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『労働』短歌連作20首


一般社団法人ボルケーノドラゴンにきみは配属される


さて今日も制汗剤と間違えて殺虫剤を振るわけですが


霧の中から這い出るときは終電のような気配を纏う始発


トイレのドアを閉めるときだけ柔らかい社長が来なすったぞ バタン!


しまわれてるカバンが全部赤でその棚の上にモノポリーある


大型免許を持ってる人を尊敬するしかしやな奴なら侮蔑する


勤務時間中でなく休憩中にトイレに行く人を腰抜けと呼ぶ


誰一人おもしろい奴のいない中一際あなたはクソダサかった


想像の世界で無敵だが他者もまた想像の世界で無敵


時間給発生中にトイレに行く理外の理にて正しい大人


研修で「誇りを持って」と言ってるが何を言ってるのだろう僕は


「ここを持って」というコミュニケーションをしたくないからずーっと不便


客が憎くてやってると思ってんの? トルコアイス渡す店員が?


私は間違っているそれだけはわかる正しさがわからなくても

 

ご質問よろしいですかというない敬語を使う奴の十字架


成立してねえ会話とそれで笑うひと地獄へ続くらせん階段


顧みてみれば矛盾がなくそれが腹立たしくて吐きそうになる


ご利用ありがとうございますに対して返事をする客キモかった


あなたにはパワハラの才能があり国民の上司にふさわしい


語呂合わせが最高すぎて覚えてるブラックバイトのたまの休日


トイレのドアを閉めるときだけ柔らかい社長が来なすったぞ カチャン……



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