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『大泉エッセイ』 大泉洋

電車やバスで、小中高生、大人になってもくだらない男子たちだけの会話を盗み聞きできると、うれしい。なんてどうでもいい話をしているんだろう!楽しい。この大泉洋の本も1997年当時24歳のアホな大学生の文章で始まる。

2月くらいから在宅時間が増えた私は、Netflixで『水曜どうでしょう』を見始めた。なんであんなに昔の旅番組なのにこんなに面白いんだろう!見ているだけで免疫力が高まりそうで今の時代にもぴったりだ。「最近『どうでしょう』見てるんだよね」と周りの友人に伝えると、「それはよい選択だ」という反応だった。こんなに確信に満ちていながらも、押しつけがましくない同意を、しかも複数の人から受けたことはない。

そんな中アフリカ編でしきりに宣伝されていたこの本と古本屋で出会った。買わざるを得ない。本が発行された2013年当時40歳の大泉洋が、昔書いたそれぞれのエッセイに一言コメントをつけている。自分で昔の自分に呆れているのがよくわかった。でも、落ち着いて分別もある大泉洋より、そのアホな若い大泉洋が大変に魅力的。冒頭に書いたように私が好きな男子たちの会話は、通常後にに残らない。たまたま出くわしたら楽しめる無形、その場限りのもの。このエッセイは彼のアホさが、フレッシュなまま冷凍されて、時を経た2020年の今、本を開くと解凍されて味わえるようなもの。何十年も素を見せ続けて親しまれ、愛されている人って彼以外にいないんじゃないか。子役やスポーツ選手として長年視聴者に見守られてきた人はたくさんいるけれど、気の置けない仲間とのやりとりまでずっと見られてきた人は、たぶん、いない。

エッセイを読んでも、特に有用なことは頭に残らない。でも読んでいる瞬間の楽しさが確かに在って、彼の在り方と人柄の良さがしっかり伝わる本。今『水曜どうでしょう』を見始める人に出会ったら、初心者の私もしみじみと言う。「それはよい選択だ。」

168.『大泉エッセイ』 大泉洋

2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
2018年読んだマンガ:158冊

#読書感想文 #大泉エッセイ #大泉洋 #水曜どうでしょう

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