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海の見える町と猫

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勝部あかりさんと猫のお話
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#小説

海の見える町と猫 1話

海の見える町と猫 1話

 夕暮れの海をみたいな、と、あたしは思った。いつもは疲れきっているのだが、そのときあたしは、なぜか海に行こうと思ったのだ。うろこ港の海岸までは川沿いを時間をかけて歩いた。ところが海岸まであともう少しのところで夕日は沈んでしまった。そそくさと港町の屋根の陰に隠れていった夕日をみて、ああ、もう少しはやく来ていればじっくりみれたのに、と思った。私はしばらくうろついて、古びたコンクリートのカフェに向かった

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