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言葉と語感とラーメンズ#20 第14回公演『STUDY』後半

『STUDY』全7作品中、後半3作品のお話。

5.地球の歩き方

 塩を投げるスポーツらしい。

“ニッポなんとか”という国について話す二人。
その国では、“スなんとか”というスポーツが盛んです。
“スなんとか”では、競技を始める前に塩を投げます。
その理由は、彼らが戦う“ドヒョなんとか”の邪気を払い、安全を祈るためと言われています。
塩を投げた後、人を投げて、最終的に座布団を投げます。
面白い国技ですね。
名称や内容がはっきりしないものを表す、「なんとか」。
なんとかしてなんとかを使わないように、言葉はきちんと覚えたいですね。


6.いろいろマン

この肌色の青二才が!
ただし俺は、青い青二才を見たことが無い!
青かろうが黄色かろうが二才は赤ちゃんだ!
ただし俺は、赤い赤ちゃんを見たことが無い!
肌色ちゃんだ!おーれもー!

青二才とは、経験の浅い年若い男のこと。
あざけりや謙遜の意味を込めて使われます。
色の「青」が「未熟さ」を表すその由来は、諸説あります。
一つは、果実などの未熟なものの色が青いことから。
また日本では古代、色を表す言葉は「赤、青、白、黒」の4種類しかなく、緑色のものも「青」と呼ぶ習慣がありました。芽吹いたばかりの「緑」のイメージが、未熟さ、若々しさを表す言葉になった、とも言われています。
ちなみに「あかちゃん」の言葉の由来は、皮膚が薄くて体中の血管が透けており、赤っぽい肌の色をしているから。
ただし、古くは嬰児・緑児(みどりご)と言われていたこともあります。
その理由は、生まれたばかりの子は新芽や若葉のように生命力に溢れていることから。
言葉を転じると、赤ちゃんは「青ちゃん」とも言える…?
すなわち生まれたばかりの子を表す言葉は、赤ちゃん、緑ちゃん、青ちゃん、そして肌色ちゃん。
色の色々を知ると、ものの捉え方や言葉のデザイン、イメージも変わりそうです。


7.金部

変態だ変態!算数の変態!

変態。
意味はいくつかありますが、ここでは「普通の状態と違う」こととします。
普通と違う、変わっているということをどう捉えるか。
「違い」が無ければ、新しいものは決して生まれません。
何かに、誰かに似せようとしても、どうしても出てきてしまう「違い」や「特徴」。
それこそが「その人にしかないもの」であり、それが「個性」です。
人と違う、変わっていることは、新たなものを生みだすことができる状態であるということ。
変いぇーい!!


●全体を通して

公演タイトル『STUDY』の通り、おもしろい学び・勉強ができる作品でした。
ちょっと哲学的なものや、表面的な言葉の表現とその実際の意味の違いを探っていくものなど、言葉の沼の入り口には最適な内容。
作品中のどの言葉をピックアップするかも迷いました。
そして算数が苦手な私は「金部」の問題を理解するのに時間を要しました…。
算数や数学も、論理的内容を数字・記号という言語で端的に表したもの。
理系科目かと思いきや、やはり言葉を扱うので文系科目とも言えます。
どのジャンルのSTUDYでも、言葉はつきものですね。



次回は第15回公演『ALICE』です。

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