談とはまた違う、独特な言い回しが特徴的です。
ジョークの例としては、日本語と同じように同音異義語を使用したものがあります。
「Why couldn't the bicycle stand up by itself?」
「It is two tired.」
自転車も、人を乗せて運ぶのは大変なのです。
海外の言葉遊びも調べてみると、より言葉の奥深さを感じられそうです。


8.器用で不器用な男と不器用で器用な男の話

……ふざけんな!!!

終盤に向けて流れるバッハの「無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調・プレリュード」が、涙腺を優しく撫でる。
おしゃべりって、むずかしい。
冗談を言ったり、軽口を叩いてみたり。
言葉を上手く扱える人が、私も羨ましいです。
しかし、不器用でも真剣に伝える言葉こそ、本当に相手に響くものだと思います。
作品名が表す男とは、2人のどちらがどちらというわけではなく、どちらもどちら。
互いに不器用だからこその2人のやり取りが、おかしくて切なくてあたたかい作品。


●全体を通して

「ことわざ仙人」「絵描き歌」に出てくる予測不能な言葉。
また、「壺バカ」のような言葉を用いないやり取りや、「count」のような言葉の体現化。
言葉を含む「表現」の幅広さを感じた公演でした。
そして最後の「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」は、
ラーメンズ作品の中でも上位に入る大好きな作品。
おしゃべりやコミュニケーションの基礎となる、言葉。
こうしてラーメンズ作品から言葉に触れて、考えて、自身も使いこなせるようになりたい。
そして言葉の面白さや奥深さを、言葉にすることで伝えていければと思います。


次回は第10回公演『雀』です。

ではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?