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泣いて、笑って、支えて、支えられて

岸田奈美『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』、読了。

読書中、久々に声を出して大笑いしました。(自宅でよかった)
笑えて、ほっこりして、そしてハッとさせられる。
100文字で済むことを2,000文字で伝える作家の、自伝エッセイ。

急逝した父、車いすユーザーの母、知的障害の弟。
苦境を乗り越え、家族を支え、家族に支えられて、この家族は生きている。
読み終えた後にタイトルを見返すと、その意味と深さをますます感じます。
いつのまにか弟の方が地域で顔が広くなっていたというエピソードは、
家族を地域で支え合うという社会の在り方を示しているように思いました。
人は誰しも、支え、支えられて生きている。
そんなエピソードが凝縮されています。

●印象に残った一文

助けるってのは、声をかけて身体を動かすより、視点を動かして相手のことを思うことかもしれない。
悲しいかどうかじゃなくて、残される人の後悔をどう減らせるか、を考えた方がいいと思うんだよね(写真家・幡野さんとの会話、幡野さんの言葉)
いい言葉は、いい場所へと、連れて行ってくれるはずだ。


文章のリズムが良く、絶妙なタイミングで入ってくる比喩表現がほんと面白い。
ブラを買いに行くエピソードでの「集団疎開」に、腹筋崩壊。
どんな風に使われているかは、是非読んでみて下さい。

ラーメンズ、小林賢太郎のファンという点に勝手ながら親近感。

早速noteを購読し始めました。

読むと元気が湧いてくる、エネルギッシュな一冊です。

知らんけど。

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